鳩が本屋で雨宿りをしていた
鳩が本屋で雨宿りをしていた。正確には、2階にある本屋へと向かう階段にしゃがみ込んでいた。昨夜から降り出した雨は季節の移り変わりの中で戦い疲れた残暑を、いよいよ10月の世界から追い出してしまったみたいだ。鳩はきゅっと体を小さくして、首をすくめ、頭を干したばかりのおふとんみたいに柔らかそうな羽毛で隠そうとしていた。
最初は特に意識をしていなかったように思う。本屋から出ると、階段の半ば、一番右端に、何かがいる、と感じた。中途半端に長いその階段を降りながら、途中、何かが落ちている、