さむい日は魅惑のサバンナへ 筑波実験植物園
つめたい小雨が降る週末。あたたかい場所を探して、茨城県つくば市にある筑波実験植物園へ行ってきました。(写真はすべて2023年11月26日に撮影したものです)
筑波実験植物園は、国立科学博物館が植物の研究を推進するために設置した機関です。園内には日本に生育する代表的な植物をはじめ、世界の熱帯や乾燥地に生育する植物や、熱帯雨林、サバンナ、水生などの温室があります。
散策の前に、管理棟に設置されているパンフレットを一部いただきました。
筑波実験植物園のパンフレットには、屋外・屋内それぞれの見頃「今週のベスト3」が紹介されています。マップと解説が付いているのでわかりやすく、ありがたいです。
管理棟のすぐ横にあるメタセコイア並木道は、オレンジ色に色づいていました。
80万年前に存在していた木だなんて想像できないけれど、ロマンがあります。
よく見ると、メタセコイア並木は、ところどころ緑色をしています。
じつは緑色の木は、セコイア。メタセコイアと同じヒノキ科の木ですが、紅葉しないんですって。交互に植えてあるところがなんとも植物園ぽくておもしろいです。
この日は真冬並みの気温だったので、温室へまっすぐ向かいました。
サバンナ温室
最初に行ったのはサバンナ温室です。
入口の扉を開けたらほんわかあったかくて、湿度もやや高め。一瞬、眼鏡が曇りました。
ジャングルのような通路を歩いていると、直径50センチほどの、つるつるすべすべした立派な木がありました。
パン? 見上げると、5メートル上のほうに白くてもわもわしたものがぶら下がっていました。あれが花なのかな。
さらに進んで行くと、見覚えのあるピンクの花が咲いていました。たしか、福島県の大熊町にたくさん咲いていた花。そうそう、ネムノキだ。
ぺったりとした葉っぱのかたちから、マメ科の植物であることが分かります。
ネムノキは夜になると小葉を合わせて閉じて、葉が垂れ下がるのだそう。そして夕方になると、花が咲きます。
こちらは葉も花も閉じていました。雄しべがくるんと丸まっていて、ほんとうに眠っているみたい。不思議な花だなあ。
お次は、こぶしより大きいサイズの真っ赤な植物。トゲオニソテツというそうです。
人々の生活がゆたかになっていくことで、消えてゆきそうな植物。ともに生きていくことはできないものでしょうか。
サバンナの植物は植生やかたち、それぞれが個性的です。
今週の温室のみごろ3位のアロエ・ラモシッシマ。大きな株の上に、穂になったつぼみがついています。わたしの身長よりもすこし高いくらい。
熱帯資源植物温室
通路を渡り、併設する熱帯資源植物温室へ向かいました。ここでは、おもにわたしたちの生活に身近な植物などが展示されています。
さっそく温室みごろ2位、レモン「ポンテローザ」を発見です。果実は15~20センチくらいの大きさでした! どんな味がするのかな。
熱帯雨林温室
いったん温室を出て、熱帯雨林温室へ移動します。
扉を開けると、むわっとした空気。サバンナ温室よりもさらに湿度が高くなり、展示されている植物には水滴がついているほどです。ダウンジャケットを羽織っているのが辛くなって、脱ぎました。
そして、見えてきました…! みなさんも覚えてらっしゃるでしょうか、あの植物を。
温室のみごろ1位は、、、、、
じゃーん! ショクダイオオコンニャクです!!!
今年の5月に巨大な花を咲かせたショクダイオオコンニャクが、たくさんの果実をつけていました! なんとショクダイオオコンニャクの果実が見られるのは日本初なのだそうです。
もう、なんなの。圧倒的な存在感ったら…!
なんでも、スタッフの方々が人工授粉されたようです。すごいなあ。
ちなみに、もうひとつのショクダイオオコンニャクはこんな感じでした。
今年は、2月の花芽から11月に果実ができるまで、一年をとおしてショクダイオオコンニャクの生活サイクルを見ることができました。これもスタッフの方々のおかげです。また見事な花を咲かせてくれるといいなあ。
ショクダイオオコンニャクに圧倒されたまま温室を出ると、外はひんやり冬景色。
夏、赤く色づいていたハグマノキ(スモークツリー)が、白色に変わっていました。
ぜひ、さむい日はサバンナ・熱帯雨林へ。
筑波実験植物園は、多種多様な植物がいっぱい。体もこころもホットになる、おすすめのスポットです。