《有料、冒頭試読》【73年考察/(9)-投手-「最高勝率、勝率」73シーズン勝率ベスト10】
(写真 左・歴代シーズン最高勝率の成瀬善久と右・歴代通算最高勝率の荒巻淳)
(8)「最高勝率、勝率」73シーズン勝率ベスト10
まず投手の個人記録として勝利数を考察したが、投手の勝ち星に対する評価として「勝率」がある。現在ではシーズンのタイトルとして「最高勝率」があり、投手の貢献度を計る評価として勝率を用いるケースも多い。今回はその勝率についての考察。
ただ、最高勝率のタイトル獲得条件として、規定投球回に加え、過去には13勝以上など、時代によって条件が変わっている。
最高勝率のタイトルを獲得した投手は過去9人いる。
【歴代最高勝率 一覧】
◆1950(昭和25)年…野村 武史(31歳) .81818(18勝4敗)
◆1956(昭和31)年…植村 義信(21歳) .79167(19勝5敗)
◆1960(昭和35)年…小野 正一(27歳) .75000(33勝11敗)※最多勝、最優秀防御率と三冠
◆1973(昭和48)年…八木沢荘六(29歳) .87500(7勝1敗)
◆1984(昭和59)年…石川 賢(24歳) .78947(15勝4敗)
◆1998(平成10)年…黒木 知宏(25歳) .59091(13勝9敗)※最多勝と二冠
◆2000(平成12)年…小野 晋吾(25歳) .72222(13勝5敗)
◆2007(平成19)年…成瀬 善久(22歳) .94118(16勝1敗)※最優秀防御率と二冠
◆2018(平成30)年…ボルシンガー(30歳) .86667(13勝2敗)
※1985(昭和60)年まで「規定投球回数に達した投手のうち、勝率が最も高い投手」
※1986(昭和61)年以降「シーズン13勝以上を挙げた投手のうち、勝率が最も高い投手」
※2002(平成14)年~2012(平成24)は「最優秀投手」として表彰
初年度1950(昭和25)年に最高勝率に輝いたのは野村武史。荒巻に隠れた存在となったが、荒巻に続くローテ2番手として27試合に先発し18勝4敗でパ・リーグ初代の最高勝率投手となった。その後、高橋ユニオンズが設立されると移籍、最終年に大毎に復帰したが1年目の18勝が最高だった。引退後は千葉県船橋市議会議員を務めた。
1956(昭和31)年には植村義信が輝く。この時3年目の植村は21歳。若きエースと期待されたが、その後は故障もあり、この年の19勝が自己最高だった。
1960(昭和35)年には大活躍だった小野正一が獲得。最多勝、最優秀防御率と投手三冠だった。
13年ぶりとなる1973(昭和48)年に八木沢荘六が獲得。この年完全試合も達成した八木沢は規定投球回をギリギリでクリアし、自身唯一となるタイトルを獲得した。
1984(昭和59)年には2年目の石川賢が15勝をマークして獲得する。ただ、石川もこの後は故障に悩まされ、この年の15勝が最高だった。
1986(昭和61)年からは「シーズン13勝以上を挙げた投手」と獲得規定が変更された。1998(平成10)年には千葉移転後初となる黒木知宏が獲得。この年、13勝で3投手が並び最多勝も獲得した。
2000(平成12)年には日曜日ごとに登板して好投し「サンデー晋吾」と呼ばれた小野晋吾が獲得。防御率もリーグ2位を記録した。
2007(平成19)年には4年目の左腕・成瀬善久が最優秀防御率とともに獲得。16勝1敗という好成績で.941はシーズン最高勝率の球団記録である。また、最高勝率を獲得した唯一の左腕でもある。
2018(平成30)年にはこの年に来日したМボルシンガーが13勝2敗で球団史上唯一の助っ投として獲得した。
【歴代シーズン勝率 ベスト10】
※(勝-敗) ◎現役
◆1位…成瀬 善久 .94118(16-1)【最高勝率】2007(平成19)年 ※NPB100傑5位タイ ※最優秀防御率1
◆2位…八木沢荘六 .87500( 7-1)【最高勝率】1973(昭和48)年 ※NPB100傑14位タイ
◆3位…ボルシンガー .86667(13-2)【最高勝率】2018(平成30)年 ※NPB100傑18位タイ
◆4位…野村 武史 .81818(18-4)【最高勝率】 1950(昭和25)年
◆5位…植村 義信 .79167(19-5)【最高勝率】 1956(昭和31)年
◆6位…石川 賢 .78947(14-5)【最高勝率】 1984(昭和59)年
◆〃 …渡辺 俊介 .78947(15-4)(パ 2位) 2005(平成17)年
◆8位…◎石川 歩 .78684(14-5)(パ 2位) 2016(平成28)年 ※最優秀防御率
◆9位…梅沢 義勝 .77778( 7-2)(パ 2位) 1981(昭和56)年
◆10位…村田 兆治 .77273(17-5)(パ 3位) 1985(昭和60)年
※NPB最高…1.000
景浦 将(タイガース)1936(昭和11)年・秋 (6-0)
御園生崇男(タイガース)1937(昭和12)年・秋 (11-0)
間柴 茂有(日本ハム)1981(昭和56)年 (15-0)
田中 将大(楽天)2013(平成25)年 (24勝0敗-0)
※現役最高…石川 歩 .78684(14-5) 2016(平成28)年
1位から6位までは最高勝率獲得投手が並ぶ。トップ成瀬の.94118はNPB史上4人いる0敗勝率10割に次ぐ、NPB100傑5位に入る記録。以下、八木沢、ボルシンガー、野村と8割台の3投手が並ぶ。5位には植村、6位には石川賢。6位の石川賢と同率で2005(平成17)年リーグ2位の勝率だった渡辺が並ぶ。
8位には石川歩が.78684で現役として唯一のランクイン。2016(平成28)年にリーグ2位の勝率だった。9位には1981(昭和56)年の梅沢がランクイン。このシーズン一軍に定着し、130回で規定投球回にギリギリ到達したが勝率は.77778でリーグ2位だった。10位には1985(昭和60)年にリーグ3位だった村田の.77273がランクインした。
【歴代通算勝率 ベスト10】
(オリオンズ、マリーンズ在籍時「1000投球回以上」)◎現役
◆1位…荒巻 淳 .6179(173勝107敗) (通算/.6179 ※NPB100傑13位)
<在籍12年 1950(S25)~1961(S36)/通算13年2球団>
◆2位…小山 正明 .6035(140勝92敗) (通算/.5797 ※NPB100傑28位)
<在籍9年 1964(S39)~1972(S47)/通算21年3球団>
◆3位…小野 正一 .5992(142勝95敗) (通算/.5428)
<在籍9年 1956(S31)~1964(S39)/通算15年2球団>
◆4位…成田 文男 .5828(169勝121敗) (通算/.5757 ※NPB100傑27位)
<在籍14年 1965(S40)~1978(S53))/通算17年2球団>
◆5位…木樽 正明 .5833(112勝80敗)
<在籍通算11年>
◆6位…成瀬 善久 .5769(90勝66敗) (通算/.552)
<在籍9年(2006(H18)~2014(H26)/通算13年3球団>
◆7位…村田 兆治 .5485(215勝177敗)
<在籍通算23年 1968(S43)~1990(H2)>
※参考…◎石川 歩 .5390(76勝65敗)
<在籍中(2014(平成26)~>
◆8位…黒木 知宏 .5278(76勝68敗)
<在籍通算13年(1995(H7)~2007(H19)>
◆9位…小野 晋吾 .5247(85勝77敗)
<在籍通算(1994(H6)~2013(H25)>
◆10位…清水 直行 .5225(93勝85敗) (通算/.512)
<在籍通算(2000(H12)~2009(H21)/通算13年2球団>
※参考…◎唐川侑己 .5166(78勝73敗)
<在籍中(2008(平成20)~>
※NPB最高….697 藤本英雄(巨人、中日、巨人)(1942(昭和17)年~1955(昭和30)年)(200勝87敗)
※現役最高…石川 歩 .5390
歴代通算勝率ランキングでは、1位荒巻、2位小山、3位小野正一、4位成田、5位木樽とオリオンズ時代の時代別のエースが並ぶ。前述の勝利ランキング1位の村田を除く2位~6位までと同じ名前になる。
6位からはマリーンズの投手が並ぶ。6位には成瀬、7位には黒木、8位には小野晋吾とマリーンズで最高勝率を獲得した3投手が続く。9位には八木沢荘六、10位には植村義信とオリオンズ時代の最高勝率獲得投手が並ぶ。
なお、現役では石川歩が6位相当、唐川侑己が11位相当。今後、数字が上下するため参考とした。
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※参考文献、引用--------------------------------
『千葉ロッテマリーンズ ガイドブック』各年度版
『千葉ロッテマリーンズ球団50年史』株式会社スリーライト刊
『週刊ベースボール ON LINE/HOT TOPIC』
最多は王&長嶋がいた巨人、 落合がいたロッテ? 各球団の「首位打者」獲得数と輩出数は?
https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=097-20210819-10
【オリオンズ&マリーンズ 記録・数字の球団73年史 INDEX】
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