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どうして眼鏡をかけてくれないのか?

今回は少し趣向を変えてぼくなりの疑問と言うか、普段から感じているどうにもならない難しさについて書いてみようと思います。
サムネの通り感覚過敏を有する子どもに於ける眼鏡装用についてです。なお、今回は年齢を視覚の感受性期内と限定した上で書いていきます。


感覚過敏については以前の記事をご覧下さい↓↓↓



<どうして眼鏡が必要なのか?>

これは視能訓練士の皆さんなら即答だと思いますがズバリ、屈折矯正の為と弱視治療の為が多いと思います。中には視覚過敏でサングラスが必要、羞明が強く遮光眼鏡が必要と言うパターンもありますが、その辺は今回とは話が逸れるので外します。
屈折矯正の意味合いに関しては最悪外してしまっていても裸眼で0.3程度の視力があれば特に困らないでしょうが、弱視治療の意味合いに関してはなるべく外して欲しくはない所です。

板倉真理子『3歳児検診への屈折検査の導入と精度管理に向けて』あたらしい眼科 2023年4月号


<何故眼鏡を嫌がる(外す)のか?>

上記の記事にも書きましたが、感覚過敏はASD児に多く見られます。ASDの特性の1つに[拘りの強さ]もあります。
仮に眼鏡が自分の好みで無かったとしたらどうでしょう?親が勧めたからと言って本人は妥協で決めていたモノだとしたら…?恐らく気に入らない気持ちが尾を引いて掛けたがらないのではないでしょうか?やはり本人主体で根気強く納得のいくフレームに出会うまで眼鏡店巡りをするしかないのでしょう…

また、もう1つ考えられるのは適切な屈折矯正が成されていないケースです。
弱視治療中であれば尚更、患眼の視力は眼鏡を掛けても掛けなくても変わらないでしょうし(最悪眼鏡を掛けた方が見えにくい事もありますよね…)、更に健眼遮蔽なんてしてたらストレスで外したくなるでしょう。これについては

ぼくら視能訓練士が「見えやすくする眼鏡」ではなく「視る力を育てる眼鏡」という認識を保護者の方にも伝わる様に説明する責任がある

のでしょう。
また、この種の眼鏡の処方の仕方に関してはアトロピンで出した値なのか、サイプレジンで出した値なのか、また生理的トーヌスを考慮した処方なのか等の様々な問題が絡んできます。とにかく屈折矯正を適切に行い、掛けてくれる度数且つ治療効果のある度数を探るしかなさそうです(それが難しいのですが…)

<すぐに眼鏡を外す子の対処法>

家庭ではすぐに眼鏡を外してしまうけど、園や学校、療育先では掛けている時間が比較的長いと言うパターンをよく目にします。それはそれは驚くほど本当によく聞く話です。
恐らく家庭とは違う環境での大人の指導があるからでしょう。家で困難でも周りの環境にいる大人が「眼鏡掛けてね〜!」と言ってくれるだけでも随分と変わるのかもしれません。周囲の大人の協力は不可欠です。
また、

それが出来たのなら家庭でも少しづつ時間を区切って掛ける様に促すのが効果的だと思っています。

例えばご飯の時だけとか、勉強やお絵描きなど机に向かう時だけとか…徐々に時間を伸ばせば殆どの子は眼鏡を掛けてくれる様になっています。

時間は掛かりますが、そうすることによって眼鏡を常用できる様になる子は多い印象です。

これは時間を明確にする事でASD児に対する見通しを立てる事と同義だとも思っています。

<それでもダメな場合もあります>

ここからが本題、最近の悩みどころなお話です。

それは

[首から上に触覚過敏があるケース]

です。そう言った子はコロナ時代のマスク着用も苦痛だったでしょう…
触覚過敏にはマッサージを施すアプローチがありますが、それを眼鏡のテンプルの掛かる耳介部やパットの当たる鼻根部に応用できないかなと考えています。
恐らく最初はくすぐったがったり嫌がったりするでしょうけど、他の感覚過敏と同様に年齢と共に薄らぐのではないでしょうか!?
勿論、これは保護者の方にお願いするのですが、既にマッサージを取り入れている家庭であれば追加で上記の眼鏡の当たる部分も行ってもらうというアイデアです。

<そこでプロに聞いてみた!>

この世界の大先輩である妻に上記の[首から上に触覚過敏がある子]に眼鏡装用が出来るかを聞いてみました。

結論、その子に拠る!

元も子もない結論ですが確かにその通りです。そもそも仮定が曖昧すぎていたのと、実際に目で見て行動を観察しないと見立てができないそうです。
ぼくら視能訓練士がレフ値だけ見て視力・屈折矯正や眼位検査もせずに眼鏡を合わせるのと同じ感覚かもしれません。

そこで次に仮定を[知的障害のないASD児]に限定してみたところ、やはり信頼できる大人が根気強く掛けるように促すのがベストだという事になりました。知的障害が無ければある程度はコミユニケーションが可能であるので、家庭や学校、療育現場で誰かしら好きな大人はいるでしょうから、その大人がしつこく眼鏡装用を言い続ける事によって相手(子ども)の根負けを狙う作戦です。

<最後に>

一口に感覚過敏と言っても程度は本当に様々です。妻の経験では感覚刺激をある程度は我慢できるレベルから刺激が無くなるまで嘔吐し続けるレベルまであったそうです。
流石に眼鏡を掛けただけで吐くのでは常用は相当困難ですが、知的障害が無いのであれば説得からの納得に持って行くしかないかもしれません。どうして眼鏡が必要なのか、無くても死なないけど将来困るかもしれない事、眼鏡を掛けるといい事(よく見える、楽に見える)があるなど…
また、信頼できる大人がその説得→納得に当る必要があります。

ぼくら視能訓練士がその役割になれればいいのですが、まずは一般家庭であれば保護者、入所している子であれば病棟の看護師さんなんかがその役割を担えればと思います。


今回もよく分からん内容で纏まりも無い記事でしたが、ぼくの仮定しためっちゃ難しいケース[眼鏡を掛けてくれない子ども]にどう対処するかと言う答えの出きらない記事でした。
今後とも少しづつ更新してみますので、またお付き合い頂ければ幸いです!
ではまた👻

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