サブリーダーの活躍を最大化できるリーダーがやっているチームづくり
こんにちは。
イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。
第四部「チームづくり」編について、前回・前々回は自らチームづくりを行うオーガナイザー=あなたの役割について説明しました。
今回は、オーガナイザーと二人三脚でイベントづくりを行うサブオーガナイザーという役割について紹介します。
最初に言っておくと、サブオーガナイザーを置かないイベント制作チームも数多く存在します。むしろ、ごく小規模なイベント立ち上げ初期には、明確にサブオーガナイザー役が決まっていない場合がほとんどです。
しかし、その場合もサブオーガナイザー的な役割は存在し、オーガナイザーや他のメンバーが少しずつその役割を分担することになります。
なぜなら、サブオーガナイザーは単なるオーガナイザーの補佐役ではないからです。
サブオーガナイザーには、大きく分けて2つの役割が存在します。
1つは万が一の場合のオーガナイザーの代役、2つめはオーガナイザーが持ちえない視点からセカンドオピニオンの提供です。
それぞれ詳しく見ていきます。
1.いざという時のオーガナイザーの代役
オーガナイザーの代役という役割は比較的イメージしやすいものです。
ほとんどの会社では、社長に万が一のことが起きた場合には副社長が代役としてその任を担うよう取り決められており、副社長はいつそれが起きても良いよう備えています。
サブオーガナイザーも、例えばイベント当日にオーガナイザーが諸事情で持ち場を離れる時に指揮系統を引き継いだり、開催直前に体調不良で長期入院してしまった場合にイベントをゴールまで導くなどの役割が期待されます。
ポイントは、サブオーガナイザーがいなくても、オーガナイザーに万が一のことがあった場合には、メンバーの誰かがその役割を担う必要があります。
もし、オーガナイザー不在時に大きなクレームを受けた場合、サブオーガナイザーが居ないからといって他のスタッフが現場の責任を逃れることはできません。
だから、メンバーの誰かが不本意な責任の取らされ方をしないよう、事前に備えておく必要があります。
例えば指揮系統順に、或いは事前に取り決めた順に、「職務として」現場の対応責任を引き受けると決めておくと、不意に、個人的に責められることになるといった重大な精神的ダメージを緩和することができます。
会社でも、社長に続いて副社長にも万が一のことがあった場合は、取締役が、その次は経営責任を有する部長級が…というように責任がバトンタッチされていきます。
つまり、サブオーガナイザーは責任者の代役として優先順位が最も高い人ということです。
2.意思決定へのセカンドオピニオンの提供
野球の投手と捕手はバッテリーと呼ばれ、どちらが欠けても試合が成立しない守備の起点として非常に重要な役割を担っています。
バッテリーは、一義的にはボールを投げる人とそれを捕る人ですが、ボールを投げる前に試合を勝利に導くための配球を考えるという仕事があります。
一般的には、捕手が配球を決めるイメージがありますが、投手だって全く何も考えず指示通りに投げている訳ではありません。納得できなければ首を横振り、何より最後に投球するのは投手自身です。
あくまで、ある種の闘争心を必要とする投手より、全体を見渡せる捕手というポジションの方が配球を考えるのに有利だというだけで、バッテリーは2人で配球を考え、双方が納得して投球を行うのです。
投手と捕手のこの関係は、オーガナイザーとサブオーガナイザーにとても似ています。
2人セットでクールヘッド&ウォームハート
以前に別の記事でオーガナイザーがチームを運営する時には「クールヘッド&ウォームハート」が大切だよという話をしました。
…そして、それが一筋縄ではいかないとも。
これは投手と同じように、オーガナイザーにはある程度の直情性が必要とされるからだと私は考えています。1つ前の記事でも話したように、オーガナイザーはチームのモチベーションをリードするという使命があり、その為の「想い」を強く持っているものです。
冷静と情熱を最初からバランスさせられる人はなかなかいません。
オーガナイザーが「ウォームハート」なら、サブオーガナイザーが「クールヘッド」である方が、2人で最適な意思決定を下せることになります。
現に私も、サブオーガナイザーから「いや、ちょっと待てよ!」と言われることが非常に多く、時にはイラッとしたりもしたものの、今は彼らの助言がなければイベントづくりはできなかったと非常に感謝しています。
「孤独なリーダー」をつくらない≒独り相撲をさせない
リーダーは孤独である…。
とはよく言うものですが、実際にやってみると確かに孤独を感じる機会がままあります。基本的にはリーダーがイベントに対して一番高いモチベーションと関心を持っているので、何ごとも真っ先に手を付けて、仕事を抱え込んで、一杯いっぱいになってしまいがちです。
…ですが、こういう状況の半分以上はリーダーの勘違いや思い込み。
チームのメンバーは、オーガナイザー程では無いにしても、必ずイベントづくりへのモチベーションや関心を持っているものです(でなければ手伝ってなんかくれません)。
サブオーガナイザーの役割はこうしたメンバーの意思をオーガナイザーに伝えてあげることです。「ああ、みんなちゃんと考えてくれている」と思えるだけで、リーダーの孤独の大半は解消されます。
こういうと「なんでメンヘラなリーダーの為にそこまで…」と思われるかもしれませんが、たいていの場合、トップが独り相撲を始めるとろくな結果になりません。
チームの為にも「仕方ねぇな…」と思って付き合ってあげてください。
サブオーガナイザーに最適な仕事とは?
以上のように、サブオーガナイザーには万が一の時のオーガナイザーの代役の他に、意思決定のセカンドオピニオンとして①一歩引いた視点からの冷静な意見や、②メンバーの意思をオーガナイザーに届けるという役割があります。
こうした目線で、サブオーガナイザーの仕事を考えると、自ずとよくあるサブリーダー像が浮かんできます。
つまり、(傍若無人な)リーダーに振り回されて「やれやれ…」と嘯きながら、テキパキとタスクやメンバーの管理を行い、精神的にもリーダーを支える参謀役(或いは、女房役)を買って出るという…
つまり、サブオーガナイザーの仕事はオーガナイザーとの共同作業であり、オーガナイザーが立場的に不得手になりがちな領域ということになります。
オーガナイザーの仕事とは
という4つでした。
チームのモチベーションの源泉であるオーガナイザーは、企画立案におけるイベントの目的意識や目標設定に強みがある一方、収支計画等によって開催の裏付けを行うのような緻密な作業が苦手な場合が多いです。
或いは、説得的コミュニケーションにおいても「自らの言葉」で伝えることが得意でも、「客観的根拠」を軽視しがちかもしれません。
イベントの最終形態は思い描けても、その過程を因数分解してタスク化したり、役割分担を行うような調整ができないリーダーもいるかもしれません。
結局、オーガナイザーの特性次第ではあるのですが、オーガナイザーとサブオーガナイザーは常にお互いを補い合う関係であるということです。
オーガナイザーはサブオーガナイザーとどう接するのか?
最後に、オーガナイザーであるあなたが、サブオーガナイザーに対してどう接するべきかということに触れておきます。
1つは、意思決定の責任はオーガナイザーが負うとはっきり示すことです。
最後にボールを投げるのは投手であるように、サブオーガナイザーの意見を踏まえて決定を下すのはオーガナイザーです。その結果、試合に勝っても負けても、勝敗は投手の成績にカウントされます。
「責任はオーガナイザーが取る」ことが明らかだからこそ、サブオーガナイザーは安心して意見具申できるのです。
もう1つ大切なのは、積極的に頼ることです。これは甘えるということではなく、一人で勝手に決めず、意思決定をする前に、必ずサブオーガナイザーに意見を求めるということです。
意見の求め方にはテンプレートがあります。
建設的に話し合うために、「〇〇ってどう思う?」と丸投げするのではなく、必ず先に自分の意思を明示して、その上でサブオーガナイザーの意見を求めましょう。
人は内心で思っていても、自分の意見を言うのが苦手なものです。それはサブオーガナイザーだって変わりません。
サブオーガナイザーがセカンドオピニオンを提供しやすいように、オーガナイザーから水を向けるよう習慣づけることで、チームの風通しは格段に良くなるものです。
まとめ
今回はオーガナイザーの女房役サブオーガナイザーについてまとめました。
最初に触れたように、小さなチームではサブオーガナイザーが置かれないことの方が多いと思います。ですが、オーガナイザーにとって「サブオーガナイザー的な役割」は必要不可欠です。
それには、サブオーガナイザーが居なくても、最終責任は自分が取るという姿勢、また積極的に頼る姿勢をメンバーに示し続けることで、チーム内の誰かが少しずつ分担しながらその役を買って出てくれるはずです。
結局、自らを助けられるのは自分だけということ。
これは、この先のコアメンバーやサポートメンバーにも共通することですので、しっかり意識しておきましょう。