小学校教師の自分に優しい働き方 毎日の宿題を無くそう
こんにちは。育休中の教師IROです。
最近教師の残業代についてのニュースが話題となっていますね。教師の働き方が議論される対象になったことは、大変喜ばしいことだと思います。
大量の業務に追われる先生方の負担を少しでも減らすべく、自分に優しい働き方として、私の実践をご紹介します。
今回のテーマは、毎日の宿題を無くそう!です。
先生の皆さん、どんな宿題を出していますか?私は元々、沢山の宿題を出していました。漢字・計算ドリル、音読、プリント、低学年なら日記、高学年を担任するようになってからは自主学習、新聞やレポート作り…。ドリルはノートと書き込み両方やって、自主学習は月に◯回提出、忘れたら次の日に持ってくるか休み時間教室に残ってやる。子どもも教師も宿題だけでヘトヘト、そしてイライラ。
学級のきまりを明確にしないとクラスは荒れていくので、宿題も出すからには全員集めないと!って思っちゃうんですよね。言い方悪いですが、サボっている人を認めちゃうとそれが他のことにもどんどん蔓延しちゃうような感じがして。面談等で話してみると、保護者の方も家庭学習の習慣付けに困っていることが多いような気がします。
そんな中私は育休に入る前の2年間、毎日の宿題を無くしました。結果的に、教師も子どもたちも良いことづくし、育休終了後に担任をもってもそうしたい!と思っています。以下、そのときの経験を思い起こしながらまとめてみました。ご覧ください。
宿題廃止のメリット
【教師視点】
まず宿題の提出チェック•丸付けが無くなります。先生は、朝宿題を出しているか確認して名簿にチェック、出していない子に声をかけて、間違いがあったら付箋をつけて直させて・・・これを毎日やると、相当時間を取られますよね。休み時間や給食中、終わらない時は授業の時間を使うこともあり、子どもと向き合う時間は確実に減ります。宿題を無くすことで、これらの時間を他のことに使えます。結果、子どもたちと向き合う時間が増え、授業にも全力投球できました。
宿題未提出者への指導も無くなります。宿題を出すからには、忘れた子どもへの指導は必要です。宿題をやらない子には朝から指導、必要に応じて休み時間にやらせる、保護者に連絡、大人も子どもも気が滅入ってしまいます。毎日の宿題が無ければこれも解消。
そして、宿題が無くなると宿題の内容を考えなくて良いし、準備もいらないのでプリント等の印刷もありません。何なら毎日連絡帳を書く必要もありません。担任の仕事は時間勝負なのでこういうちょっとした時間を捻出するのがとても大切。テストの丸つけをしたり、次の授業のイメージをしたり、気になる子に声をかけたり、休み時間ならちょっと職員室でお茶を飲んだり、それだけで毎日とっても楽になりますよ。
【児童視点】
児童視点でもメリットがあります。まず、教師視点でも書いたように宿題忘れによる叱責が無くなります。宿題を忘れると怒られるから学校に行きたくない、なんて子も結構いますから。怒られる理由が無くなると、ハッピーです。
宿題の直しに追われることもありません。勉強が苦手な児童は必ずいます。個性ですから良いんです。きっとそういう子は授業で取り組んだ問題やテストも直しがあるでしょう。それだけでも大変なのに、宿題の直しもあったら友達と遊ぶ時間も減ってしまいます。そんな学校、楽しくないですよね。せめて、宿題の直しくらい無くしてあげましょう。
そして、毎日の宿題が無ければ放課後は自分の好きなことをする時間が増えます。近年は習い事をしている忙しい子も多いので、これは嬉しいですよね。小学生ですから、放課後友達と遊ぶことが必要だとも思います。宿題は中学で沢山ありますから、今のうちに思う存分遊んでもらうのも良いのではないでしょうか。
宿題廃止のデメリットとそれらの対策
では、宿題廃止により考えられるデメリットとは。保護者の方の心配として、家庭学習の習慣が付かない・学力低下、この二つがあげられるでしょう。宿題と学力の関係は、色々な研究がなされています。試しにGoogleで調べてみると、沢山あって結局どれが正しいの?ともっと迷いそうです。私は、完全自分の経験談からお話ししますので、明確な根拠をお求めの方はぜひ調べてみてください。🙇
日々の授業に力を入れる方が合理的!
さて、考えてもみてください。目の前にいる子ども1人を変えるのだって、大変ですよね。自分の子であっても、親の言う通りに成長していくだけの子どもはいません。ならば、他人である教師が、同じ空間にもいない家に帰ってからの子どもの習慣を変えるなんて、到底無理な話じゃないですか。
昨今、教師の厳しい言動は体罰の対象となり、問題視されています。熱心な先生ほど、家庭学習の習慣をつけてあげようとペナルティーを与え、何とか頑張って取り立てます。それが逆効果となり、不登校となったり保護者の方からクレームを付けられてしまったりすることもあります。結果、教師の心が壊れていくのです。
また、家庭環境から宿題をする時間や余裕がない子もいます。自身のもつ特性から、宿題をすることが人より難しい子もいます。そんな子どもたちのために、一人ひとりにあった宿題を毎日出すとなると、先生も負担です。
学力をあげたいならば、授業に力を入れましょう。目の前の子どもの姿を見て、必要な支援をしましょう。そちらの方がよっぽど効果がある気がしませんか?
自主学習へのサポート ※但しやりたい児童のみ
でも、家庭学習の習慣を付けたいという気持ちは勿論あります。保護者の方からも「家でも勉強を頑張らせたいです。塾は行っていません。先生からの言葉じゃないと、やる気を出さないんです。」こんな言葉をよく聞きます。
そんなときの方法の一つとして、自主学習を進めるのはいかがでしょうか。年度初めにアナウンスすれば、やる気のある子は必ず自学をやってきます。そしたら、花丸をつけてコメントも書いてあげましょう。毎日じゃなくて良いです。自学も全員提出にしてしまうと先生が大変ですが、やりたい児童のみにしてしまえば1日に見るノートは多くても10冊でしょう。それくらいなら時間を見つけて見ることができると思います。忙しかったら子どもに謝ればいいんです。「ごめん。今日忙しくてノート見れなかった。今度必ず見るからね。」それに対して、不満を言う子どもはいません。その代わり、後日きちんと見てあげましょう。約束を守る教師は子どもから信頼されます。
テストの工夫により、自ら学ぶように促す
家庭学習の習慣付けや学力向上のため、毎日宿題を出さない代わりにテストの工夫も行いました。事前に保護者と児童にテストの日程、内容を周知します。そして、あまりにも点数が低ければ再テストor追加の課題を出す、だから勉強してきてね、と伝えます。余裕があれば、学習が苦手な子には「ここだけお家でやってきたら?」と声をかけることもありました。自学を提出する児童が増えることもあるし、先生に見せなくても家で勉強してくる児童もいます。勿論、再テストパラダイスになることもありました。でも、毎日の宿題のチェック等々に比べれば、こっちの方が全然楽なんですよね。例え家で勉強してこなくても、テスト前に必死に教科書見たり、得意な友達に聞いたりしている姿を見ると、これで充分だなと思います。
また、Xで見かけた〈漢字50問テスト、その漢字を使った別の単語を書いたら加点〉というのも実践しました。確かこのツイートかな。
私は+2点にしてた気がするんですが、凄い子は、300点を超えることもあってテスト返しのときに紹介しました。真っ黒だったもんなあの子のテスト。
算数テストでもこれを真似して、図・数直線を書いたり、筆算・答えの確かめ計算をしていたら+2点というのを取り入れました。どちらも丸つけの負担が増えるので毎回は出来ませんでしたが、学力向上に繋がる上、教師に出された宿題に取り組むよりも、自分で考えて勉強することが求められる方法だと思うので、毎日の単調な宿題よりも効果はあったと思います。
実際学力はどうだった?保護者の反応、他の先生との足並みは?
では、私のクラスの学力はどうだったのか。毎日の宿題廃止を実施したのは2年間。どちらも高学年です。どの自治体でも、年度末に学力診断テストがあると思うんですが、どの教科も都道府県の平均を超えていました。一年目は三教科学年トップ、二年目は算数だけ学年トップ他教科は二番目でした。(身バレ防止のためクラス数は書きませんが、大きい学校です)勿論クラスの子どもたちの元々の学力、保護者の方の協力があってこその結果であり、私の指導のおかげではありません。ただ、毎日の宿題を無くす=学力が低下する というわけではないかな、と感じましたのでご紹介しました。
保護者の方からの反応は、人それぞれでした。「去年より家で勉強をしなくなった」とおっしゃる方がいたのも事実です。その子には、個別に声かけをして対応をしましたが、それが正しい方法だったのかは分かりません。
ただ、私は家庭学習は親の責任、授業中は担任の責任と割り切ると決めていました。実際その子は授業中とても頑張っていましたし、学力も高くやりたいことを見つけたら自分から勉強するだろうな、と思える子でした。心配するお母さんの気持ちも分かりますけどね🥲
他の先生との足並みに関しては、管理職・主任に理解してもらうしかないです。私はその点恵まれていたと思います。一年目に学力で結果を出せたのも大きかったです。
とはいいつつ、たまには宿題を出す
ここまでつらつらと書いてきましたが、実は宿題を0にはしていません。授業で終わらなかった部分は宿題にしましたし、テスト前にプリントや特別課題を出すこともありました。でも、毎日宿題を出さないと決めるだけで仕事の仕方が劇的に変わるんです。
子どもたちへのアナウンスは、
「先生はこの1年間、基本的に宿題を出さないつもりです。ただ、それによって学力が下がるのならば、その方法は取れなくなります。だから、授業には真剣に取り組んでほしいし、分からないところは自分でも復習してください。ドリルは、学校でも家でも良いから自分で進めてください。そして、みんなの様子を見て必要だと思った時は宿題を出すよ。そのときは、ちゃんとやってきてね。」
こんな感じです。そして、出した時はしっかりチェックして出していない子は、学校で一緒にやります。保護者の方も「あ、宿題が完全に0になるわけじゃないんだ。ちゃんと先生考えてくれてるんだ」と思ってくれてたら嬉しいんですが、こればっかりは聞いてみないと分かりません。
まとめ
なんだか長くなってしまいました。私がたまに出していた宿題については別記事にまとめたいと思います。宿題を出さないと楽なのは分かったけれど、低学年にもそれは通用するの?これも、別記事にて言及したいです。とにかく、宿題を毎日出さないと決めただけで、とーっても楽ですよ!これが私の伝えたいことです。
子どものためと何でも頑張りすぎるのは、教師みんなで辞めましょう。力を入れる部分とそうでない部分にメリハリを付けて、教師も子どももハッピーになる学校が増えますように。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。