千葉県12月議会、折本たつのり一般質問及び答弁(令和6年11月28日)
有志の会、浦安市選出の折本です。登壇の機会を頂きました先輩同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。質問に先立ち、今夏の教科書採択について一言申し上げます。
いまからちょうど百年前の本日、大正13年11月28日、「中国革命の父」と称される孫文は、神戸高等女学校の講堂を埋め尽くした聴衆を前に、「大アジア主義講演」と呼ばれる演説を行いました。そのなかで孫文は、欧米に追従して中国大陸への進出を続ける当時の我が国に警鐘を鳴らし、功利と強権を叫ぶ「西洋覇道の番犬」になるのか、それとも仁義道徳の防波堤たる「東洋王道の干城」になるのかと日本国民に問いかけました。この講演のわずか4か月後、孫文は志半ばで波乱に満ちた生涯を閉じます。
それから百年、今日では日中の立場が逆転し、孫文を「国父」と仰ぐ中国共産党政府が、アジア侵略の覇道を驀進しているのは歴史の皮肉であります。孫文は講演のなかで、日露戦争で我が国の連合艦隊がロシアのバルチック艦隊を破ったときのアジア人の反応を回想しています。彼は当時ヨーロッパから船でアジアに帰っておりましたが、途中スエズ運河を通った時に会いに来たアラビア人たちが、彼が黄色人種であるのを見て喜び、次のように言ったというのです。「これまでわれわれ東方の有色民族はいつも西方民族の圧迫をこうむり、苦痛を受けていて、頭をもたげる日はないと考えていた。このたび日本がロシアを破ったということは、東方の民族が西方の民族を打ち破ったことだと、われわれは考える。日本人が勝ったということは、自分たちが勝ったのと同じだと、われわれは考える。これは当然、大いに喜ぶべきことだ」と。このように、我が国の勝利はアジア民族や有色人種に対して独立への強い希望を与えたのでした。
孫文もまた福岡玄洋社の頭山満や犬養毅、宮崎滔天をはじめ大隈重信や副島種臣など朝野を超えた多くの日本人が彼の革命運動を献身的に支援しました。 大東亜戦争に至る我が国の近代史では、政府が国策を遂行する過程で様々な悲劇や失敗があったのも事実ですが、一方では民間を始めとする多くの先人たちがアジアの独立と共存共栄の為に身を投げ打ったのも事実なのです。
今夏、本県では来年度から県立中学校で使用される教科書の採択が行われ、その結果、歴史公民教科書が、これまでの育鵬社から歴史は東京書籍、公民は帝国書院に変えられました。しかしながら、本県が採択した東京書籍の教科書は、一面的なアジア大陸侵略史観に立ち、上述した様な我が国がアジアの民族や有色人種の独立と共存共栄に果たした世界史的な意義や役割を正当に評価していません。これでは、我が国の誇りある歴史を次世代に継承することは出来ません。
それに私が昨年の一般質問でも取り上げた教科書研究の観点が変わっていないにも関わらず、教育委員による無記名投票によって不透明な形で教科書が変えられたことは誠に遺憾であり強く抗議いたします。今後の教科書採択に当たっては、県当局による真摯な反省と検討を求め質問に移ります。
1.まず羽田空港の飛行問題について質問します。
戦後我が国は、「西欧覇道の番犬」はおろか、米国の従順なポチになり下がってしまいました。その従属体制の象徴が「横田空域」の存在です。本年7月に行われた東京都知事選挙に際して、熊谷知事は、某候補者がSNS上において、都心上空を通る羽田空港の新ルートの下で暮らす都民が命の不安に晒されているとし、国に運用の見直しを求めると投稿したのを引用された上で、「これまで東京都が羽田空港の恩恵を受けながら、騒音の影響に晒されることが少なかったのは、羽田空港の着陸便が対岸の千葉の上空を通り、千葉県民が騒音の影響を受けてきたから」と指摘し、「この不公平を当時千葉市長だった熊谷知事を含めて千葉側が訴え、一部時間帯で東京都心上空を飛行するようになった」「空港がもたらす恩恵と騒音についてバランスを図る難しさを受け止めてほしい」と述べられました。ご説御尤もであります。
しかし、羽田に着陸する飛行機が本県上空を飛行するそもそもの原因は、首都上空に広がる「横田空域」という管制空域の存在にあります。戦後、我が国が在日米軍に広汎な治外法権を認めた旧日米行政協定、現地位協定の下で、配布資料でお示ししたように、一都九県に及ぶ首都圏上空の広大な空域が横田基地に駐留する在日米軍の管制下に置かれたまま今日に至っております。この「横田空域」と呼ばれる巨大な空域を避けるために、羽田や成田空港を使用する民間機は、離陸後の急上昇や本県上空を旋回する不自然な飛行ルートを強いられているのです。来年戦後80年を迎える我が国において、旧態依然として首都上空の管制権が外国軍隊に掌握されている事実は、およそ独立国家として極めて異常であり、一刻も早く主権を取り戻さねばなりません。また、上述した急上昇や旋回による不自然な飛行ルートは、飛行安全性の低下や余計な燃料コストによって空港容量を制約し、羽田成田両空港の国際競争力を阻害する要因になっております。
そこでお尋ねします。
〇熊谷知事は、国に対して米国からの横田空域の返還を強く求めるべきではないか。
【回答】
羽田空港の航空機騒音が集中する本県では、これまで県及び関係25市町で構成する連絡協議会を通じて、国に対し、首都圏全体での騒音共有の実現を強く求め、令和2年3月にはその第一歩となる都心上空ルートの運用が開始されました。
横田空域の返還は、千葉県上空における騒音影響の軽減につながる可能性があることから、県としても、関係自治体と連携して国に対し要望を行って いるところであり、引き続き、あらゆる角度から更なる首都圏での騒音共有の実現に向けて取り組み、県民の騒音負担の軽減を図ってまいります。(総合企画部長)
再質問)
まず、横田空域の返還に関する国への要望については、これまで関東地方知事会や九都県市首脳会議などの場を通じて提出されたと承知しておりますが、政府に対する横田空域の返還要望について協議する場に知事が直接出席したのは、関東地方知事会では平成26年、九都県市首脳会議では、平成22年が最後であると伺っております。
平成22年に出された九都県市首脳会議の要望は、横田空域の返還と「軍民共用化」を公約に掲げて当選した故石原慎太郎都知事を座長とする「首都圏の航空政策に関する提言」でした。そこでは「我が国では首都圏における航空政策の立ち遅れから航空需要に十分対応できない状況が続き国力を低下させる要因の一つになってきた」とした上で、「首都圏の空港機能を補完するため、横田基地の軍民共用化の早期実現を図るとともに、横田空域の早期返還を実現し、より合理的な航空路を設定すること」と明記されました。
石原都知事は、同年6月の都議会において、「大体、我が国の空の管制が、非常に大きな部分、外国にゆだねられている現状はまことに異常でありますが、これは絶対に正さなくちゃいけないと思います。ただ、空域の占拠も含めて、彼らは非常に正直にいっておりますが、横田の問題は、我々、世界第二次大戦で日本に勝った戦勝の記念品であるということをいってはばからない。こういったものに対して、政権がかわろうとかわるまいと、政府はやっぱり腰を据えていうべきことをいわないと、なかなか相手は譲ってこないんじゃないかと思います。」と発言されています。
この様に、当事者である自治体のトップが問題意識を持ち、顔を揃えて国に要望するのでなければ、政府への本気度も伝わらず、メディアや世論へのインパクトも薄いと思います。特に今年は日米地位協定の改定を掲げる石破茂政権が発足し、米国では同盟国の自立を厳しく求めるトランプ氏が再び大統領に当選したことから、横田空域返還の気運は高まっており、熊谷知事におかれましてはその優れたリーダーシップを是非ともこの方面でも発揮して頂きたいと思います。そこでお尋ねします。
〇羽田空港に係る騒音問題の当事県として、熊谷知事は知事会等の場で政治的リーダーシップを発揮すべきではないか。
【回答】
県としても、横田空域の返還は、千葉県上空における騒音影響の軽減につながる可能性があることから、関係自治体にも働きかけながら、引き続き、県民の騒音負担の軽減に取り組んでまいります。(総合企画部長)
2.次に国産給食について質問します。
今年5月、「農業の憲法」とも言われる食料農業農村基本法が制定から四半世紀ぶりに改正され「食料安保の確保」が明記されました。国は令和2年に策定された食料・農業・農村基本計画において、食糧自給率の目標を令和12年度にカロリーベースで45%、生産額ベースで75%と定めました。今回の法改正で、「食糧自給率」は基本計画が掲げる唯一の目標ではなくなりましたが、食糧安保の重要な指標であることに変わりはなく、本県も国と連動し、自給率目標の達成に向けて全力で取り組む必要があります。
その上で、今回は国産食材を使った学校給食、略して「国産給食」について質問致します。というのも、学校給食は国民の食生活の基本を形成するものであり、我が国の自給率を高めていくためには、学校給食での食育を通じて国民の食に対する意識を高めると共に、公共調達による需要拡大を通じて国産化を推し進める必要があると考えるからです。そのためには、まずは現状を正確に把握する必要があります。文科省は都道府県ごとの「学校給食における地場産物・国産食材の使用状況」を公表しており、本県は令和4年度で地場産物が54.4%、国産食材が89.4%となっております。しかしこの割合は国の食料自給率計算と異なり、食材の仕入金額ベースであり、輸入飼料による畜産物の生産分も国産に含めるなど、我が国の食糧自給の実態を反映したものとは言い難い状況にあります。そこで、お尋ねします。
(1)国の食料自給率の計算方法に準拠した形で学校給食の自給率を計算し直し、実態把握に努めるべきと考えるがどうか。
【回答】
本県では、国の第4次食育推進基本計画に基づく調査において、学校給食における地場産物・国産食材の使用割合の実態を把握しています。当該調査の実施により、同計画に掲げる目標の達成状況等を確認し、取組の推進につなげているものと認識しております。(教育長)
我が国の食料自給率を押し下げている大きな要因は、詰まるところ、国民の食生活が変化し輸入小麦の消費が増え、米の消費が減ったことにあります。戦後、我が国では余剰小麦の輸出拡大を目論むアメリカの食料戦略の下で、「洋食推進運動」が展開され、「コメを食うと馬鹿になる」という科学的根拠のない悪宣伝と共に、パン食と粉食を普及するキッチンカーが全国津々浦々を巡回し国民の食生活が改変されていきました。かくして洋食化された食生活を伝統的なコメ中心に戻すのは並大抵のことではなく、我が国の自給率を上げるために当面必要な対策としては、小麦の国産化を図るとともに、パンや麺などに使う小麦に代替するものとして米粉の生産、消費拡大に努める必要があると考えます。そこで、お尋ねします。
(2)パンや麺など、学校給食における国産小麦の使用状況はどうか。また給食における米粉の導入状況はどうか。
【回答】
学校給食における国産小麦の使用状況について、詳細は把握しておりませんが、パンについては、県内52自治体において、100%国産小麦を 使用していると聞いております。
一方、麺については、栄養教諭等が価格や日々の献立のバランスなどを踏まえて、うどんやパスタなどの各種の麺を選定しており、製品によって、 国産小麦と輸入小麦の配分は様々です。
また、米粉については、揚げ物の衣やスープなどに活用している例があるほか、給食への地場産物の活用等の推進のために設定している「千産千消デー」の取組においても、米粉の団子汁やマフィン、ドーナツなどの献立が報告されています。(教育長)
要望)
国産給食について、麺については把握していないとのことですが、各学校や給食センターで仕入れているものを市町村の教育委員会を通じて、実態把握に努めて頂きますようお願い致します。
県の食育推進計画では県産食材の消費を促す「千産千消」を掲げておりますが、「国産国消」は掲げておりません。県として小麦の国産化と米粉の普及拡大などによる、「国産国消」を食育計画などにおいても打ち出して頂きますよう要望致します。
ところで、本県の教員は、児童生徒と同じ給食を食べております。それは、給食は食育という教育活動の一環であるとの考えによるものです。教員には、給食という身近な教材を通じて、我が国の食料自給の実態を児童生徒に伝え、食に対する意識を啓発するという意味での「食育」を担う重大な使命があると考えます。
しかし全国的に学校給食費の無償化の流れが進む一方で、浦安市では食材費の高騰を理由に教員の給食費は値上げされております。そこで教員の給食費については、食育という公務を遂行する上で発生した費用との考えに立ち、また慢性的な教員不足のなかで教員の負担軽減と処遇改善を図るという観点からも、県として給食費を減免すべきと考えます。
そこで(3)県は教員の給食費を減免すべきではないか。
【回答】
学校給食法第11条第2項において、同項に規定する学校給食費は、学校 給食を受ける児童または生徒の保護者の負担と示されており、同様に、教職員にも負担を求めているものと考えております。(教育長)
要望)
教員給食費の減免については、先日浦安市長にも面会して要望しましたが、県がやるならうちもやると言って頂きました。是非共、県市で協力して教員の処遇改善の観点からも取り組んで頂きますよう要望致します。
3.次に教員の外部人材の活用について質問いたします。
全国的な教員不足が問題となり、本県も未配置教員が増加しております。こうした中、現在本県では、教員免許を所持した新卒者や既卒者を対象とした「教員不足解消に向けた緊急対策事業」を実施しておりますが、同時に、教員免許を持たない塾講師など外部人材の活用を推し進める必要があると考えます。その上で、本県で昨年度より実施している学校での塾講師を活用した事業は、教員の指導力や児童生徒の学力向上に資するのみならず、新たな人材確保による教員負担の軽減にも繋がるものと期待しております。また、優れた外部人材の活用は、公教育の質を高めることによって、家庭の経済力による実質的な教育格差の是正にもつながります。
(1) そこで、県が昨年度より実施している学校での塾講師を活用した事業の成果についてどのように認識しているか、お尋ねします。
【回答】
塾講師の指導方法の有用性について、昨年度検証したところ、理解の定着度に合わせて個別に宿題を与えるなど、個に応じた指導方法等が、児童の学力を伸ばすことに効果が見られました。
今年度は、これらの検証結果を踏まえ、塾講師の強みを生かす取組として、児童生徒の学習課題に個別に寄り添える補習や、きめ細かな支援を行う授業補助を、小・中学校10校で行っています。
当該校からは、「授業でつまずいていた子供たちの理解が、補習により、深まっている」「授業補助で、塾講師が子供たちの学習状況等を把握でき、補習効果が高い」等の声があがっております。(教育長)
教員免許を持たない塾講師などの外部人材が教壇に立つには市町村の教育委員会の推薦の元に特別免許状を授与される必要があります。しかし、お配りした資料にもありますように、昨年令和5年の本県における特別免許状の授与件数は、全体で84件。その内、私立学校が62件なのに対して、県立学校が11件、市町村立学校は、11件に過ぎませんでした。また、私立学校の授与科目が算数や数学、理科、社会など複数の科目に亘っているのに対して、市町村立の学校は殆どがTA(ティーチングアシスタント)への英語や技術科目で占められております。このように、公立での特別免許状の授与件数が少ない背景には、現行の「教育職員免許法」において、特別免許状の授与に必要な資質が「担当する教科に関する専門的な知識経験又は技能を有する者」及び「社会的信望があり、且つ教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を持っている者」という曖昧な基準になっていることも要因の一つになっているのではないかと思料致します。
そこでお尋ねします。
(2) 今後どのようにして外部人材の活用を推し進めていくのか。
【回答】
学校教育の多様化への対応や活性化を図るためにも、外部人材の活用は 重要であり、特別免許状の活用も有効な手段の一つであると考えています。
県教育委員会では、特別免許状の取得を促進するため、ホームページを 改良し、制度の概要や実際の授与事例を紹介するとともに、申請期間の通年化や事務手続きの簡略化など、申請しやすい環境づくりに努めているところ です。今後とも、就職フェア等あらゆる機会を通じて広く制度を周知するとともに、特別免許状の授与等に係る他県の事例や学校現場のニーズを改めて把握し、外部人材の更なる活用に努めてまいります。(教育長)
4.次に交通問題について質問します。
昨年の12月議会における一般質問において、県道西浦安停車場線、通称「若潮通り」の交通問題について質問させて頂きました。その際、若潮通りの今川橋東詰及び西詰交差点において歩行者の青信号を延長する等、改善に向けた検討が必要ではないかとの私の質問に対して、「令和5年度中に両交差点において交通量調査及び分析を実施し、これらの結果に加え、両交差点の交通実態や利用者の意見、要望を踏まえ、必要な改善を図る」旨、前向きなご答弁を頂きました。その後、本年5月には同交差点において県警による歩行者青信号を延長した実証実験が実施され、私も立ち合わせて頂きましたが、懸念された車両の交通渋滞などの支障はなかったものと承知しております。後は早急な事業実施が待たれる所です。そこで、お尋ねします。
(1)若潮通りの今川橋東詰及び西詰交差点における交差点改良の進捗状況はどうか。
【回答】
ご指摘の各交差点の改良に向けては、令和5年度中に実施した交通量調査や本年5月に実施した実証実験の結果から、当該交差点において、歩行者の 青時間を延長することに交通管理上の大きな問題はないものと確認したところです。
この結果を踏まえ、県警では、令和7年度事業において、各交差点で歩行者青時間の延長に併せ、スクランブル交差点への改良を図るなど、交通の最適化に向け取り組んでいくこととしており、今後も道路管理者と緊密に連携しながら調整を進めてまいります。(警察本部長)
要望)
今川橋交差点の改良については、令和7年度中に向けて動いて頂いていることをしかと確認させて頂きました。何としても事業の早期実施をお願い致します。
次に自動運転バスの実用化についてお尋ねします。
路線バス運転手が慢性的に不足するなかで、県内における地域交通は厳しい状況にあります。浦安市も、本年3月からコミュニティバスなど市内の路線バスが一部減便され、市民から多くの苦情が寄せられております。しかし一方では、バスの運行を維持する為に多額の公費負担を要しているのも事実です。こうしたなかで、本県や浦安市は、路線バス運転手の確保に向けた支援事業を実施しておりますが、併せてIoT等の先端技術を活用した自動運転など無人・省力化の取り組みも推し進める必要があると考えます。そこでお尋ねします。
(2)本県では自動運転バスの実用化に向けてどの様に取り組んでいるのか。
【回答】
自動運転バスは、運転手不足に対応する有効な手段の一つになり得るものと認識しており、現在、松戸市や横芝光町を含む全国99か所において、国庫補助を活用した実証運行等が実施されているところです。
県では、本年9月に、市町村職員を対象とした会議において、県内先進事例の一つとして横芝光町の実証運行事業を紹介したほか、来年3月には、町と 連携して自動運転バスの試乗や説明会を実施することとしており、こうした取組を通じて、市町村における自動運転バスに対する理解を深めていきたいと考えています。
引き続き、全国的な取組状況を注視しながら、自動運転バスの導入を目指す市町村等の取組を支援してまいります。(総合企画部長)
再質問)
自動運転バスなどの取り組みを推進するため、県は新モビリティーサービス導入推進事業を実施していると伺っております。そこで、この事業の活用に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。
【回答】
本事業では、デジタル技術を活用した公共交通サービスの導入を促進するため、自動運転バスのほか、これまでにAIを活用したデマンド交通にかかる実証事業や、キャッシュレス決済にかかる調査などへの補助を行ってきたところです。
今後も、国や県の補助制度や先進事例の紹介などを通じ、新たなモビリティサービスの導入を促進してまいります。(総合企画部長)
次に、 県道西浦安停車場線におけるトラックの駐停車問題について質問します。旧第二湾岸候補道路である県道西浦安停車場線において、主に近隣の鉄鋼団地に搬出入をしている荷待ちのトラックが列を為して駐停車し、エンジン音による騒音などについて周辺住民から苦情を頂いております。配布資料にある写真が現場の状況です。片側二車線ある道路の両側にトラックが止まっています。
そこで(3)県として現状をどのように認識しているのか。またどのような対策を実施しているのか、お尋ねします。
【回答】
県警では、違法駐車は、歩行者や車両の安全な通行の障害となるほか、緊急自動車の活動に支障を及ぼすなど、県民生活全般に影響を与えるものと認識しており、県道西浦安停車場線を管轄する浦安警察署では、同路線を、重点的に取締りを行う「駐車監視員活動ガイドライン」に指定し、警察官による警戒活動及び駐車監視員による巡回活動を行うなど、総合的な駐車対策を推進しているところです。
引き続き、違法駐車の実態、地域住民の意見、要望等を踏まえた違法駐車対策を推進してまいります。(警察本部長)
再質問)
旧第二湾岸候補道路のトラック駐停車問題について再質問します。トラックの荷待ちは我が国の物流業界が抱える構造的な問題であり、警察の取り締まりによって一時的に移動させても、別の場所に止めるだけで、いたちごっこになってしまいます。私が現地を確認したところでは、道路の未利用地で、配付資料の青丸・黄色丸の部分等に、駐車場として使えるようなスペースがありました。
そこで伺います。
〇同県道の未利用地の一部をトラックの駐車場として提供することは出来ないか。
【回答】
未利用地の利用については、駐車場としての利用も含め、公募により決定しており、公共的または公益的な利用目的の場合には、優先的に利用を認めることとしています。(県土整備部長)
要望)
県道の未利用地については、既に鉄鋼団地組合が配布資料にある青丸の一部を借り受け、一般車両用の駐車場として使用しております。しかし仮に、それ以外の未利用地をトラック用の駐車場として借りた場合には、駐車する全てのトラックが鉄鋼団地組合に関係する車両とは限らない上に、ドライバーの労働環境の改善と周辺住民の静謐な環境の保持といった公益性の観点からも、鉄鋼団地組合が使用しやすい形で道路の除草や進入路の縁石の切り下げなど、県の負担において環境を整備する必要があると考えます。当局におかれましては配慮をお願い致します。
5.次にPPP(官民連携)について質問します。
県は限られた予算の中で必要な事業を実施する財源を確保する為に、既存の公有財産を有効に活用し新たな収入を確保する努力を尽くす必要があります。その際、民間の資金やノウハウを活用した公有財産の効率活用の手法としてPFIなどの官民連携(PPP)が注目されます。そこでまず、
(1)PPPについて、県としてどのように認識しているか。またその実施に向けた取り組み状況はどうか、お尋ねします。
【回答】
PPPは、官民が連携して公共施設の整備等を行うものであり、事業の特性に応じて民間の創意工夫を取り入れることで、県民サービスの向上や経費の削減を目指す有効な取組と考えられます。
県では、PPPの手法の一つである指定管理者制度やPark-PFIによる民間活力の導入を進めるとともに、施設整備にあたっては、本県のガイドラインに基づき、PFⅠの活用も選択肢の一つとしています。
また、PPPの取組を推進するためには、その手法や効果への理解を深めるとともに、官民の交流促進が効果的であることから、本年8月に設置した「千葉県PPP/PFI地域プラットフォーム」に おいて、県内市町村、金融機関及び商工団体等が参加するセミナーや公共施設の利活用案等について意見交換を実施することとしており、引き続き、官民連携の推進に取り組んでまいります。(熊谷知事)
前述した、旧第二湾岸予定道路である県道西浦安停車場線の未利用地については、第二湾岸道路構想が頓挫して以来、数十年の長きに亘って未整備の状態が続いております。こうしたなか、熊谷県政の下で新湾岸道路計画がようやく動き出したものの、浦安や都県間を含む高谷JC以西の計画は全く白紙の状況であり、今後、仮に旧第二湾岸候補道路が新湾岸道路として選定されたとしても、道路の計画には道路交通調査から事業着手まで少なくとも数十年の長期間を要することが想定されます。そこで、それまでの間、未利用地に定期借地権を設定して収益施設の建築を可能とし、事業収益の一部を市が整備する緑道の維持管理などに充てれば、県による新たな財源確保と行政コストの削減、そして市民の利便性の向上にも資するものと考えます。
(2)そこで、県道西浦安停車場線の未利用地について、官民連携を行うなどして有効活用を進めてはどうか。
【回答】
県道西浦安停車場線の未利用地については、まちづくりやにぎわい創出 などの観点から、公共的または公益的な利用を優先することとしており、地元の浦安市が緑道として活用するなどしています。
また、公共的または公益的な利用の意向がない未利用地については、将来の道路整備の支障となり得る、除却が困難な建物を設置しないなど、一定の条件の下、公募により使用者を募集しています。
今後も当該未利用地について公募等を進め、有効活用を図ってまいります。(県土整備部長)
要望)県道西浦安停車場線の未利用地については、相手が民間の事業者であっても、停止条件特約付きの借地契約とし、建物の解体や原状回復に要する費用をあらかじめ保証金として預かれば道路の使用の支障にはならないのではないかと考えます。柔軟な検討をお願い致します。
6.次に観光対策について質問します。
本県が導入を検討している宿泊税は、観光振興に目的を限定し、一律150円の定額制で事業規模45億円のうち、約42億円の税収を見込んでおります。今年の本県における宿泊者数はコロナ前を上回る勢いで増加しておりますが、コロナ前の令和元年は千葉県が2,010万人であったのに対して浦安市は807万人であり、全体の4割を占めておりました。つまりこの割合でいうと、42億の税収のうち、約17億円は浦安市内の宿泊者から徴収する事になります。
本県は宿泊税財源の1/4程度である約11億円を市町村やDMO(観光地域づくり法人)が行う地域ならではの取り組みに充てるとしておりますが、自治体間の受益と負担の公平性の観点から釈然としません。私は県による課税そのものに懐疑的です。
一方で同様に宿泊税を導入している福岡県は、福岡市以外では200円の課税のうち、県が半分の100円を徴収し、残りの半分は宿泊者数と観光客数の数に応じて、独自課税をする福岡市や北九州市以外の市町村に交付しています。また福岡市については、宿泊者の多数を占める福岡市が150円を徴収し、福岡県には50円が配分されます。浦安市の観光コンベンション協会もこの福岡市方式を提案しております。
宿泊税については、現在浦安市も観光客の救急搬送や駅前施設の再整備に充てる財源として導入を検討しており、県は市町村が観光振興以外の目的で事業を実施する場合は、独自の宿泊税を上乗せできる様に配慮したとの事ですが、県の課税に上乗せする形で徴収することになれば、宿泊代金が高額になりかねない事から、浦安市の自主性は制約を受けます。そこで質問します。
(1)宿泊税の使途を観光振興のみに限定すべきでないと思うがどうか。(2)使途を限定される補助金ではなく、使途を縛らない交付金にすべきではないか。
(3)宿泊税について、自治体の負担に見合った配分を検討すべきではないか。
【回答】
県が導入することとした宿泊税は、広域的な観点から、県全体で観光人材の確保・育成・定着や、インバウンドの推進、デジタル技術の活用などの観光振興施策に取り組んでいく必要があるため導入するものでございまして、その使途は、これら施策に限定していくことを考えております。
その上で、必要に応じて市町村が独自に上乗せして課税することにも配慮した税率となっております。この方向性については、千葉県観光振興財源検討会議においても御理解をいただいたところです。
また、宿泊税の税収のうち、一部を市町村等の取組への支援に活用することを考えておりますが、その対象は、広域的な観点から県と連携するものや、県の方向性と合致する取組を想定しております。この支援の交付方法を、補助金とするか、交付金とするかや、具体的な配分方法などについては、今後、市町村等の意見を聞きながら、検討を深めてまいります。(商工労働部長)
再質問)宿泊税について再質問します。県による検討会議の結論では、課税免除は外国大使等のみとし、修学旅行等の例外規定は設定しないことが適当とされています。しかし、修学旅行生については、コロナ前である令和元年における本県全体の宿泊者52.9万人の内、浦安市は40.6万人であり全体の76%以上を占めている上に、近年ディズニーのチケット価格が値上げされ、宿泊費も高騰しているなかで、本県と浦安市の宿泊税が加算されることになれば、修学旅行生の浦安離れを引き起こしかねません。
〇そこで、修学旅行生には課税を免除すべきではないか。改めて質問致します。
【回答】
宿泊税を活用した魅力ある観光コンテンツの造成等により、体験学習の 充実が図られるなど、修学旅行生にとっても宿泊税の効果は還元されるため、課税免除とはしない方向で考えておりますが、説明会等において、子供の教育機会の確保や保護者の負担軽減などの御意見もあったことを踏まえ、宿泊税を活用した修学旅行向けの支援などについても検討する必要があるのではないかと考えていることから、引き続き使途について検討を深めてまいります。(総務部長)
次にクルーズ船専用岸壁の整備について質問します。配布資料をご覧ください。
今年7月、浦安市が擁するディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド社は、豪華客船によるクルーズ船事業への参入を発表しました。同事業の計画によると、2028年度の就航を予定し、当面は首都圏の港を発着する周遊クルーズがメインで2泊から4泊程度の短期航路が中心、将来的には海外への就航も目指すとしています。クルーズ船は、総トン数約14万トン、客室約1,250室、乗客定員約4,000人であり、日本籍のクルーズ船としては最大級とのことです。
これを好機とし、本県も県内の港湾をクルーズ船が寄港できるように整備し観光周遊を推し進めるべきではないでしょうか。国は、昨年3月に閣議決定した「観光立国推進基本計画」において、「クルーズ再興に向けた訪日クルーズ本格回復への取組」として、「令和7年に訪日クルーズ旅客をコロナ前ピーク水準の250 万人まで回復させるとともに、外国クルーズ船の寄港回数がコロナ前ピーク水準の2,000回を超えることを目指した取組を推進する。地方誘客を進めるため外国クルーズ船が寄港する港湾数について、令和7年にコロナ前ピーク水準の67港を上回る100港とすることを目指して取り組む。」としています。こうした機運を捉え、本県としても国や地元自治体と連携しながら県内の観光周遊に資する港湾整備を推し進めるべきと考えます。そこでお尋ねします。
(4)県はクルーズ船を活用した観光振興の必要性についてどのように考えているのか。
【回答】
三方を海に囲まれた本県にとって、海は国内外から観光客を呼び込むための重要なコンテンツの一つであり、その魅力を活かした観光振興に積極的に取り組んでいるところです。
クルーズ船の寄港は、来訪者と地元住民との交流ばかりか、食事、観光、ショッピング等による消費額の増加、ブランド力の向上など、地域経済の活性化につながるものと考えています。
感染症の収束後、クルーズ船は世界的に人気が高く、今後、新たなクルーズ船の就航が相次いで予定をされており、国内外の需要は、さらに増加をするものと見込まれております。
県では、こうした需要を取り込むために、岸壁の整備や下船後の周遊コースの造成など、クルーズ船を受け入れるために必要な環境について、事業者や 寄港地となる地元市等と研究を重ねているところです。(熊谷知事)
(5)また、県内港湾におけるクルーズ船の寄港の受け入れ状況はどうか。
【回答】
多彩で魅力的な観光資源を有する本県の観光振興や地域活性化を図るため、県内の港湾ではこれまでに、館山港において、クルーズ船が寄港できる多目的桟橋を設置し、平成22年の供用開始以来、クルーズ船「にっぽん丸」を受け入れています。
また、物流港である木更津港においても、既存岸壁を改修し、地元市を始めとした地域と連携協力しながら、平成29年度から国内クルーズ船の受入れを行っております。(県土整備部長)
再質問)港湾整備についても再質問します。
県内港湾において、クルーズ船専用岸壁の整備などの更なる受け入れ体制を構築する必要があると思うがどうか。
【回答】
本県の港湾は、全国第2位の貨物取扱量を誇る千葉港や全国第13位の木更津港など主に物流拠点としての港であり、他の港湾においても、主に一般貨物を取り扱う港となっております。さらなる受入れ体制の構築について、課題もありますが、地域と連携しながら研究してまいります。(県土整備部長)
再々質問)
周知の様に、浦安市には年間3千万人以上の観光客が訪れます。そこで今後浦安の埠頭がクルーズ船の寄港が可能な岸壁として整備されるのであれば、浦安の港を玄関口として、クルーズ船による県内周遊への道が開かれ、本県の観光振興に大きく資するものと考えます。お手元に当時浦安のスーパー高校生であった水野重春さんが描いた「浦安港計画」のイメージ図をお配りしました。
こうした港湾整備は、私が昨年の一般質問でも触れた様に、三方を海と川に囲まれる浦安市において、大規模災害時には主要道路が寸断され、ディズニー客など大量の帰宅難民が発生する事が懸念されることから、水上での救援物資や人員の輸送体制を構築する上においても有効と考えます。そこでお尋ねします。
〇浦安市沖にクルーズ船が寄港可能な港湾施設を整備する場合、今後どのような手続きが必要か。
【回答】
一般的に港湾管理者により施設を整備する場合には、必要な調査を実施し施設計画を策定した上で、港湾法に基づき、港湾区域に指定する必要があります。指定には国の同意が必要であり、さらに国への協議に当たっては、その区域に関わる様々な関係者の同意が必要となります。(県土整備部長)
7.次に堀江ドックの整備について質問します。
堀江船溜まり、通称「堀江ドック」周辺の護岸の耐震化について、昨年の一般質問で質問しました。その際の答弁では、県は浦安市と将来的な護岸の形状などの検討を行っているとの事でありました。令和元年に策定した浦安市の「総合計画」では、堀江ドックについて「耐震化にあわせた防災桟橋の整備など防災機能の強化や、防災桟橋を活用した江戸川区との渡船事業など堀江ドックの魅力づくりに取り組む」と記してあり、市民も高い関心を以て見守っております。
〇そこで、その後の市との協議状況はどうか、お尋ねいたします。
【回答】
堀江船だまり周辺の高潮護岸については、地震による浸水被害を防ぐため、耐震対策を図る必要があると考えており、市と将来的な護岸の形状等の検討を行っているところです。
事業の実施にあたっては、当該地に係留している船舶等の移動や撤去が 必要となるため、係留船等の撤去指導や処分に向けて、県と市の役割分担などについても、協議を進めているところです。
なお、当該地は昭和41年に整備されたものであり、土地の帰属に関する 調査に時間を要しておりますが、引き続き、市と連携して、耐震対策を早期に実施できるよう努めてまいります。(県土整備部長)
最後に、8.少子化対策について質問します。
昨年の一般質問では、少子化対策の一環として、県営住宅における新婚や子育て世帯向け限定住宅の拡充や入居にかかる収入要件の緩和について質問したところ、「地域の需要などを踏まえながら、限定住宅の提供戸数を増やすなど、子育て世帯がより入居しやすくなるよう取り組む」旨、前向きな答弁を頂きました。
〇そこで、その後の取り組み状況はどうか。
【回答】
県では、住宅に困窮する子育て世帯を支援するため、入居募集の抽選時に優遇措置を講じるほか、小学校就学前の子供がいる世帯について、応募要件となる収入基準額を15万8千円から21万4千円に緩和するなどの取組を行っています。
さらに今年度は、応募者を子育て世帯に限定した住宅について、最寄り駅 から徒歩圏内とする立地要件を撤廃するなど、選定基準の見直しを行い、7月に11戸であった対象戸数を、10月は32戸に増やして募集しました。
今後も、住宅に困窮する子育て世帯が、県営住宅に入居しやすくなるよう、優遇措置の継続や限定住宅の提供などの支援に、引き続き取り組んでまいります。(都市整備局長)
時間切れ)
再質問)8.県営住宅における子育て世帯向け限定住宅について再質問します。提供戸数を倍増した旨、ご答弁を頂きました。誠にありがとうございます。先の議会での討論でも申しました様に、本県の県営住宅に入居が可能な子育て世帯を含む裁量階層の政令月収は21.4万円以下ですが、平成23年の公営住宅法改正により、県の裁量での収入基準を政令月収25万9千円まで引上げる事が可能です。そこでより多くの子育て世帯が入居できる様にする為に、県営住宅について収入要件を引き上げるべきと考えるがどうか