キビソとへその緒
繭の一番外側にある短い糸を生皮芋、
キビソと言う
この糸は蚕がはじめに吐く糸で、タンパク質が多く含まれているため乾燥すると固くゴツゴツとした風合いになる
わたしはこの独特な表情がとても好きで、糸繰りの時の副産物としてではなく、キビソ自体を大切に取っておいている
昨日、糸繰り体験に伺った幼稚園で
いつものように自慢げにキビソの説明をしていたわたしに、その場にいた2人のお母さんが
「キビソってへその緒に似てる!」と声をあげた
わたしが昔母から「これがあなたのへその緒よ」と見せてもらった桐の箱の中には、干からびた豆のようなものしか入ってなかった
キビソは長短の繊維が絡まっているので
もっと長く、どちらかというとさきいかに似ている
よくよく聞くと2人は助産院での出産経験があり、うち1人は自宅出産も経験されていた
へその緒は赤ちゃんが外に出てからも
暫くはその働きをやめない
赤ちゃんが息を吸い
肺に空気が入り
声を出した瞬間から呼吸が始まる
それまでおかあさんと繋がっていたへその緒は
そこでやっと役目を終える
その助産院では
へその緒が動かなくなってから
ジョキン、と切らせてくれるらしい
そして長いまま、渡される
その話を聞いてから
わたしはキビソがさきいかから
へその緒に見えてきた
いのちがつながる
キビソとへその緒
最近近しいところで赤ちゃんが産まれた
へその緒でつながっていた赤ちゃんは
今やずっとそうであったように
あたりまえに肺で呼吸し大きな声で泣いている
たった1週間前にはつながっていた母と子
あたりまえではない
生まれてくるって
息をして泣いてるって
ようこそ
おめでとう
#へその緒#キビソ#蚕糸#かいこ#糸繰り
#さきいか
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