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トゥレット症

前回チックについて記載しましたが、その中で少しだけ触れたトゥレット症について今回はお話ししようと思います。

皆さんはトゥレット症って聞いた事ありますか!?実はぼくは初耳でした💦
チックについて調べているうちに出会った疾患です。と言うか、チックの延長線上にあると言っても良いかもしれません。ASDやADHD、SLDに比べて知名度が低い印象ですが、これも発達障害の1つです。

<概要>

トゥレット症候群とは、「チック」と呼ばれる特徴的な運動や音声が自分の意志とは関係なく突然現れ、繰り返す症状が1年以上みられる病気です。日常生活に支障をきたすこともあり、チック症状が強く長く続く場合にはトゥレット症とよばれます。
チック症については前の記事をご参照ください🙌



文献によって違いますが、概ねチックは6歳頃からみられることが多く複数の種類のチックが消失したり新しく現れたりすることを繰り返します。治療法が確立されておらず、難治性疾患の1つとされています。また、家族に同じ病気を持つ人が多く、後述しますが男性に多いことも特徴です。

<症状>

チックは自分の意志では止められない不随意運動と考えられていましたが、周囲におかしいと思われたくない、迷惑をかけたくないと、本人の多大な努力で我慢をしてある程度はチック症状を抑えることができる場合があります。
しかしトゥレット症ではチックに先立ってムズムズする感覚や出さずにいられない前駆衝動が高い頻度で生じます。チックを出すとすっきりする感覚があり、チックを止めようと長く無理を続けると、前駆衝動がさらに強くなることがあるそうです。

NPO法人日本トゥレット協会のページより

そうなんです!ぼく、よく考えたら首振りのチックが1年ちょっと続いて、その後途端に消えて行ったのでトゥレット症だったのかもしれません!首振りを止めようとすると余計に首振っちゃうし、なんなら止めようとしてない時よりも強く振っちゃいます!前駆症状は本当にあります!
お馴染みの自分語りでした…すみません😂

<原因>

トゥレット症候群の原因について、現段階でははっきりとしたことはまだ分かっていませんが遺伝的要因と環境的要因の両方が関わっていると考えられています。
トゥレット症候群の患者では大脳基底核と呼ばれる脳の一部分の異常や、ドーパミン系、セロトニン系など神経伝達物質の異常が関係していると推測されているようです。この様にトゥレット症は体質的な疾患で、脳の働き方の違いによって起こるものです。

<性差>

DSM-5によると、トゥレット症は人口1000人あたり3〜8人に認められ、男性のほうが女性より2〜4倍多く見られるそうです。

<鑑別疾患>

・脳の神経細胞が過剰興奮するために起こるてんかんや、特定の筋肉が硬直するジストニアなど別の脳神経疾患

・遺伝性疾患であるハンチントン病に見られる瞬きをする、しかめ面をする、腕や足が弾むように動くなどの症状や、ウィルス脳炎の後遺症による脳の中枢神経障害

・コカインなどの薬物使用による副作用

これらはチックに似た様な症状が出るため、トゥレット症との鑑別が必要になります。

<治療法>

症状に応じて対応しますが基本は心理教育と環境調整の様です。チックの症状がひどかったり、二次障害が現れ日常生活に支障をきたすような場合は、症状の緩和を目的とした薬物療法を行うそうです。加えて認知行動療法を行ったり、それでも症状が軽快しない場合は外科治療を行う場合もある様です。

・心理教育・環境調整
症状の完治が目的ではなく本人や周囲の人に障害を正しく理解してもらい、社会適応できることを目指します。

・薬物療法
ドーパミンの働きを抑える抗精神病薬などチック症状と併発症に合わせて処方されます。

・認知行動療法
現在、研究が進んでいるのがハビット・リバーサル(習慣逆転法)という行動療法だそうです。チック症状を自分で意識し、チックをしたくなったときに逆の動作をするように訓練する方法です。

・外科療法
上記の療法で軽快しない難治性の場合は、深部脳刺激療法(DBS)という手術をすることがあるそうです。これは大脳基底核に電極を埋め込んで持続的に刺激し脳活動に変化を加える手術だそうです。

<眼科で出来る事>

チック症と似た様な事になってきますが、トゥレット症の場合は症状が長期間続いている点や止めようとしても止められない、本人に悪意もないしわざとじゃないという点がキーポイントだと思います。そこで有効なのは

「悪意のないスルー」

だと思います。敢えて指摘する必要も無いですし、普通に接すればいいだけだと思っています。本人がその障害を受け入れているのか、障害受容の段階についても視能学にあったかと思いますが、後半になっていれば「悪意の無いスルー」は逆に合理的配慮と言えるのではないかと考えています。
近年、チック症の研究は進んでおりNPO法人が運営する当事者支援協会も発足し、自助グループの活動も各地域に広がってきています。

「日本トゥレット協会公式ホームページ」
「トゥレット友の会公式ホームページ」

今回は少し眼科との関連は逸れていますが、こんな疾患もあるんだとの勉強でした🙌
今思えば恐らくトゥレット症を併発していると思われる子どもがバイト先には大勢います。正しいかどうかは分かりませんが、ぼくなりに「悪意の無いスルー」を心掛けて検査をしています。これはトゥレット症だけでなく様々な知的障害にも当てはまる事ではないかと、今回の記事を書いていて思いました。
今回もお付き合い頂きありがとうございました!
ではまた👻

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