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信用創造⑩  ―日銀当座預金って何?―

さて、当座預金が
・運用されない
・利子も付かない
・口座間を移動する貨幣の金額をメモするためだけに存在する貨幣
ということを知ると、必然的に「日銀当座預金」というものが何なのかも見えてきます。

日銀当座預金とは「政府・日銀・民間銀行がお互いの口座間を移動する貨幣の金額を数字的にメモするためだけに存在する貨幣」なわけで、(本来は)利子も付きません(現在は何故か利子が付きますが…)。
どのように貨幣が移動したか「政府・日銀・民間銀行」が「確認し合う・照会をする」為だけの

メモ貨幣

なのです。

逆説的に言うとこの

「確認し合うための数字的なメモ」が無くなるとどうなるでしょうか?

それはもちろん、貨幣の数字的確認が仕合えなくなりますので、

「貨幣の信用」が崩壊します。

というわけで、

日銀当座預金というのは、とても大切なのです。

ところで、図5-2は「日銀当座預金」を「準備預金」と呼んでいる箇所があります。

これは金本位制度だった時代の名残です。
金本位時代、銀行内での引き落としの現金貨幣や、大口小切手の決済に必要になる場合の貨幣の確保は「銀行に預けに来た他の顧客の現金貨幣の一部を銀行内に保管しておく」ということで賄っていました。
「取引のために事前に準備しておく貨幣」のことだったのです。

今はそのような貨幣は必要ありません。例え大口の取引が行われたとしても、日銀が日銀当座預金を万年筆マネーで発行するからです(しつこいですが、これは当座預金の万年筆マネーによる発行であって、信用創造ではありません)。
現代は現金貨幣や金貨、という物質的な貨幣が準備預金として必要なくなったのです。

民間銀行が顧客の通帳に万年筆マネーで信用創造をしようとした場合でも、万年筆マネーである日銀当座預金を準備預金として、両替して銀行預金にして顧客の口座に更にもう一度万年筆マネーで信用創造しているのですね。

まぁ、それも建前なんですけどね。

日銀当座預金のを元手に国民の現金通帳に信用創造をしている、というのは一種の物語にすぎません。

さて、
これまで長々と「政府の信用創造」において発行された貨幣にいかにして「貨幣の信用」を付与するのか、という「物語」を語ってきました。

しかし、次からは

物語の建前と、貨幣の事実

をお話させていただければと思います。

注意していただきたいのは私が言っているのは

建前を蔑ろにする、ということではありません。

寧ろ事実と「建前」も大切であるということをご説明してゆきたいと思っています。


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