ビショントレーニング(セラピー)その④ 最終回
さて、長々と続いたビジョントレーニングについてのお話ですが、今回でやっと終われそうです。今回はぼくの主観的且つ個人的な意見で締めて行きたいと思います!
<ビジョントレーニングの有効性>
確かに、ある一定数の発達障害児に対しては有効性が認められそうです。特にADHD児やLD児に対しては写字が良くなったとの報告があります。
しかし、それはあくまで論文ベースの数字であって、研究に上がって来ない潜在的な総数を考えると疑問が残ります。簡単に言うとビジョントレーニングで成果が出たから論文になったんですよね?って事です。成果が現れてなかったら論文にしてないでしょう。それくらい成功例しか見つけられませんでした。果たして全ての読み書きに困難を持った発達障害児にとって有効な手段と言えるのか!?
その辺が有効性に関しての疑問点です。
<どこで受けられるのか問題>
ビジョントレーニングは限られた療育期間(放課後デイサービスや児童発達支援事業所)、民間のトレーニングセンター、一部の眼鏡小売店、学校の通級指導教室で受ける事が出来るようです。また、このご時世ではYouTubeや書籍で家庭でも実践できます。
それぞれについて見解を述べます。
・療育機関
素人見解ですが簡単には入れない印象です。
まず『受給者証』が必要です。これを申請するためには医師の診断書や医療機関等の意見書、サービス等利用計画案などが必要になります。サービス等利用計画案は、療育施設の利用が必要であるという内容を記載している書類の事で、指定相談支援事業者に依頼して作成してもらうか、保護者が自ら作成することも出来る様です。しかし申請方法や必要な書類は自治体によって異なるので、事前に確認して用意する必要があります。まだ療育に通っていない子で、いきなり療育に行かせてビジョントレーニングを受けさせようと思ってもなかなか手続きが面倒そうです…
・民間のトレーニングセンター
これに関しては民間のビジョントレーナーの資格を有した方が直接指導するケースが多いですが、そもそも民間の資格が乱立し過ぎていて同じ様な内容の講習みたいですが統一が出来ていません。〇〇〇ビジョントレーニング協会ってのが多すぎて違いが分からないです。やってる事は似通っていても民間資格の統一が出来ていない現状、それぞれの事業所の利害関係が見て取れます…
故にどこを選べばいいのか、また通えるセンターが果たして本当に当たり外れのない所なのかが疑問です。
・一部の眼鏡小売店
これに関しては行っている店舗自体が少なく、お住いの地域にあるのか、また時間単位で金銭も発生します(当然ですが…)。更にどちらかと言うと発達障害児よりもスポーツビジョンに対してのアプローチが強めな印象です。
・通級指導教室
これも限られた自治体でしか行われていない様です。運良くその自治体に住んでいないと困難です。
・YouTube、書籍
簡単に初められる一方で、直接指導を受けられる訳ではないので誤った方法に陥っていても修正が効かない危険性があります。
やはり直接指導を受けるのがベターだと考えます。
<総まとめ>
以上の事と前回の記事での考察(エビデンス問題)の通り
ぼくなりの結論は眼科でビジョントレーニングを行うのは現状難しい!
と言う事です。
エビデンスがハッキリしていないのであれば眼科でコストを取って医療行為の扱いをするのは困難です。可能性としては斜視または弱視の病名付けて『斜視訓練』or『弱視訓練』で135点取るかどうかですが、現実問題ただでさえ忙しい外来でビジョントレーニングに割ける人員と時間のある施設は自ずと限られてきそうです。
松久充子らは
としています。また、
と述べています。
その点を踏まえ、民間のトレーニング施設は増加傾向にあるものの、
視能訓練士や作業療法士が実践する様な公的な機関は未だ存在しません。
法整備や時間も税金も使う事になるので公的機関の設立はまだまだ先の事になりそうです。
また、大きなネックであるエビデンスが無いという事実、これを踏まえて考えると発達障害児に対して一定の効果はあるものの、医療行為としては行えないため
読み書き困難についての総合的なアセスメントの中の一つとして取り組むというスタンスが望ましいのだと思います。
⚠️誤解しないで頂きたい点は、ぼく個人的にはビジョントレーニングに対して否定的な訳ではありません。ただ、眼科で行うのは困難であるのと同時に民間資格の統一化をしなければ利用者さんが困るのではと危惧しているだけです。
<終わりに>
ようやく結論というかある程度書きたい事は書けました🤮
まだまだDEMに関してや調節フリッパー等、書き足り無いことや補足事項もありますが、これ以上無駄に長くなるのもどうかと思うのでこれでお終いです!
お付き合い頂いた方はありがとうございます!
また次からは発達障害についてのお話に戻ろうかと思いますので引き続きご高覧賜れば幸いです🙇♂️
ではまた👻