
羽田に売ってる黄色いあいつ
口に入れた瞬間ふわりと抜けるバターの香り。硬過ぎず、かと言って柔らか過ぎない。このサクッとした食感が心地よく耳に響く。
私は鳩サブレーが大好きだ。
会社員の時にお土産として1枚の鳩サブレーを頂いたことがきっかけだった。その鳩サブレーの魅力について今日はお話ししたい。
鳩サブレーの基本
鳩サブレーは、鎌倉に本店を構える「豊島屋」が明治時代に生み出した銘菓だ。鳩の形をしたバター風味豊かなサブレで、サクサクとした食感と優しい甘さが特徴。平和の象徴である鳩をモチーフにしており、鎌倉土産として広く愛されている。
この鳩サブレーを生んだ「豊島屋」。実は和菓店なのだ。
商品のラインナップは羊羹、栗きんとん、わらび餅、落雁、饅頭などなど、しっかりと和菓子ばかりが並んでいる。
明治30年頃に外国の方からサブレをもらい感動。初代店主は自分で新しい時代のお菓子を創ろうと思い試行錯誤の末にできたのがこの鳩サブレーである。
味良し。フォルム良し。パッケージ良し。
冒頭にも書いた通り。バターの香りと食感がたまらなく、パクリと一口食べた瞬間 虜にしてしまう。決して複雑で煌びやかな味ではない。本当に素朴な味なのだが、その分しっかりと店主の思いが込められ洗練された味のように感じる。また、この鳩のフォルムがたまらなく可愛いのだ。食べるのが勿体無いぐらいだ。
そしてこの食べるの勿体無い感。どこかで感じたことがあるはず。
そう。まるでたい焼きを食べる時に似ていないか。
可愛いフォルムのお菓子は毎回食べ始めを頭からかお尻からか…迷ってしまう。これはもはや宿命だ。
黄色のパッケージに白い鳩。シンプルだがこれだけで観光客の目を引く。シンプルかつお洒落感を抜群に放っている。4枚入りの箱は小さなバッグのようになっており、ちょっとしたお土産にはもってこい。はたまた、たくさん入っているサイズはパッケージが缶になっており高級感があって贈答用としてもいけるのだ。
Webサイト良し。
一応Webデザイナーの端くれなのでWebサイトにも目がいってしまう。パッケージと同じく黄色基調のWebサイトは、シンプルかつ遊び心に溢れているなんとも素敵なサイトだ。メインビューにはお馴染みの鳩のイラストが大きく掲載されており、サイトを開いたもの心を捕らえてしまう。一度是非ともご覧になってほしい。
地元愛良し。
こちらの鳩サブレーには多数のグッズが存在するのをご存知だろうか?キーホルダー、文房具、コンパクトミラー、ハンカチや手袋まで。結構な数の鳩グッズを販売している。しかしこれらは決してオンラインでの購入ができなくなっている。豊島屋の鎌倉本店に行かないと購入できない。すなわちこれは鎌倉への観光誘致を意味している。
オンラインで販売すると、きっと売り上げも伸びるだろうが、決してそうはしない。このグッズたちは売り上げを目的に制作していないのだ。地元に根付く昔ながらの和菓子屋として、地元である鎌倉に誇りを持っているのがひしひしと伝わる。こういう姿勢が地元に愛され、全国に愛されるのだと感じずにはいられない。
時代が移り変わり、どんなにデジタル化や利便性が叫ばれようとも、変わらないものがある。その土地で育まれた文化や伝統を、守りながらも丁寧に伝えていく姿勢だ。鳩サブレーを手に取るとき、ただのお菓子ではなく、その背景にある店主たちの思いや鎌倉の風景も一緒にふわりと香るような気さえしてくる。
そんな豊島屋のスタンスは、単なる商売を超えた「地元愛の象徴」とも言えるのではないだろうか。そしてその想いは、鎌倉という町を訪れる価値を高め、人々の心にそっと刻まれていくのだろう。
かくいう鳩サブレーのファンを名乗る私は、今だに鎌倉へ行ったことがない。いつか家族で鎌倉へ旅行できる日を夢見て、今日も屋根の上にとまってる鳩を眺めながら思いふけった。
それではみなさん。今日はこの辺で。サラダバー!