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笑って、泣いた
久しぶりに笑い泣きした。
笑いすぎて涙が出ることはしょっちゅうあるけれど、そうじゃない。
可笑しくて、悲しかった。
こういった矛盾した2つの感情を同時に抱くことは、普段の生活ではそうそうないだろう。
友人の結婚式で新郎さんがやたらと号泣しているのを見たときの、幸せな泣き笑いもあれば、元彼との楽しい出来事を思い出したときの、切ない笑い泣きもある。
わたしが笑い泣きするのは、大切なものやひとに対する思いがこみ上げて、心が震えたとき。
◇
先日、sumikoさんの記事の写真を見て、視線が釘付けになった。
マーシー。懐かしい。ふと、当時のことを思い出した。
同じ頃、ニュースで亡き志村けんさんの人気番組だった『志村けんのだいじょうぶだぁ』がYouTubeで期間限定で公開されたことを知った。
わたしは慌てた。え?これは見るしかない。今すぐ。
大きな声では言えないけれど、こどもの頃テレビばかり見ていた。
志村けんのだいじょうぶだぁは、たしか小学生の時に見ていた。記憶はあいまい。でも、おなかを抱えて大笑いしていた。へんなおじさんも真似して踊った。恥ずかしいね。
同い年の主人に聞くと、見ていないと言う。
どうして?普通見てるでしょ?
さっさと仕事を終わらせて、ひとりで動画を見た。
いきなり冒頭からパンチをくらった。
地上波では流せないものがそこにはあった。いろいろとね。あまりに見ているほうが恥ずかしくて、オープニングは早送りしたよ。ぱいのぱいのぱいだもん。親が顔をしかめていたのを思い出す。
面白かった。
30年前と同じように、苦しくなるくらい笑った。抜群のチームワークで、笑いを作り上げていた。みんなコントをしながら笑いをこらえていて、そんな姿も、そう、大好きだったのだ。
でも、笑いながら同時に悲しくなった。
画面には笑顔でいきいきした志村けんさんがいる。でも、もういない。
こんなにおかしくて笑っているのに、笑わせてくれているのに、もういない。
そう思ったら、笑いながら涙が出た。
こんなにひとを笑わせて、泣かせてしまうひとなんて、そういないよ。
何度も何度も水をかけられて滑って転んでいる姿を見て、涙がこぼれてしまった。
あっという間の30分。懐かしくて、楽しくて、切ない不思議な時間だった。
世の中は大変なことになってしまった。志村けんさんも、そのウイルスで亡くなった。みんなに元気を届けたいと、番組の制作の方も昔の映像をそのままに流してくれたのだと思う。広告収益は、赤十字に寄付されるという。
おもしろい番組は色あせない。暗くなりがちな今を忘れて、遠慮なく笑わせてもらった。
志村けんさん、いままでたくさんの笑いをありがとう。そして、マーシーは輝いていた。悲しくなるくらいとても。
寂しいのに、次の動画が見たい。おかしいよね。そのときわたしはきっとまた笑い泣きするだろうな。
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