見出し画像

症例紹介② ADHDの女の子

今回は久しぶりに書く上に症例紹介です。スミマセン💦

皆さんも外来で出くわしやすいADHDの子ですが、今回は男の子ではなく女の子でした。
しかもバイト先ではなく常勤先の一般のクリニックでの出来事です。
ADHDの特性については過去の記事をご参照下さい。↓↓↓




この様に、一言でADHDと言っても何が優勢の型なのか、また混在しているのかで対応が変わってきます。
今回の女の子は待合室での様子を見ていると(めちゃくちゃ暇な時に来られたので保護者の方が問診票を書いている時間に観察していました)小学校高学年くらいに見えました。手に持ったスマホをガンガン落としています。そして時々手伝う問診票記入でもボールペンを落とします。
この時点ではまだADHDとは確信できず、それっぽいなぁとしか思っていませんでした。

<問診票を見て>

詳細を確認します。
年齢:11歳
主訴:眼鏡が合わなくなってきている
1年前頃から
既往歴なし
眼科や全身の手術歴なし
眼鏡装用中、CL装用無し
薬や食べ物のアレルギー無し
服薬中の薬:インチュニブ

来た!インチュニブ!!!

やっぱりADHDだったんだと合点がいきました。恐らく不注意優勢型なのかなとこの時点で予想しました。なのでパーテーションの出番は無いかなとも思い用意しませんでした。

<しつこい様ですがおさらいです>

現在日本で適用されているADHDの治療薬は、インチュニブ、コンサータ、ビバンゼ、ストラテラの4種類です!この4つさえ覚えておけばADHD児の検査になるだろうと先が見えます!

※ぼくの常勤先では新患の方と最終受診日から1年が過ぎていれば問診票を記入してもらっています。

<過去のカルテを見て>

2021.7にどうやらサイプレをして眼鏡を合わせていました。この時は8歳です。

…ごめんなさい、記憶にございません…


当時はそんなに発達障害ぽい子を気にしていなかったのもありますが、ADHDぽさも気付かなかったのだと思います。完全に勉強不足でした…

そして当時合わせた眼鏡の度数は以下の通り

・サイプレ下完全矯正値
R)(1.2×C+3.00Ax70°)
L)(1.2×C+4.00Ax80°)
・処方値
R)(1.2×C+2.50Ax70°)
L)(1.2×C+3.50Ax80°)
でした。

その前にも何回かサイプレして眼鏡合わせしてた弱視の子だったのですが、本当にごめんなさい、あまりにも順調に視力と立体視が出ていたので記憶に残っていませんでした💦

<今回の結果>

R)0.8(1.2×S+1.50C-3.00Ax160°)
L)0.7(1.2×C+3.00Ax90°)
眼位は遠見近見ともにOrtho
SFTはHF(+) A3/3 C9/9と良好でした。

<検査時の工夫>

ここまでサラッと結果だけ書きましたが、実は色々とあの手この手を使って工夫していました。
何分、不注意優勢型ぽい子で多少の多動性も兼ね備えていたので、かの有名な[挟まない眼鏡遮蔽板]も落ちる事数回、視標が変わる前もしくは変わった瞬間に反射で答える事数回と、少し苦戦しました。

因みに[挟まない眼鏡遮蔽板]はコチラ↓↓↓
これは本当に便利なアイテムで、ぼくは特に子供の眼鏡の遮蔽に利用しています!
やっぱ挟むと怖いですからね…



少し脱線しましたが、まずは落ち着かせる事を最優先に行います。
具体的にはこちらもゆっくりと視標を変えて行く、視標を変える時は「せ〜の、はい!変わったー!これどっち?」と言った声掛けをする。反射で答える時はこちらがゆっくり数を数えてみて「1、2の3ッで答えてね!1、2の3ッ…はい!どっち?」みたいな声掛けです。
こちらがゆっくりとしたペースを作る事で落ち着きを取り戻しました。

どうしても視標が変わる前に答えたり、変わった瞬間視標を見ずに答えたりする場合はペースを作る事に専念しましょう。
「見てから答えてねぇー?」や「今変わったんだよ!?」とかの声掛けだけではペースは作れません。視標を変える時も「せーので変えるよ?いい?はい、せーの!ドンッ!変わった!よーく見てね!?じゃあ…1、2の3、ハイッ!」てな具合で答えて貰ってます。
この声掛けはADHDの子だけでなく低年齢で視標を見てくれない子どもにも有効です。(当社比)

その結果、最初のうちは衝動的に答えていたのですが、肝心の視力1.0付近ではより慎重に答えてもらう事に成功しました。
この様な子どもは大抵本当に見えている時は普通に答えてくれて合ってもいるのですが、見えなくなると途端に衝動的になる傾向が見受けられます。よって、視力1.0付近や見えなくなってるなと直感したら先の声掛けを使いペースを握る様にしています。

<今回のまとめ>

今回の子は学年も上で多動性も少なかったので座ったまま比較的スムーズに検査ができましたが、少し下の年齢で男の子だったら苦戦してたでしょう…それこそパーテーションや風船の出番だったと思います。
眼鏡合わせの後、保護者の方に説明をする際に雑談程度に「この薬、いつから飲まれてますか?」と訪ねたところ、9歳頃からずっととのお答えでした。前回の8歳の時は服薬していなかったので記憶に残らなかったのも当然かもしれないとの自己弁護です…

さて、今回は服薬中の薬からADHDと判明し、それについてスムーズに対応出来たというお話でした(もちろん本人の協力もあっての事ですが)。本当にしつこいですがADHDの薬はたったの4つです。覚えておいて損は無いので皆さんも名前だけは覚えておき、いざ出くわしたら心構えと事前の準備が出来るようにしておくと良いかもしれません。(小さい頃からASD傾向のぼくは見通しが無いと検査が不安なのです💦)

単なる自慢話みたいな症例紹介ですみません…そろそろ知的障害について戻ってみようかなと思うこの頃です。お時間のある時にでもお読み頂けると嬉しいです!
ではまた👻

いいなと思ったら応援しよう!