子どもが溺れかけた話
①
子どもが立てるようになった頃、私達夫婦はそれぞれ1回ずつ風呂で子どもを溺れかけさせています。
たいそう寒い浴室なので、湯船の中につかまり立ちさせてお喋りしながら自分の体を洗っていて、シャワーを出そうと目を話した瞬間に子どもが消えました。
湯船を覗き込んだら目を開けたまま真顔で沈んでいく子どもと目が合い、慌てて持ち上げました。
水面から出たところで初めてびっくりした顔をしましたが泣いたりはしませんでした。
父さんも同じだったそうです。
こんな経験をしても子どもは変わらず水遊びが好きで、父さんの練習に付き合って月イチ市民プールに行っては水遊びパンツで子どもプールで遊びました。
支援センターや幼稚園でのプールも大喜びしていました。
②
2017年小1の夏に、父さんが和歌山県のオープンウォータースイムに参加しました。
レースが終わって、波打ち際の少し先で泳いだり歩いたり潜ったりする子どもを見ながら感想戦をしていたら、子どもが急に手を振りました。
顔が焦っているので溺れかけてると思いましたが、私は服を着て荷物を抱えていたこともあり、まだ水着姿の父さんに任せたつもりでいました。
しかし動く気配がないので横を見たら笑顔で手を振り返していたので、「いやアレ溺れてるよ」と言ったら直ぐに助けに行ってくれました。
(目が良くないので表情までは見えなかったそうです)
砂浜まで戻ったところで「砂に埋めて〜」と蚊の鳴くような声で言うので埋めたら、ご満悦でした。
本人の気持ちが落ち着いた後で、
普段泳いでいる海水浴場はずっと足がつくのに、今日は急に底がなくなってびっくりした。びっくりしすぎて声が出なかった。海から出てもめちゃくちゃ寒かったから砂に埋まったら温かいと思って頼んだ。温かくて気持ちよかった。
と話してくれました。
離れてたけど、ずっと見てたから異変に気づきましたが、目も離していたら気づかない内に力尽きて沈んでいたと思います。
父さんが引き上げて砂に埋めるまで、周りの人は誰も気づいた気配はありませんでした。
それでもやっぱり子どもは海もプールも大好きです。
その後、スイミングにも楽しく通いました。
もう中学生ですが、父さんが誘えばいそいそと付いていきます。
ずっと水が好きでいられるように、もう暫くの間は私たちがしっかり見ていようと思います。