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『北方の地で』No.23

青い目の老人は、イテリメンが用意した水をすべて飲み干すと、白いひげについた水滴を拭い取り、おもむろにチョビヒゲ猫を睨んだ。

その形相にチョビヒゲ猫は震え上がり、急いでイテリメンのそばに避難する。大男はクククと笑うと、突然砂浜に激しい怒りをぶつける。固い拳で何度も砂浜を叩き、異国の言葉で何かを嘆いた。

イテリメンはその様子を見てぼう然とする。なぜなら老人の容貌は、まぎれもないイテリメンの住んでいる国の長その人であり、その長がここで漂流しているということは、イテリメンの故郷に何が起きたのか…想像すら出来ない事態に困惑していると、はるか彼方でワンワンと鳴く声がして、大きな犬が砂浜を一直線にこちらへ向かって走ってくる。

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