見出し画像

個人イベント主催者は他の主催者にどこまで配慮すべきか問題について。

イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。

ここまで個人主催イベントの立て方や企画書・提案書の作り方についてご紹介してきました。

今回は、企画編の総仕上げとして、他のイベントとの関係性についてのお話をしたいと思います。

開催エリアが近いイベントは、関係によって非常に心強い仲間になったり、逆に主催者やお客さん同士の関係がギスギスしてしまうことも…

個人主催イベントを始めたオーガナイザーが悩みがちな他のイベントとの摩擦は、企画をしっかり練ることである程度解消できる部分があります。

ネットワークとベンチマーク

個人主催イベントにはどうしても人付き合いがついて回るものです。それは、イベントの多くが趣味の延長としてスタートするからです。

個人主催イベントにおける人間関係の難しさ問題

ありがちなのは、イベントAに通っていたお客さんがイベントを手伝う側に周り、いつしか自分でもやってみたくなって、遂に別のイベントBを立ち上げるパターン。主催者同士は友人でありながら、開催テーマや客層が近い競合状態になります。

個人主催イベントは規模が比較的小さいため、同じエリア・同じテーマでもある程度まではライバル同士が共存できますが、流石に限度もあって、後発イベントに丸ごと企画を真似られると腹も立つものです。

突き詰めると他のイベント主催者との付き合い方は2種類

趣味が高じて一念発起したのに、人間関係でトラブルを抱えるのは誰も本意ではありません。好きなイベントには参加者として気持ちよく足を運び続けたいですよね。

そこで、個人主催イベントを立ち上げる前には、ジャンルの近いイベントとの付き合い方を整理しておくことをおすすめします。

基本的な立ち回りは2つが「ネットワーク」と「ベンチマーク」です。

ネットワーク

1つは、繋がりを活かして相互宣伝・相互送客・スタッフ交流等の相乗効果を上げようとする関係構築です。

イベント初心者は勉強として他のイベントにボランティアスタッフとして参加させてもらうことで、そのジャンルを回遊しているお客さんと知り合ったり、キーマンと知り合うことができます。

個人主催イベントは1つ1つのイベントの規模が小さく、単独で全ての潜在的なお客さんのニーズを満たせることは稀です。いくつかのイベントが共存することで、シーンそのものが活性化する効果もあります。

ベンチマーク

もう1つは、相手の立ち位置を前提に差別化を図る棲み分けです。

企画や開催形態、運営体制を学習し、自らのイベントに取り入れたり、反面教師として改善を行うことは単純な「真似」ではありません。

「自分の強みを活かすとどうなるか」「どうすれば違いが出せるか」を考える差別化は、直接競合を可能な限り回避する振る舞いです。

あなたとライバルの4つの関係

「ネットワーク」と「ベンチマーク」は二律背反するものではないので、相手との関係によって、取り入れるバランスを変えながら併用できます。

他エリア✕他ジャンル

場所も内容も被らないイベントの主催者は、企画の立て方や運営方法といったノウハウ面で学び合える良好な関係が構築しやすい相手です。但し、相互宣伝の効果は限定的で、送客もさほど期待できません。

離れた場所から応援し合える関係といえます。

他エリア✕同ジャンル

最も良好な関係を築ける可能性があるのが、離れた場所で同じテーマのイベントを開催しているイベント主催者です。

企画内容、運営手段を共有することで共に高みを目指すことができます。また、エリアが比較的接近している場合には、ジョイントすることで普段より規模や集客範囲を広げる企画も可能です。

同エリア✕他ジャンル

同じ地域で異なるテーマのイベントを開催する主催者とは、運営方法やスタッフ交流等のノウハウ面での連携が可能です。また、相互宣伝・相互送客も効果的です。

しかし、広い意味では同エリアのお客さんの時間やお金、関心を取り合う関係にあるので、配慮を欠いた対応は相互不信にも繋がります。

同エリア✕同ジャンル

小箱と呼ばれるクラブやライブハウスでのDJパーティや対バンイベントのように、同場所・同じテーマでイベントを開催する主催者同士は顔見知りであり、趣味趣向も似ていて、人間関係的には良好である可能性が高いです。

しかし、イベントは完全競合しており、差別化は顧客の細分化=イベントの小規模化を招く恐れがあります。

都心部ではニッチイベントも成立しますが、人口が少ない郊外では極力避けておきたい関係です。

企画段階でのポジショニング戦略

以上、4つの関係を前提にネットワークとベンチマークを用いて「自分はどんなイベントをすればよいのか」を考えることを、ビジネス用語で「ポジショニング」と呼びます。

ポジショニングは、先の記事で紹介した「戦略」のレベルで折り込んでおくと効果的です。

具体的には次のようなことに留意して、戦略構築を行うと良いでしょう。

まず「地域ナンバーワン」になれる企画を作ろう

企画で大事なのはエリアやジャンルが近いイベントが既にある中で、何でも良いので1つだけ「自分のイベントは1番だ!」と言える要素ことです。競争によって相手に勝つのではなく企画によって1位を作り出すのです。

例えば、A県の中にはあなたと同じイベントが既にたくさん開催されていたとしても、あなたが住むB町では初開催であれば「B町最大」を名乗れます。

もし、あなたがシニアの集客に強いのでれば、年齢でターゲットを区切っても良いでしょう(60歳以上の方に最も選ばれるイベントです‼)。

こうした作業を「セグメンテーション」と呼びます。

セグメンテーションのメリットを活かそう

セグメンテーションによって1番になることには、個人主催イベントにとって2つの大きなメリットがあります。

1つは、ライバルとの直接競合を避けて良好な関係を維持できることです。セグメンテーションとは差別化の手段であり「あなたのイベントとは競合しません」という宣言でもあります。

もう1つは、セグメントされた分野であなたが一目置かれるイベント主催者になれることです。日本で2番目に高い山の名前を知られていないように(ちなみに南アルプスの北岳です)、1位とそれ以外には雲泥の差があります。

仲間としてもライバルとしても一目置かれる個人イベント主催者とそうでない主催者では、どちらが大切に扱われるかは、言うまでもありません。

まとめ

セグメンテーションによる差別化は、ビジネスの世界ではマーケティングの基本的手法として扱われ、主に商品やサービスを効率的に顧客に届けるためのブランド構築に用いられます。

個人主催イベントでもブランディングは同様の効果を発揮しますが、あなた自身のブランディング要素も加わります。

個人主催イベントのブランドとは主催者自信であり、一目置かれる主催者の下には、良いお客さん、良い協力者、そして良いライバルが集まります。反対に、既存のイベントを雑に真似るような不届きなイベントは主催者にも悪評が立って、周囲との良好な関係づくりが進みません。

趣味の延長として立ち上がることが多い個人主催イベントだからこそ、周囲との差別化を当初からしっかりと考えて、QOLの高い活動ができると良いですね!

ということで、イベント企画編はここまでとなります。

次回からは、会計管理やプロジェクト管理、チームづくりといったより具体的なテーマについて触れていきます。

ぜひ、最後までお付き合いください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?