アスパラガスの土づくり②
2022年の3月末から4月頭にかけて植えたアスパラガスの畑。
とっても順調です。
なんでこんなにモサモサなのか。もっとひ弱に育つと思っていたのですが、なんかすごいことになってます。森ですね。
しかもすでに11月となってまして、そろそろ枯れ上がってくる時期なのですが、暖かいのもあってまだまだ元気そうです。このまま光合成を続けてほしいところです。
今回は、具体的にどんな方法でアスパラガスの土づくりをしたのか、をまとめていきたいと思います。
大まかな栽培の方針としては、
「多肥栽培が基本のアスパラガスであっても、初期成育を確保できる程度の量の肥料成分だけ入れて、足りなそうだったら、その都度液肥などで補った方が、ムダな病害虫の被害も防げるし、消毒や殺虫剤も使わずに済むのではないか。肥料成分の代わりに有機物をしっかり入れて、微生物にじっくり分解してもらいながら、これから先の肥料としていく。」
というもの。
とは言うものの、それほど厳密に肥料分を計算したり何かしたわけではありません。
ただ、基本的な考え方として、
「できるだけ有機物が豊富な土壌にしていく。ミネラルなどの微量要素も入れて、微生物がはたらきやすいような環境をつくって、あとは微生物や土壌生物にお任せしていく」
というもの。
ここは理由や理屈を詳細に書くと永遠に終わらなくなるので、具体的に何をしたかというと、
植える二か月前に、
①米ぬかをどっさり入れる。1反あたり1000ℓは入れる。
②自家製堆肥をまあまあ入れる。材料はモミガラ・草・竹チップ・米ぬか。1反あたり全体で1トン程度。
③堆肥以外にもモミガラ・竹チップを生のままどっさり入れる。どちらも1反あたり5000ℓは入れる。
④モミガラ燻炭をたくさん入れる。1反あたり1000ℓは入れる。
⑤微量栄養素としての貝化石石灰と苦度石灰はPHバランスを見ながら少しずつ入れる。米ぬかが効いてくるまでの初期成育確保として鶏糞を少々入れる。
⑥上記内容を施肥した後、何度も浅く耕してよく土と混ぜたあと、天地返しするように、30センチほど深く耕せるロータリーで一度耕うんする。
というもの。これを定植1カ月前までに終わらせました。
めちゃくちゃ大変でした。来る日も来る日もモミガラと竹チップをハウスの中に運搬する日々でした。
堆肥の切り返しも大変でしたし、何もかもが大変だったなと今思うと泣けてくるくらいです。
大変だったのは確かですが、それが今になってとても順調な生育に繋がっていると思われます。
でも、普通はここまでやりません。
そもそも今時、堆肥を自家製する人はあんまりいません。
モミガラ燻炭を自家製する人もほとんどいません。煙が大量に出るので、近所迷惑になるためです。私の畑は近所に住宅が少なく、どの住宅からも100m以上離れているので、燻炭を製造できています。
さらに、竹チップを農業に使う人もあんまりいません。手に入れるのが少し大変なのです。私の場合、畑の周りの山林に竹が群生していて、地主さんがたまたま整備する気になって、その竹チップをもらえることになったため、使う機会に恵まれました。
モミガラについても、近所の米農家さんからいくらでももらえるし、米農家さんの都合が悪かったらライスセンターまで行けばすぐもらえるし。
米ぬかは町内のライスセンターで大量にもらえる時もありましたし、近隣のコイン精米機を回れば、それなりにまとまった量が手に入ります。
私の場合、やる気と環境がうまくマッチして、こんな感じの土づくりができて、そしてそれが今のところうまく行っている、という状況です。
竹チップはそもそもあまり手に入りませんし、米ぬかやモミガラが豊富に手に入る環境も意外と少ないようです。
ここまでいろいろできたからこそ、今の生育に繋がっているようです。
そして一つ、重要な点があります。
ほとんどお金がかかっていない上に、身近で手に入るもの中心に使っている、ということです。
上記のもので、「購入したもの」は石灰類と鶏糞のみです。
厳密に言うと、米ぬかやモミガラを取りに行った時のガソリン代や、モミガラ燻炭をつくる燻炭器代などはかかっていますが、そこまでの経費ではありません。
しかも、鶏糞と石灰類以外は、ほとんどが畑から半径20キロ以内で手に入れたものばかりです。できるかぎり、安価かつ近隣で、栽培資源を獲得できれば、農業を続けていくことがより容易になります。
いわゆる、「地域資源を活用した持続可能な農業」というものです。周囲を見渡せば使えるものは意外と多いですし、あれが欲しいこれが欲しいと周りの人に伝えておけば、じゃあこれいる?と声をかけてくれる人はけっこういたりします。
その場にあるものを活用しながら、いわゆる「低投入」に徹しながら農業をする、というのも今の時代では大事なテーマではないのかな、と思います。とはいえ、そこを重視するあまり、けっきょくちゃんとしたものが栽培できない、という風にならないように気を付けなければならないとも思いますが。
今のところ、そのバランスは取れているのかなと思います。メインでは地域資源を活用しつつ、他所から購入した資源で補っていく、という体制になっていると思います。
何か支障が出るまでは、この方針で続けていきたいなと思っています。
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