「そのまま!」第2号
○最近ずっと考えていることがあるのです
▶3年8組の皆さん、久しぶりの『そのまま』です。いよいよ明日は修学旅行ですね。楽しみにしてくれているでしょうか?もしかしたら新しい仲間との2泊3の旅に、不安を抱えている人もいるでしょう。ワクワクしている人も、ドキドキしている人も、帰って来たときに「行って良かった」と思える旅になれば良いなと思っています。そのために、きちんとしおりを読み込み、行程を頭に入れておきましょう。ルールを外れた行動や、不注意から起こるトラブルによって、気持ちが暗くなることがないように。お願いしますね。
▶ここ最近、修学旅行関係の決めごとや会議、確認事項がおろされる日々がつづいています。たくさんのプリントを配りながら、声を張りあげながら、1時間1時間が目まぐるしく過ぎていきます。事前のキャンペーンも始まり、普段の生活を見直す様子が見られます。完成したしおりは42ページにもわたり、さらにはそこに訂正が加わります。中間テストも控えています。そんな中、大きなもめごともなくここまでやってきました。
いよいよ、明日は当日です。職員室で、教室で、家に帰って、私はふと考えます。
○学校の先生みたいなことを言うけど、
▶「修学旅行は遊びに行くんじゃあない。勉強しに行くんだ!」――だとすれば君たちは長崎まで行って一体何を学ぶのだろう?しおりのP.4には(1)国際理解(2)歴史学習・自然体験(3)平和・人権のキーワードが並んでいる。君たちひとりひとりが大切にしたいものは何だろう?
▶8組オリジナルの目標は「全員と話す二泊三日!」である(P3.参照)。君たちが決めた目標だけど、一体どれだけの人が本気で意識してくれているだろう?「全員と話せたor話せなかった」という結果の前に、「1人でも多くの人と話そう」という気持ちが不可欠だ。だけど気持ちは外からは見えない。あと一歩の勇気を出す人が8組に増えたら、きっと笑顔も増えると思う。8組学級スローガンは「笑う八組に福来る😊」だよ。バスや新幹線、ホテル、ペーロン体験や自由散策…いつもとは違う距離感は、きっと君たちの会話のネタになってくれる。「全員と話す二泊三日!」も、「笑う八組に福来る😊」も、素敵なスローガンだ。飾りで終わらないことを願っています。たった一言でもいい。その多く交わした言葉が、何ものにも代えがたい「お土産」になるんじゃないだろうか?私はそう考えています。
○2022年に長崎へ行く君たちへ、感じて欲しいことなど
▶この修学旅行の行程の中で「長崎でないといけない」、「長崎でしから得られない」ものは何だろうと考えた。私はやはり、平和への想いだと思う。事前学習として行った平和学習。現在もつづくロシアによるウクライナ侵攻のニュース映像を見せた。そこには住む家を破壊された人々や、君たちよりもずっと年下の子どもがたった一人、隣国へ避難する姿が映し出されてた。一度戦争が起こってしまえば、軍隊とは関係のない民衆も命を落とす。事実、君たちより幼い子どもが死んでいる。そしてその恐怖は、この通信を読み上げている今も途切れることなくつづいている。もっと言えば、君たちが明後日、長崎平和祈念像の前で祈りを捧げたところで、ウクライナの人々からその恐怖は消えはしないのだ。もし君たちが口先だけでなく、真の平和を願うなら――もし君たちが「知らない土地」の「知らない誰か」の安否を心から気遣うのなら、君たちはもっと貪欲に学ばなければいけない。原爆資料館に記録された、核兵器の無慈悲さを目に焼き付けなければならない。戦後77年たったナガサキの街を歩きながら、この土地が抱えてきた哀しみを想像しなければならない。そしてその街を眺める君の隣に、一緒に歩いている仲間がいることの意味を、かみしめねばならないと思うのだ。
令和4年5月18日
※本文中に登場する人物名はすべて仮名です。