ドラッカー流、オーガナイザーが身につけておくべきリーダーの条件
こんにちは。
イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。
今回からシラバスの第四部「チームづくり」について説明していきます。このパートでは、チームを役割ごとに「オーガナイザー」「サブオーガナイザー」「コアスタッフ」「サポートスタッフ」に分類し、それぞれがよく機能するための関わり方などを解説します。
第1回はです。
大きなイベントでは主催者とオーガナイザーが別のこともありますが、小規模イベントにあっては、オーガナイザー=イベント主催者であるあなた自身のこと。
つまり、あなたがリーダーたる条件にまつわるお話です。
はじめに。
このnoteは、私自身の古傷を自ら抉ることになる機会が度々ありますが、オーガナイザーの役割に関する話は、全編が古傷のような話です。
私は趣味の飲み会の幹事役が奏功し、イベントが大きくなって、結果的に起業したのですが、駆け出しの頃は一介のサラリーマンであり、しかも20代ですから仕事上で責任ある立場についた経験もほぼありませんでした。
それが「自分がやりたいことをやる」と決めた日から、突然5人、10人、50人、100人、最後には総勢200人規模のチームを統率するリーダーになる必要が出てきました。
もちろん、そんなも最初から上手くできるわけがありません。
七転八倒して、色んな人に怒られたり、助けられたり、時に嗤われたり、嫌われたりもしながら、リーダーの振る舞いを身につけていきました。
何度も言いますが、どんなに小さなイベントも一人では作れません。
あなたは否応なくリーダーである必要があり、しかし、長らくこの国では若者には責任ある立場が回ってこない状況が続いてきました。つまり、私がそうだったように、多くの小規模イベントのオーガナイザーはリーダーとしてはずぶの素人です。
そのことをしっかり認識して、怒られたり、助けられたり、時に嗤われたり、嫌われたりもする覚悟をもって臨んでいただけたらと思います。
その上で、この記事が少しでもあなたの助けになれば、嬉しいと思います。
リーダーの役割は「リーダーシップの提供」
さて、その上で、リーダーの役割を一言で表現すれば「リーダーシップの提供」ということになります。
これは、私なりに10年かけてたどり着いた結論ですが、かのピーター・ドラッカー先生も「リーダーシップとは仕事」であると言っています。
大切なのは、一般的に思われているようにあなたがリーダーシップがある人だからリーダーになれるのではなくて、あなたはリーダーという役割にあるのだから、チームにリーダーシップを提供しなければならないという視点です。
そして、あなたにとってより大切なのは「ならば、提供されるべきリーダーシップとは何なのか?」ということだと思います。
これについても、ドラッカーの言葉を借りるならば…
…だと言っています。
そして、そのために必要な4つの「リーダーの条件」を挙げています。
4つの「リーダーの条件」と大事なポイント
ドラッカーがいうリーダーの4条件は次のようなものです。
ちょっと難しい言い回しですが、まとめると「意欲的かつ謙虚であれ」ということになるかと思います。
詳しく知りたい方は、ぜひドラッカーの書籍を読んでみてください。(普通に人生の役に立つし面白いです)
個人的に、この4つの中で、駆け出しオーガナイザーに共通する苦手科目があると思っています。
それが「自らの考えを理解して貰うコミュニケーション意欲と忍耐」です。
その他の謙虚さに関する部分は(それがドラッカーのいう謙虚さと正しく等しいものかどうかは議論の余地があるとはいえ)、日本で暮らしている限り、謙虚であることをいつも強いられている私たちにとっては、なんとなく理解できる領域です。
一方で、自分で考えたことを、自分の意思で相手に伝え、理解してもらうための教育を我々日本人は生まれてこの方、受けたことがありません。
しかも、そうして自分の意思に沿ったイベントを作っていくことと、人の意見を聞く謙虚さ(時に、自分の意見を封印してでも)をバランスさせるような高等技術を天然で持ち合わせている人は稀です。
でも、やらなければなりません。それが「役割」ならば。
ついでなので、1つ残念なお知らせをしておくと、このように自分の意思を伝えたら、理解も半ばな仲間から猛反発された上に、仲間の意見を優先した結果、実は自分の考えたことが正しかった…みたいなことは、イベントづくりをやっているとしょっちゅう起きます。
だからといって、仲間の忠告を無視して我を通した結果、手痛い失敗を被ることは、更にしょっちゅう起きます…。
何ごともままならぬものですが、努力して上達する他ありません。
リーダーの条件を身につけるトレーニング方法
弱点を認識するだけでも人は成長できるものです。
とはいえ、投げっぱなしは流石に無責任なので、最後に私なりのトレーニング方法を3つお伝えしておきます。
1.このnoteで紹介してきたノウハウを実行する
いきなり手前味噌ですが、このnoteでご紹介してきた「企画立案」「収支管理」「プロジェクト管理」のノウハウは全てあなたのコミュニケーション意欲と忍耐を後押しするものです。
自分の考えを意欲的に伝え、忍耐づよく理解してもらうには情熱と根拠が必要です。特に情熱が伝わることが大切です。
あなたはきっと、(誰にも頼まれていないのに)一生懸命に考えて、具体的な計画を立て、今まさに行動に移そうとしている人は、情熱があると感じるのではないでしょうか?
その情熱を、このイベントをすべき根拠づくりに、すなわち「企画立案」「収支管理」「プロジェクト管理」に注いでください。
必ず、あなたの口から出る言葉の重みが変わるでしょう。
2.なるべくたくさんのことに興味を持つ
内発的な動機は外発的な刺激によってもたらされることがよくあります。
意欲的な人というのは、常にいろんな情報を集め、足を運び、刺激を受け続けているという共通点があります。意欲的だからそうするのだろうし、結果として様々な刺激を受けることで、さらに意欲が増す好循環が起きます。
これはある種のモチベーション管理の手法です。
自分のモチベーションを自ら高める方法は、何でもよいですが、いくつか身に着けておくことに越したことはありません。
3.動機と目標を意識して言葉にする
最後は、ベタなトレーニングとして、とにかく下手くそでも自分の「想い」を言葉として紡ぎましょう。
単に思っていることではなく「想い」を口にし、文字に残すのです。
最初はめちゃくちゃ恥ずかしいです。
対面だと相手の反応が返ってくるし、文字にすると取り消しが聞きません。アウトプットした後に「あちゃー」と思うことも多々あります。でも、意外とそれが思わぬ反響を生んだりもします。
ともかく、やらないと上達しないことだけは間違いないので、つべこべ言わずにやるしかありません。そもそも「想い」を抱くことすら、日本の日常では滅多にないことなのですから。
「思うこと」と「想うこと」の違いは意思の有無であり、込められた意思は「動機」と「目的」に因数分解できます。つまり、「なぜそれをやりたいか」と「その結果、何を実現したいか」です。
大志を抱くにもやり方があるというのは、大志を抱こうとした人にしかわからないことです。
私の場合、仲間に引き入れたい人と対面であって話す他に、イベント前やイベント後に「想い」をブログに残すということをしており、これがチームづくりにも意外と役に立っていたと思っています。
実は、当時のブログの一部は今でも残っています。
今見ると非常に読みづらいのですが、これはこれで一つの足跡です。
まとめ
大阪・関西万博でシグニチャーパビリオンのプロデュースを任された1人でもあるメディアアーティストの落合陽一さんが生んだ概念に「モチベーション格差」というものがあります。
簡単に言えば「社会がどんどん変化する状況で人生を左右するのは今役立つスキルの有無ではなく、やる気や情熱の有無だ」ということです。
スキルを蔑ろにして良いという話ではないのですが、身に着けたスキルそれ自体より、学び続ける意欲があることの方が大事だよね!ということです。特に、以前より遥かに学び易く、一方で技術の陳腐化も早い世の中では。
イベントオーガナイザーにも同じことが言えます。
まずは、イベントのオーガナイザーに「リーダーシップの提供」が求められるのは、チームのモチベーションを高められるのはオーガナイザーしかいないからです。
その為には、まずは自分のモチベーションくらいは自分で上げられるようになっておく必要があります。
これこそがあなたがリーダーになるための最初のステップです。
次回から、他のスタッフの役割と、彼・彼女らとの関係性の中でイベントオーガナイザーがどのようにリーダーシップを発揮すべきかについて説明していきます。
ぜひ最後までお付き合いください。