作品解説【鉄の掟】
タイトル : 鉄の掟、サイズ : F30号(910×727/mm)、画材 : マットメディウム,アルミパウダー,ブロンズパウダー,顔料,岩絵具,白麻紙、制作年 : 2019年
この作品の制作動機は「いずれ居なくなってしまうのであれば、物体(モノ)にしてしまう」です。
僕は動物を描くことが多いのですが、全ての動物がいずれこの世から消えてしまうのではないのかという恐怖から絵画にしていると自分では認識しています。動物が好きだから描いているという感じではありません。
動物たち(ペットや品種改良含む)は予定調和など関係なく、己の利害で行動するので突発的で行動が読めない、それに直面した人間は臨機応変に対応しなければならなく、どうしても本音が行動になって見えてしまう。人でも動物でも己の判断のみで行う行動(言葉以外)には本音が隠されていて、その行動が現状を良くするための考えのはずです。つまり素をさらけ出した姿になるわけです。
相手の本音をあぶり出す生き物(人間を含む)が減っていくこの世に退屈と恐怖を感じています。
今回の作品は牛を描いています。しかも種牛。高校の頃に行った北海道旅行の記憶から着想した形になります。
種牛(牛の繁殖や品種改良のために飼う雄の牛)は酪農牛のベースになるので、とても大切なのですが、その様な牛でもそのうち用済みになる時代はやってくるのではないだろうかと考え、人間が人間の生活のために必要で飼っていたけれど、それでも必要なくなった、じゃどうなる、居なくなるしかないよね、でももう彼らは機能しない。しかもすでに改造(品種改良)されているから野生にも戻れない、じゃどうすれば、次の時代にフィットする様にまた改造改良するしかない。
この作品は金属成分に体を侵されながら、徐々に錆びていく様を描いています。
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京都府在住。画家(アクリルor膠彩画)。現代社会に生きながら、人々の痕跡を見て暮らしています。人が沢山いる所に居ても、なぜか寂しくなるだけ。だから『何か』をして楽しみたい!というのが行動動機です。