特別な観光をしなくても、ただ街を歩くだけで楽しかったよ、わたしは。
先日、東京へ遊びに行った。東京出身のパートナーが案内してくれることになった。
「どこ行きたい?チームラボいいんじゃない?ほかにどこ案内したらいいんだ?」
「Instagramで調べよ〜!…お台場、スカイツリー、SHIBUYA SKY、ふーん……同じのばっかでてくるね。」
東京には何度か行ったことがあったので、有名な場所にはあまり興味がない私。
そして、東京を案内したことがほぼなくて、どこに連れて行けばいいのかわからない彼。
いろいろ迷った結果、落語を見ることと、浅草の雷門に行くことを、なんとなーく決めた。
23歳のキラキラ女子(?)なら、写真映えするチームラボに行きたいだろうと、気を利かせて提案してくれた彼氏を、ガン無視した彼女。
いやー、落語見たかったんだよね〜(笑)。江戸で見る本物はずっと気になってた。
そして迎えた当日。浅草に向かい、雷門をくぐってお参りをした。
多種多様な人がたくさんいる。言語は英語やスペイン語、聞いたことの無い音も聞こえてくる。ああ、東京にはこんなにもいろいろな人が集まるのか、と思った。
食べ歩きのエリアでは、人形焼が売っていた。東京の名物だったことを思い出した。
お寺の天井を見る。世の中の建築物は、金箔や朱色でキラキラしてるのもあれば、木造だけの素朴なものもあって面白いなと思う。
みんな、同じ場所で立ち止まって、写真を撮っている。同じ場所で疲れて、ちょっと立ち止まる。傍から見てたらクスッと笑える。
そろそろお腹がすいたので、おひるに蕎麦を食べることにした。
外で待ち時間があった。たまたま、目の前の電信柱に貼り付けられていた俳句が目に入る。
『静けさや 岩にしみ入る 蝉の声』
「誰の俳句だっけ?」
「松尾芭蕉…しらんけど(笑)」
「調べてみ?」
「……うわ!松尾芭蕉やん!私って天才(笑)」
「どんな意味が込められてるか想像してみて(笑)」
「静かな森の中、緑がたくさんある夏の景色が思い浮かぶわ、、ミーンミーンって蝉が鳴いてて、他には車みたいな機械の音はなくて、自然な風の音だけ。それが岩にぜんぶ吸い込まれてとける、、みたいな」
「(笑)」
眠らない街"東京"にも、俳句を読んでほっこりできるくらい静かな場所が存在したのか、と少し感動した。人がごった返していた雷門とは違った雰囲気だった。
ご飯を食べたら、大きな商店街を抜けて、落語を見に行った。途中で居酒屋が並ぶ通りに出ると、平日の15:00ごろなのに、もう飲んでる人がいてびっくりした。
私が住んでいる長崎で平日に見るのは、公園でおじいちゃんがカップ酒片手に、囲碁や将棋をしている姿だけ。
昼間から居酒屋でベロンベロンに酔っている人は見たことがない。新鮮だった。
そんなこんなで浅草演芸ホールに到着。中学のころ吹奏楽部の演奏で使っていた市民ホールのような雰囲気で、懐かしさを感じた。
最初は見入っていたけれど、途中で寝てしまって、起きて、また寝て、楽しんで、笑って、の繰り返し。
「甘い物食べたくなってきた」
「これ終わったら出るか〜」
若者にはわからない言葉が多くて、たまに退屈だった。でも、話し方や仕草は見るのが面白くて、いい経験になったと思う。
さて、どこのカフェに入るか。東京には山ほどカフェやスイーツがある。とりあえず歩けばなんかあるだろう、ととりあえず歩く。
なーんて、適当な考えがよくないよね(笑)。
「どこがいいかな〜。あ、ここのGODIVAカフェ第1候補ね。」
「てか先に、東京駅見たい。レンガ調の!」
「そうじゃん、どうやって行くんだろ?」
東京駅正面の反対側にいた私たちは、どこに抜け道があるのか分からず、グルグルすること20分。
地下はすべて繋がってるだろうと降りたら、途中で道がないし、お菓子広場を見つけて寄り道するし、もうわけわからん!
でも、歩いているだけで楽しかった。
こんなにも迷うのか、とアホらしくなって面白かった。
前日はディズニーで2万歩も歩いて足はめちゃくちゃ重いはずなのに、気分は軽かった。
そして、やっとの思いで東京駅に着いて、一眼でパシャリ。
「黄色い傘がいいアクセントやん」
ありがとね、女子高生のふたり。おかげで疲れがさらにぶっ飛んだよ。
ここまで来たらなんでもいいやん、ってなって、目の前の新丸の内ビルのカフェに入ったら、求めていたスイーツがなくて、断念。
ほんとに笑えた。そして、またしばらく歩いた。なんで調べようとしないんでしょう。それも楽しいけど(笑)。
最終的に、巡り会ったカフェがこちら。
GODIVAカフェ!!!!さっき違う場所で見たやん!!!!(笑)
そう、東京駅付近で見たGODIVAではなくて、別店舗のGODIVA。全国チェーンの、GODIVA。
とはいいつつ、歩きまくったあとのパフェはめちゃおいしかったよ。大満足。時刻は17:30すぎ。何時間グルグルしてたの?
次の日。新宿で最新ビルに入ったり、建物の間で窮屈そうに走る電車を見たり、大したことはしていないけれど、楽しかった。
「東京は町ごとに歩いている人の層がまったく違うからね。若者が多かったり、おじいちゃんおばあちゃんがのんびりしてたり。」
たしかに。人もそうだし、建物がぎゅっと密集している場所もあれば、高級ブランドしかない場所もあって全然違うな、と思った。1駅行くだけで、こんなにも変わるのか、と。
地元は1駅行ってもずっと山と海は見えているから、変な気分になった。
でも、それが面白かった。
今回の旅行は、ほとんど歩き回ってるだけだったけれど、楽しかったんだ。無理して観光しようと思わなくても、私にとって、"大都会東京"の街並みはすべてが新鮮だったのだ。
彼は、「迷って歩いてばっかだったけど、ほんとに楽しめた〜?ああぁ初の2人の東京の思い出が〜!!!」とか心配してたけれど(冗談かどうかはさておき)、私はめちゃくちゃ楽しかったよ。
知らない土地に行くときは、もちろん観光もしたい。でもその狭間で、道を歩くと、新しい発見がゴロゴロ転がっている。
地元より多種多様な人が集まるのだな、とか、みんな同じ場所で写真撮るの傍から見てたらオモロイな、とか。昼間から仕事せずに飲んでる人がこんなにもいるのか、とか、町によって民度違いすぎん?とか。
チームラボでキラキラしなくても、スカイツリーにらのぼらなくても、ただ街を歩くだけで楽しかったよ、わたしはね。