#39: こんなときだから♪プロコフィエフ〜馬車に乗って舞踏会へー「シンデレラ」
プロコフィエフ:バレエ音楽「シンデレラ」より シンデレラのワルツ(1945)
#36 -42のテーマは「乗る派? 撮る派? いや聴く派でしょ!ー乗り物の音楽」
「初めて見るバレエでおすすめの作品は?」
と聞かれたならば,家主は「シンデレラ」と答えるでしょう。
理由は,誰でも知っているお話だから!
もちろん,チャイコフスキーの三大バレエも外せませんが,ストーリーとバレエという表現,そして音楽がどのような関係性で成り立っているのか,直感的に理解するには「シンデレラ」の右に出るものはないと思います。
(ああ,早くバレエを観に行きたい!)
バレエの歴史において,音楽の役割は時代によって変化しました。単なる添え物に過ぎなかった音楽をチャイコフスキーが引き上げ,プロコフィエフになると音楽がバレエをリードするようになり,また時代が進むと,バレエは音楽そのもの表現するべきだから,ストーリーはいらない! 特別な衣装もいらない! ダンサーの美しい身体と技術,音楽だけがすべてだ!と主張するアーティストも現れました。
音楽がバレエをリードする,という意味ですが,プロコフィエフは,ライトモティーフを用いて,丁寧に人物や状況を表す音楽でストーリーを綴っています。チャイコフスキーの時代では,慣習からストーリーを展開する場面と踊りを見せる場面が分断されている構成でしたが,プロコフィエフの時代になると音楽でストーリーを綴っていくように,それによってバレエもより音楽に溶け込むような振り付けになっていきました。
本日お送りする「シンデレラのワルツ」は,文字通り,シンデレラが舞踏会で踊るワルツを指しますが,1幕の最後でもこのメロディが演奏されます。これは,仙女がシンデレラに「さぁ,舞踏会へ出発なさい!」と送り出すと同時に,シンデレラの頭の中で憧れの舞踏会で踊るところを想像し始めるのを表しているように聴こえます。馬車が登場し,乗り込んで,もうドキドキが止まらない! っといった感じです。
ファンタジーあふれるワルツとともに,おうちで舞踏会を……は難しいかもしれませんが,せめて体はワルツのリズムに乗せて動かしてみてくださいね!
今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!