《全文無料》【マリーンズ略史 92~05/-78- ファーム初の日本一(2005年)】
(78)ファーム初の日本一(2005年)
2005年、プレーオフを制しリーグ優勝、日本一になった歓喜の裏で、一足早く初めて「ファーム日本選手権」に出場したマリーンズのファームが日本一になったことを覚えているファンも多いと思う。
10月8日、古賀監督の下、イースタン・リーグで優勝したマリーンズは、神戸で一軍が日本シリーズで戦うことになる阪神のファームと、ファームの日本一を賭けて戦った。
【9年ぶり7度目のイースタン制覇】
イースタン・リーグがスタートしたのは1955(昭和30)年だが、初初年度のイースタン優勝の栄冠に輝いたのはマリーンズの前身・毎日オリオンズだった。翌年から中断し、1963(昭和38)年から再開し、以降、現在まで続いているが、優勝は55年を含めて6度あった。ただ、6度の優勝のうち、ファーム日本選手権(スタート当初はジュニア日本選手権)がスタートした1987(昭和62)年以降の優勝は、マリーンズとなって唯一の1996(平成8)年の一度だけ。ところが、この年だけ、ファーム日本選手権が開催されなかった。中止の理由は正式に発表されていないが「興行的な理由」、つまり、スポンサーがつかなかったのではないかと言われた。
翌1997年からファーム日本選手権と現在の名称に変えて復活したため、マリーンズは2005年が初出場だった。
2005年は仙台に楽天が誕生したため、イースタン・リーグは7球団となった。開幕から5連勝、1敗して5連勝と飛び出し首位に立つ。3・4月は12勝5敗1分で首位をキープする。4月末から5月上旬にかけ6連敗を喫するも、直後に7連勝する。5月は8勝10敗と負け越して2位に転落、6月も5勝7敗と負け越したが大きな落ち込みはなく2位で首位インボイスを追いかける。
7月に入ると2日のヤクルト戦(ロッテ浦和)で、加藤が球団初となるファームでの完全試合を達成するなど3連勝して首位を奪還。さらにインボイスにも連勝して首位固め。また、14日から20日までの期間限定で古賀英彦二軍監督が一軍コーチとして一軍に帯同した。一軍各選手の状態、チーム状態を把握し、二軍から適材かつ有効な選手を送り出すための施策だった。この7月はは11勝5敗、8月も9勝3敗と勝ち越して抜け出す。9月に入り4連敗を喫するも10勝7敗、10月も2勝1敗と勝ち越し、57勝38敗1分で2位インボイスに5.5ゲーム差をつけて優勝を果たした。
7連勝が1度、5連勝が4度。
投手陣は完全試合を達成した加藤が防御率1.78で最優秀防御率、手嶌が10勝5敗で最多勝のタイトルを獲得。
打者では4番に座った竹原が23本塁打で本塁打王、トップバッターの早坂が34盗塁で盗塁王に輝いた。
【初のファーム日本選手権】
午後1時試合開始予定だったが、30分ほど前に雨に見舞われる。グランド整備を行い予定より15分遅れて午後1時15分に試合が始まった。
マリーンズの先発は加藤、阪神は能見。ともに一軍での実績があり、リーグ戦では格の違いを見せつけた両投手だけに投げ合いが予想された。しかし、加藤はいきなり死球とヒットで無死1、3塁とピンチを招く。一死後セカンド早坂のエラーで1点を失うも後続を断つ。打線は2回裏、四球の竹原を置いて大松がライトスタンドへ運び逆転に成功する。しかし、加藤が捕まる。4回表に2点タイムリー、5回表には2被弾で2失点、2-5とリードを許す。
5回まで3安打、2回に挙げた2点に封じ込まれていた打線だったが、6回裏、竹原、辻、林の3本の二塁打で2点を返す。6回表を手嶌、7回表を成瀬が封じると7回裏、四球の早坂を置いた二死3塁から竹原が5-5の同点に追いつくタイムリー二塁打、続く辻がしぶとくライト前に勝ち越しタイムリー、さらに大松も二塁打、辻もホームに帰り7-5と逆転に成功する。
8回表は成瀬から戸部とつないで9回表は川井がマウンドへ。その川井は二塁打と死球で無死1、2塁、一死後四球で満塁とピンチを招く。しかし、遊飛と最後は三振を奪ってゲームセット。初のファーム日本一を手に入れた。
追撃のタイムリー二塁打と逆転タイムリーを放ちMVPに輝いた辻は「おいしい場面で打席が回ってきました。狙ってました」と笑顔。「絶対に打ちたかった。本当に嬉しい」と喜んだ。
3度宙に舞った古賀二軍監督は「66歳で初めての優勝は嬉しい。うちらしいナイスゲーム、選手たちが良く投げて、良く打ってくれた」と選手たちを讃えた。一報を聞いたバレンタイン監督は「将来が楽しみな選手が多い」と話した。
◆10月8日(スカイマーク 3時間36分 9,574人)
阪 神 100 220 000 = 5
ロッテ 020 002 30X = 7
<マリーンズスタメン→途中交代>
1番 二塁 早坂
2番 DH 田中雅
3番 三塁 青野
4番 左翼 竹原
5番 捕手 辻
6番 中堅 大松
7番 一塁 林
8番 右翼 寺本→打右・曽我部→打右・平下
9番 遊撃・渡辺正→打遊・塀内
<マリーンズ投手>
加藤→手嶌→○成瀬→戸部→S川井
<本塁打>
阪神/喜田、林、ロッテ/大松
◆表彰選手
MVP…辻俊哉
優秀選手…大松尚逸、竹原直隆 (阪神)
(次回)⇒《全文無料》『(79)2002年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録』
----- マリーンズ略史 92~05 INDEX ------
【年度別出来事編】
【~1991(平成3)年】
(1)《全文無料》『千葉移転前夜』
(25)《全文無料》 オリオンズ~マリーンズ ファンクラブ略史
【1992(平成4)年】
(2)《全文無料》『千葉移転元年 4月ダッシュも最下位に沈む』
(42)《全文無料》移転直後の快進撃
(57)《全文無料》5試合で4完封
【1993(平成5)年】
(3)《有料・冒頭試読》『最下位脱出も大差の5位に低迷』
(54)《全文無料》1993年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【1994(平成6)年】
(4)《有料・冒頭試読》『八木沢監督休養、2年連続5位に終わる』
(60)《全文無料》1994年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【1995(平成7)年】
(5)《有料・冒頭試読》『球団改革断行、千葉移転後初のAクラス』
(21)《全文無料》風しん蔓延で主力が消えた14日間
(45)《全文無料》胴上げ阻止、神戸3連戦
(68)《全文無料》1995年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【1996(平成8)年】
(6)《有料・冒頭試読》『投手充実も、得点力不足否めず5位低迷』
【1997(平成9)年】
(7)《有料・冒頭試読》『中盤反攻も迫力不足否めず最下位に沈む』
【1998(平成10)年】
(8)《有料・冒頭試読》『18連敗「七夕の悪夢」もチーム力は向上気配』
(20)《全文無料》なぜ18連敗を喫したのか?
(22)《全文無料》ユニホーム応援が広がったのはロッテから
(33)《全文無料》黒木2冠と小坂の盗塁王騒動
(70)《全文無料》1998年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【1999(平成11)年】
(9)《有料・冒頭試読》18年ぶり「七夕首位」も、連敗喫して4位低迷』
(18)《有料・冒頭試読》熱く育てた山本監督の5シーズン (1999年~)
(28)《全文無料》18年ぶり首位「七夕の歓喜」狂騒曲
(38)《全文無料》前半快進撃支えた「ボーリック神話」(1999年)
(73)《全文無料》1999年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2000(平成12)年】
(10)《有料・冒頭試読》『4月出遅れ5割届かず5位低迷』
(52)《全文無料》乱打戦で連夜の日本タイ記録
(75)《全文無料》2000年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2001(平成13)年】
(11)《有料・冒頭試読》『世代交代、福浦首位打者、小林雅パ記録もエース後半離脱』
(77)《全文無料》2001年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2002(平成14)年】
(12)《有料・冒頭試読》『開幕11連敗が響き借金5の4位に終わる』
(39)《全文無料》あわや、開幕連敗記録に王手
(79)《全文無料》2002年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2003(平成15)年】
(13)《有料・冒頭試読》『終盤に先発安定、9月快進撃も4位で山本監督辞任』
(47)《全文無料》2003年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2004(平成16)年】
(14)《有料・冒頭試読》『ボビー復帰、新制度プレーオフ進出に0.5ゲーム差』
(17)《有料・冒頭試読》「ボビーマジック」とは何だったのか(2004年)
(19)《有料・冒頭試読》巻き込まれた、球界再編騒動
(65)《全文無料》2004年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2005(平成17)年】
(15)《有料・冒頭試読》『プレーオフで逆転優勝、阪神破り31年ぶり日本一』
(16)《全文無料》(付録)『ポストシーズン詳細、二軍合わせて6冠王者成』
(49)《全文無料》45年ぶりの12連勝(2005年)
(62)《全文無料》2005年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
(78)《全文無料》ファーム初の日本一(2005年)
【2006(平成18)年】
(番外編1)(80)《有料・冒頭試読》『第1回WBC8人選出もケガ人続出で4位に終わる』
12/27 UP(番外編2)(81)《全文無料》2006年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2007(平成19)年】
12/29 UP (番外編3)(82)《有料・冒頭試読》『ベテランと若手の融合、2位でポストシーズンへ』
12/30 UP(番外編2)(83)《全文無料》2006年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
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【選手編/投 手】
(23)《有料・冒頭試読》チーム支えたエースの苦悶・黒木知宏(1995~2007年在籍)
(26)《有料・冒頭試読》ルーキーからフル回転左腕・藤田宗一(1998年~2007年在籍)
(27)《有料・冒頭試読》低迷期支えたエース、復帰後はリリーフで日本一・小宮山悟(1990年~1999年、2004年~2009年在籍)
(30)《有料・冒頭試読》抑えの切り札への道・小林雅英(1999年~2007年在籍)
(32)《有料・冒頭試読》マリーンズ初タイトル剛腕エース・伊良部秀輝(1988年~1996年在籍)
(35)《有料・冒頭試読》強気なマウンド、マリーンズ初代クローザー・河本育之(1992年~1999年在籍)
(37)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の最優秀救援投手から手術へ…・成本年秀(1993年~2000年在籍)
(40)《有料・冒頭試読》7年目のブレーク「サンデー晋吾」(1994年~2013年在籍)
(43)《有料・冒頭試読》先発の柱サブマリン・渡辺俊介 (2001年~2013年在籍)
(44)《有料・冒頭試読》中継ぎ切り札から先発の柱へ・小林宏之(1997年~2010年在籍)
(47)《有料・冒頭試読》絶対的エースの信頼・清水直行 (2000年~2009年在籍)
(50)《有料・冒頭試読》球団創設年以来55年ぶりの快挙・久保康友(2005年~2008年在籍)
【選手編/打 者】
(24)《有料・冒頭試読》二軍成長記・福浦和也(1994~2019在籍)
(29)《有料・冒頭試読》打線を支え愛された背番号6・初芝清(1989年~2005年在籍)
(31)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後の戦士・堀幸一(1989年~2009年在籍)
(34)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の新人王、盗塁王・小坂誠(1997年~2005年在籍)
(36)《有料・冒頭試読》「14打席連続出塁」の大記録樹立・南渕時高(1990年~1997年在籍)
(41)《有料・冒頭試読》裏から支えたバイプレーヤー・諸積兼司(1994年~2006年在籍)
(48)《有料・冒頭試読》千葉で途切れた連続記録・愛甲猛 (1981年~1995年在籍)
(51)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後のタイトル・平井光親 (1989年~2002年在籍)
(66)《有料・冒頭試読》球団史上最強のスイッチヒッター・西岡剛(2003年~2010年在籍)
(67)《有料・冒頭試読》球団歴代2位、1089試合の強打捕手・里崎智也(1999年~2014年在籍)
(69)《有料・冒頭試読》主軸をつかんだ4年間・今江敏晃(2002年~2015年在籍)
(71)《有料・冒頭試読》日本一支えた左強打捕手・橋本将(1995年~2009年在籍)
(72)《有料・冒頭試読》つなぎの4番の軌跡・サブロー (1995年~2011年、2012年~2016年在籍)
(74)《有料・冒頭試読》ケガに苦しんだ現役生活・大塚明 (1994年~2010年在籍)
(76)《有料・冒頭試読》投手陣成長を裏で支えた捕手・清水将海 (1997年~2004年在籍)
【選手編/助っ人】
(53)《有料・冒頭試読》中4日のタフネスエース・ネイサン ミンチー(2001年~2004年在籍)
(54)《有料・冒頭試読》「神話」と「ナイト」の勝負強さ・フランク ボーリック(1999年~2002年在籍)
(56)《有料・冒頭試読》安定感抜群の助っ投・エリック ヒルマン(1995年~1996年在籍)
(58)《有料・冒頭試読》 窮地を救ったストッパー ブライアン・ウォーレン(1998年~2000年在籍)
(59)《有料・冒頭試読》「いつか必ずロッテに帰ってくる」の約束果たした フリオ・フランコ(1995年、1998年在籍)
(61)《有料・冒頭試読》勝負強かったハワイアン・ベニー アグバヤニ(2004年~2009年在籍)
(63)《有料・冒頭試読》つなぎ役&勝負強さを兼ね備えた助っ人・マット フランコ(2004年~2006年在籍)
(64)《有料・冒頭試読》韓国の英雄が苦しんだ2シーズン・李承燁(2004年~2005年在籍)
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