小規模な個人主催イベントの当日スタッフ配置と報酬の決め方の最適解
こんにちは。
イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。
オーガナイザー→サブオーガナイザー→コアスタッフと展開してきた第四部「チームづくり」編も今回の当日スタッフで最終回です。
イベントづくりはどこまで行っても人海戦術から逃れられないところがあります。当日の運営なんていうのはその最たるもの。せっかく来てくれたお客さんが安心してイベントを楽しめるには、どうしてもその世話をする人手がかかります。
今回の記事では、イベント当日のスタッフ配置の考え方と、小規模イベントのオーガナイザーが最も頭を悩ます報酬について、私の経験や最適解について説明します。
イベント当日のスタッフ配置の考え方
当然のことながらイベントの当日に、どこに、どれだけのスタッフを配置するのかは、各イベントや会場の特徴によって異なります。ただ、考え方には一定のルールがあります。
1.絶対に配置しなければならない必須ポジション
もし、屋外の公園等でイベントの開催を計画しており、主なアクセス手段が自動車等であった場合(郊外のマルシェ等にありがちなシチュエーション)、駐車場の入口に制服警備員を立てる必要があることが多いです。
バンドやDJのような音楽イベントで、もぎりの人員を出してくれないお店であれば、イベント運営側がキャッシャーを立てる必要があります。
前者は多くの場合、有償スタッフを雇う必要があるでしょう。後者はコアスタッフがその役割に当たるか、ごく小規模ならあなた自身がやっても良いかもしれません。
いずれにせよ、こうした必須ボジションがいくつあって、何人必要なのかを最初に把握しましょう。
2.あったほうが参加者の安全や満足度が高まる推奨ポジション
次に、イベントの趣旨や条件に照らして、いた方が良い当日スタッフについて考えます。
先程の例で言えば、郊外の公園で行われるマルシェで、会場と駐車場が離れているならば、その間をつなぐ誘導員がいた方が親切だし、不慮の事故も防げるかもしれません。
小さなバーやライブハウスで行われる音楽イベントはお酒が絡んだトラブルが起きがちなので、フロアを巡回するスタッフがいた方が安心です。
交流会等では、テーブルごとに会話を促すスタッフがいた方が、誰かが喋りすぎたり、逆に「ぼっち」になるお客さんを減らして、満足度が高まることでしょう。
これらは、極論すれば「余裕があるなら全部やったほうが良い」推奨ポジションなのですが、リソースが限られる個人主催の小規模イベントではどうしても限界があります。
オーガナイザーの作業としては…
ということになります。
3.有志スタッフが活躍するためのポジション
最後に、オーガナイザーが考えなければいけないのが、あなたのイベントづくりを支えてくれるスタッフが輝ける役割を用意することです。
まずは1と2のポジションに最適な人員を選出してアサインします。すると、次の3つの状況が発生します。
①は簡単です。必須ポジションが足りなければ外部から協力者を募り、推奨ポジションが埋まらないなら、今回はそこで打ち止めです。
では、②や③の場合はどうでしょう?
②の場合、余ったスタッフにも活躍できるポジションを割り振った方が、その後のチーム力の強化に繋がるというのが私の経験からくる答えです。
小規模イベントのスタッフはそもそもボランティア的であり、「手伝うよ!」と手を上げてくれた人は、自己重要感や余暇の満足を求めている広い意味でのあなたのお客さんと言えます。ならば、協力の対価としてイベントの華とも言える開催当日に、何らかの役割はあって然るべきです。
ここで、その人物に合った役割をいかに生み出すかこそ、ボランティア中心で運営されるチームづくりにおけるオーガナイザーの腕の見せどころであると私は思います。
ということで、③の場合でも考え方は同じです。ただし、こちらは対応の選択肢が2つあります。
まずは、適正を押してでも必要なポジションを残った人物にお願いする(またはスライド人事的に、まだしも適正がありそうな人物を充てがい、空いたポジションに次のスタッフをハメる)こともできます。この場合は、相手の自己重要感に配慮した頼み方が重要になります。
もう1つは、足りないポジションは外部から誰か別のスタッフを(有償無償を問わず)連れてきて、当該の人物には最適なポジションを考案するというやり方です。理想はこちらですが、そうは上手くいかないのが小規模イベントというものではあります(笑)
イベント当日スタッフの報酬はいくら用意すべき?
最後に、やっぱりお金のお話です。
これは前回の記事と根底は同じなのですが、私個人としては、少なくともあなたのイベントがめちゃくちゃ儲かっているのでない限り、無理して払う必要はないと思っています。
何より、スタッフの皆さんにとっても、目先の小銭より、まずはイベントが安定的に続いていくことの方が望むところではないでしょうか?
もし、心配なのであればそのことについて、一度メンバー間で話し合ってみることでしょう。
オーガナイザーがスタッフにお金を払いたくなる理由
不思議なことに、オーガナイザーはろくに儲かってもいないのにスタッフにお金を払いたい気持ちを抱えてムズムズしています。私もそうでした。
凄く不思議で、ずっとその理由を考えていました。
そして行き着いた答えは、オーガナイザーの自分勝手な見栄、或いはエゴです。
イベントづくりの様々な局面で、オーガナイザーはスタッフに助けられます。相手からのギブが多過ぎるせいで、自分は何も返せない気持ちがどんどん積もっていく…そういう居心地の悪さを解決する最も短絡的な手段がお金です。
もちろん、ビジネスの関係であれば(例えば資格を持った警備員さんを雇う時)それで問題ありません。
でも、あなたとあなたの仲間は単なるビジネスの関係でしたっけ?
イベントづくりの仲間と向き合うということ
残酷な話ですが、小規模なあなたのイベントが稼げる程度の報酬を支払ったところで仲間の貢献に応えるには全然足りません。
私は、皮肉にも、起業したことで自分に付いてきてくれるスタッフの貢献にお金だけで応えるなんてことは到底できないのだということを思い知りました。
お金は、仲間の貢献に対する評価や感謝を伝える手段の1つに過ぎないということを一度受け入れましょう(今は腹の底から理解できないとしても)。
その上で、協力してくれるスタッフへの報い方を一生懸命考えましょう。
例えば、お金に代わる報いとして代表的なのがポスト(役割)です。会社の偉い人たちや政治家が醜く奪い合っているイメージのある単語ですが、それだけに、ポストを渇望するのは人の本能だということです。
イベントスタッフをやる動機は様々ですが、日頃は隠している力を発揮して活躍したり、褒められたり、感謝されたりしたいと思っている人は決して少なくないはずです。また、そこまで具体的でなくても、何となく満たされない日常から脱したくて、非日常なイベントづくりに参加している人だっているでしょう。
それは「もっと活躍したい」「頼られたい」「認められたい」 「役割がほしい」といったモチベーションとして表出します。
まずは、仲間としっかりとコミュニケーションして、そうした気持ちを汲み取ることが、あなたがオーガナイザーとしてできる仲間への最初の報い方だと、私は思います。
その上で、もしも少しばかりの「アガリ」が出れば、交通費や当日の食事代くらいは主催者として負担したり、時にはパーッと打ち上げを開いたり…台所事情が厳しいうちは、そういうことで良いのではないでしょうか?
「報酬」なんていう大仰なことを考えるのは、更にその先の話だと、私は思います。
まとめ
ということで、少し長くなりましたがこれで第4部も終了です。そして、テーマ別に取り組んできたイベントづくりノウハウのご紹介もこれで一旦の区切りがつきました。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
シラバスには第5部として示している通り、これまで共有してきたイベントづくりのノウハウを今度は時系列で再構成して紹介したいと考えています。
同じテーマを深堀りしていくというより、もう少し広い目線で捉えて、個々のノウハウを現実にどう当てはめて活用していくのかという課題に取り組みたいと思っていまので、これからもイベントづくり先生のコンテンツをお楽しみいただけますと幸いです。
それはそれとして、次回は、ちょっとだけ私の身の上話をさせていただけたらと考えています。第4部のチームづくりに関する(失敗も含めた)示唆的な内容になると思っています。
よろしければこちらもご一読いただけますと幸いです。
それでは、また!