野菜の無人直売所をヒントに400店舗まで広げた『餃子の雪松』の話
こないださ、田舎長崎を歩いてたら、やけに目立った建物を発見したんだよね。
無人餃子の雪松......。なんか入りにくいけど、気になる...。
てことで、とりあえず友だちと冷凍餃子ワンパック(36個1000円)購入。おうちで焼いて食べてみたら、うまっ!!!
具材たっぷりやし、ニンニクとしょうがの香りが超する!あ〜〜止まらない〜!!
これは、みんなにオススメしたい。てことで、餃子の雪松マーケティング部・部長高野内 謙伍さんにインタビューしてみた!
当初は猛反対だったのに、無人販売で拡大したワケ
高野内さん:最初僕はね、継承するのに反対だったんですよ(笑)。飲食店の経営は、スーパー激戦区だからそんな簡単にいくわけないって思ってました。うちの会社の代表がどれだけ雪松の餃子がおいしいって言っても、信じられなかったんです。
とは言いつつ、とりあえず食べに行ったら「おやおやこれはおいしいじゃないか…!」って気づいて。どうにかこの味を継承できないか試行錯誤して、無人販売のスタイルになりました。
-なんで無人販売に行き着いたのですか?
高野内さん:明確に「無人にしよう!」と考えてはいませんでした。自分たちで言うのもなんですけど、雪松の店内は年季が入ってきれいとは言えないんですよね(笑)。それでも80年以上愛されてきて、遠方の人や著名人も来てくれる。
僕らのなかでは、"伝説の餃子屋さん"。それを継承するからには、より多くの人へ手軽に届けたいと思いました。手軽といえば、安価と冷凍は絶対に実現したかった。無人の24時間営業なら、スーパーのレジみたいに並ばずに、食べたいときにぱっと買えますよね。
"無人販売のパイオニア"そのヒントは?
-無人販売が流行りだしたのってコロナ禍になってからだと思うんですけど、雪松さんはその前からされてましたよね。もとのアイディアってどこから…?
高野内さん:僕らが"無人のパイオニア"のような雰囲気で語られることがありますが、そんなことはないなと思っています。短期間で成長したのは、たしかに雪松。 でも、日本には古くから野菜の直売所があるじゃないですか。それを真似たわけです。
-もしかして…!だからこの時代にキャッシュレスじゃなくて、賽銭箱にお金を入れる仕組みなのですか?
高野内さん:そうそう!ちょっと悪ふざけしすぎて誰かに怒られるかなと思いました(笑)。でも、みんなどんどん真似してるから面白い。
-初めて利用したとき、衝撃でした。どうやって監視してるのですか?盗めそう…(笑)。
高野内さん:監視カメラがありますからね、バレますけど、ふつう盗む人いませんよ!無人じゃなくても万引きされることはあるし。
逆に、「実は分量を見間違えて、1,000円不足してると思うんですけどどうしたらいいですか?」ってわざわざ問い合わせしてきてくださる方もいます。「ちょっとバタバタしてて、お金入れたかどうか忘れちゃったんだけど」とか。お客さんはきちんと連絡してくれますね。
具材は、99%野菜だった!
-猛スピードで店舗拡大して、ファンがつく理由がわかってきた気がします。実は、私もインタビュー前からひそかにファンでして。
高野内さん:おー!!嬉しい!
-野菜がいっばい入ってるし、ニンニクが効いてておいしいので好みの味です。野菜の仕入れ先とか、どんなふうに作っているか、気になります。
高野内さん:実は99%野菜で、肉は約1%。肉を入れないと風味が変わるので、もとのレシピ通りにごく少量入れています。
野菜のなかで一番多いのはキャベツ。特に、雪松の餃子に適しているのは、寒玉キャベツのような葉が厚くしっかりしたもの。
だから、1年中同じものを使わずに、季節ごとに収穫する場所を変えています。
-ちなみに、特製タレは元店舗のをそのまま使っているのですか?
高野内さん:実は、もとのとは全然違います。餃子会の主流である肉餃子は、ほとんどの人が醤油をたくさんつけて食べちゃうんですよね。
でも、雪松の餃子は野菜が多いから、いつものごとく醤油をどっぷりつけてたら台無しになってしまう。だから、ちょっと酸味があるものにしました。もともと、餃子に味付けをしているのでそれをさらに引き立てるようにしています。
忙しい日々に、安らぎを
-今後も、ずっと賽銭箱を貫き通したいですか?
高野内さん:それはわかりませんね(笑)。いつかのタイミングで変わるかもしれません。
やりたかったことは、昔ながらの手法で、昔ながら味を食べてもらうこと。みんな効率とか生産性とか疲れちゃってるんですよ(笑)。のんびりね、ほっこりしてほしいです。
-いま、400近い店舗展開をされてると思います。今後、たとえば海外展開を考えてたりだとか、こんなふうになっていきたいな、というのはありますか?
高野内さん:海外進出は、考えていないわけではありません。でも、海外で今のスタイルは通用しないだろうなと思います。
母親が外国人の社員がいるんですけど、仕事のことをいくら話しても分かってもらえないらしくて(笑)。「自分で商品を冷凍庫から取って、お金を払うの?なんで成立するの?」って。だから、仮に海外で餃子を売るにしても、形態はかわるでしょうね。
-なるほど、文化の違いですね(笑)。面白い話がたくさん聞けてよかったです。ますます雪松さんの餃子が好きになりました!
どう?餃子食べたくなってきた?野菜たっぷりで食べ応えあるし、フライパンで焼くだけで簡単にできるからまじ好きなんよ!!
きっと、あなたのおうちの近くにも無人の雪松餃子があるはず。友だちと一緒に餃子パーティーでもしてみて〜!