「喪え喪えきゅん」が癖になる! 65歳以上のメイドがもてなす冥土喫茶が大人気
新年の幕開けに考える 「年齢を重ねること」の価値
新年のスタートに、思わず微笑んでしまうような話題をご紹介します。群馬県桐生市で話題となっている「冥土喫茶しゃんぐりら」。ここでは65歳以上のメイドたちが、白いフリルのエプロンを身にまとい、「おいしくなーれ、喪え喪えきゅん」と愛嬌たっぷりにお客さんをもてなします。このユニークなカフェは、地域の高齢者が元気に活躍し、新しい価値を生み出す場となっています。
出典:Yahoo!ニュース(2024年1月6日公開)「高齢者メイドが生む新たな価値 冥土喫茶しゃんぐりらが話題」
https://news.yahoo.co.jp/articles/844745f3a8caaba7f67b612ec9b1db4bf47cd4e1
しかし、この話題の背景には、日本が直面する2025年問題、高齢化社会の現実があります。団塊世代が後期高齢者となり、社会保障の負担が増加するといわれる一方で、健康寿命の延びや高齢者の就業率の上昇といった明るい兆しも見えています。そんな中、「年齢を重ねることの価値」をどう見直すかが問われています。
あの世に持っていけないもの、残せるもの
ここで、田内学さんの著書『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)に込められたメッセージを考えたくなります。本書は「お金」の本質や社会の仕組みを物語を通じて解説し、未来の生き方を問い直す一冊です。特に印象的なのは、「未来には贈与しかできない」という言葉です。
出典:田内学『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)
人は誰しも、いずれこの世を去るときにお金や地位、名誉、肩書きといったものを持っていくことはできません。しかし、他者に贈った時間や知識、愛情、笑顔といった「贈与」は、受け取った人々の中に記憶として残り、未来へと受け継がれていきます。この視点に立つと、私たちが未来のためにできることは、目に見えない「贈与」を積み重ねていくことだと気づかされます。
冥土喫茶のメイドたちは、自分の時間と労力、そして心からの笑顔をお客さんに贈ることで、地域の活気を取り戻し、未来の希望を作り出しています。この取り組みを支える地域の絆もまた、贈与の形の一つといえるでしょう。高齢者が主役となり、新しい生き方を模索し、地域全体で支え合う姿は、未来へのヒントを与えてくれます。
高齢化社会が教える新しい可能性
「年齢を重ねること」は、必ずしも負担や課題だけを意味するわけではありません。むしろ、その中には私たちが見落としがちな「経験」という無形の財産が詰まっています。それをどう活かし、未来の世代へ贈与するかが、新たな社会の形を描くカギとなるでしょう。
冥土喫茶のような取り組みは、年齢にとらわれず誰もが輝ける社会の一例を示しています。そして田内さんの著書が教えてくれるように、私たち一人ひとりが今何を選択し、誰に何を贈るか。その積み重ねが、未来をつくるのです。
新年のスタートに、「年齢を重ねること」の価値をもう一度見つめ直し、与えることを通じた明るい未来への一歩を考えてみませんか?