初開催のイベント集客を成功させる方法~100人中99人が失敗する理由はこれ~
私は、SNSオフ会の幹事をやったことを切っ掛けにイベンターとして独立し、東京の新宿区や中野区、品川区等の行政と連携し、地域のご協力をいただいて自主企画の音楽イベント開催。法人化を経て、約10年に渡ってプロのイベント屋さんとして活動してきました。
コロナ禍で会社を畳んで公務員に転職した今は、当時とは逆の立場で町を盛り上げるイベントを支援する仕事に就いています。
このnoteは私のイベント屋さん時代の経験を元に、これから個人主催イベントを開催したい人や駆け出しのイベントオーガナイザーの助けになる知識やノウハウ、失敗談を含む経験などを発信する個人的な活動です。
前回から「イベントづくり実践編」として、より具体的なイベント成功の方法をシリーズで発信しています。
今回のテーマは、多くの駆け出しオーガナイザーの悩みの種=集客です。
この記事では特に初開催イベントの集客についてまとめます。
イベントを立ち上げてみたいけれど、お客さんが来てくれるのか不安。多くの人に来てもらいたいけれど、何から手を付けたらよいか分からないという方は、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
「チラシだけ」「SNS発信だけ」ダメ、絶対。
まず100人中99人の初心者オーガナイザーがやってしまう失敗を潰します。
それは次の2つです。
どちらもやらないよりやった方が良いですが、これ「だけ」でお客さんが来てくれるほど甘くはありません。
なぜなら世の中にはあなたがこれからやろうと思っているイベントの類似イベントが既に山ほど存在しているからです。
あなたもイベントの宣伝のチラシやSNS投稿を嫌というほど目にしているはずです。
こうした宣伝方法で集客できるのは既に大規模なイベントや業界内で古くから続いているイベントに限られ、新参者の情報には特に注意が払われにくい傾向があります。小さなイベントであるほど、その傾向は顕著です。
つまり、初開催の小規模イベントで置きチラシをしたり、SNS発信をするだけでは集客活動を何もしていないに等しいということです。
集客とは何か?
「集客を頑張っている」状態にどうすればなれるのでしょうか?
集客を英訳すると「Attracting customers」となります。
「Attract」は「興味を引く」とか「惹き付ける」「うっとりさせる」といった意味があります。また、名詞形の「Atrraction」は「魅力」「魅了」「魅惑」「誘致」という意味になります。
単に「集める」「集まる」という印象の「集客」とは雰囲気が違いますね。
私は、英語的解釈の方がより「集客」の本質に近いと考えています。
これがイベントの集客です。
3つの集客と主催者の傲慢
もう1つ、本質論にお付き合いください。
「集客」というと、何となくイベントの一般来場者を想像しがちですが、イベントのお客さんは一般来場者だけではありません。
過去の記事でイベントの収益源は大きく分けて「来場者」「出展者」「協賛者」の3つであることを紹介しました。
イベント協賛者の募集をするのに、チラシを知り合いのお店に置いたり、そのデザインを流用してSNSで発信しているだけで成功するでしょうか?
聡明なあなたなら、当然、イベントと相性の良い業者さんに当たりを付けて、協賛メリットを考えた上で、きちんとアポを取ってお願いに伺うはずです。
出展者の募集も、イベントに必要な要素を考えて、出展してくれそうな人や団体のリストを作って、まずはメールやSNSのDM等を用いて個別にアプローチするはずです。必要ならブースや会場の見取り図を見せ、丁寧に出展条件を説明するでしょう。
なのに、どうして一般来場者だけは、何となくお店にチラシを置いてもらったり、そのデザインを流用した画像をSNSに流すだけで、あなたのイベントを見つけてやってきてくれると思うのでしょう?
来場者を出展者や協賛者と別種に扱うのは主催者の傲慢です。
あなたの企画に魅力を感じ、お金や時間といったコストを支払って参加し、何らかの満足を得て帰るのは来場者も出展者も協賛者も同じです。
ここを履き違えた集客は何の成果もあげられません。
知名度ゼロのイベント集客はどぶ板営業一択。
これから初開催を迎えるイベントは、現時点で知名度ゼロです。
「誰にも知られていないイベント」が誰かの「興味を引く」ためにはまずは知ってもらうしかありません。そして、実績ゼロのイベントに感じる魅力=主催者であるあなたの魅力に他なりません。
つまり、初開催イベントの最短距離の集客方法は「既にあなたに魅力を感じている人に、あなたがこれからやろうと思っているイベントを知ってもらう」ことです。
このように観点を切り替えることで集客活動が具体的に考えられるようになり、同じチラシやSNSも、有効な使い方が分かってきます。
1.身近な人に直接声をかける
大切なのは、身近な人を「自分が開催するイベントにぜひ来て欲しい」と直接誘うこと。対象は次の2つに当てはまる人です。
前者や家族や友人、恋人、職場の先輩後輩など。後者は互いに同じ趣味だと知っているけれど普段は話すきっかけがない隣の部署の後輩とか、会って話したら楽しそうだなと思っているSNSで相互フォロー中のアカウントなんかも対象です。
アポを取ってお願いしても良いし、LINEやSNSのDMでもOK。たまたまあった会議や飲み会の場で誘っても良いでしょう。
大切なのは1対1で直接伝えるどぶ板営業です。
2.身近な人が友達を誘い易くなるツールを用意する
あなたが誘った友人が、同じ日に別の友達から誘われたら、彼はきっとこう言って断るでしょう。
その時、もし手元にイベントのチラシがあったらどうでしょう?
みたいな展開も無いとは言えません。
また、本当に親しい相手ならば「ぜひ友だちを誘って来て欲しい」とお願いすることもできます。チラシは店に置くよりも手渡しした方が高い集客効果を発揮します。
また、同じお店に置くのでも、店主には「ぜひイベントに来て欲しい」とお願いしたり、「興味がありそうなお客さんがいたら紹介して欲しい」と伝えた上でチラシを置いて貰う方が集客に繋がります。
3.知り合いの知り合いとSNSで繋がる
チラシと同じことはインターネット上でも起きます。
直接声をかけて誘った相手が既にあなたとSNSで繋がっていたら「詳しくはこれを見ておいてください」と伝えて、イベントの詳細を載せた投稿のURLや宣伝チラシのデータを送っておきましょう。
単純に、来場時の情報として助かるでしょうし、気が向けば…
などと、リンクや画像付きで発信してくれるかもしれません。当然、お願いできる関係にあるなら、積極的に発信をお願するようにしましょう!
このように、どぶ板営業では同じツールでも使い方がガラッと変わります。
イベント立ち上げの最初期に徹底したどぶ板営業であなたのことを応援してくれるお客さんを集められるだけ集めることは、その後のイベントの継続や発展にも大きな効果を発揮してきます。
まとめ
誰しも、尊敬する先輩や気になる異性からBBQに誘われたら一も二もなくOKするはずです。もちろん、場所が素敵で食材も豪華であるに越したことはありませんが、その方と同じ時間を共有すること自体がそこに行く理由なので、それ以外は些末なことです。
同じように、小規模イベントの立ち上げ時においては、主催者があなたであることがイベントに足を運ぶ理由になります。
それは何かちょっと違う気がする…と思うかもしれませんが、アーティストの握手会やインフルエンサーのオフ会、カリスマ社長の講演会など、個人的な推しや繋がりが参加理由になるイベントは珍しくありません。
「主催者」を主催チームや周辺コミュニティにまで広げれば、世の中の大半のイベントは個人的な推しや繋がりが参加理由の一部には入っていて、純粋に企画の魅力だけで集客していることは稀であると言ってしまっても差し支えないかもしれません。
最初の一歩だからこそ、あなたを好いてくれる人、あなたと同じ興味関心を持っている人の参加を促してください。
SNS全盛時代でも、否、ほとんどの人がネットを介して繋がる時代になったからこそ、リアルな繋がりがイベント主催者の力になります。