イベント初心者が初めての企画書づくりで守るべき3つの鉄則【企画書編:1】
こんにちは。
イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。
前回までの3記事は個人主催イベントの企画の立て方を紹介しました。今回からは、自分の中で考えた企画をアウトプットするツール=企画書の書き方について説明します。
企画の方法の履修がまだの方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
イベント主催者の必須スキルとも言えるのが企画書づくりです。
「企画書の書き方」についてちゃんと学ぶ機会は意外なほど少なく、多くの人が我流に頼っているのが現状だと思います(私もそうでした)。
今回からまた3回に分けて、私が四苦八苦して知識を集めながら、また色んなところにお粗末な企画書を提出して恥をかきながら身につけた企画書の書き方をレクチャーします。
企画書づくりは、企画立案と違って完全なる知識ゲー、つまり知ってるか知らないかでクオリティがだいぶ変わるものなので、ぜひこの機会に身につけていただけたらと思います。
第1回では、初心者オーガナイザーが企画書を作る時に覚えておくべき鉄則、企画書の役割について説明し、第2回はWordを使ったテキストベースの「企画書」の書き方、そして第3回にPowerPointを用いたスライド型の「提案書」の作り方を解説します。
それでは行ってみましょう!
鉄則1:企画書と提案書の違いを理解しよう。
突然ですが、「企画書」と「提案書」の違いって分かりますか?
企画書にはいくつか種類があって、与えられる役割が異なります。
・企画書
・提案書
・計画書
・概要書
などがよく耳にするバリエーションだと思います。
中でもよく混同されるのが「企画書」と「提案書」ですが、全く違う性格の書類です。この2つを一緒くたに考えてしまうことが、駆け出しオーガナイザーが主催するイベントづくりが大混乱に陥る要因になります。
まずは2つの違いをハッキリ意識して「企画書」づくりに取り組めるようにしましょう。
A:そのイベントがどんなものかを見える化する「企画書」
「企画書」は、あなたが頭の中で考えた(或いは、紙の上にペンで書きなぐった)企画を文書や図表を用いて、誰もが理解できるように表現された資料です。
その目的は、読み手にあなたが実現したいイベントの姿をできる限り詳細に、誤解なく伝えることであり、企画の隅々まで網羅的にまとめられているほど良い「企画書」となります。
あなたの理想をそのまま”見える化”したものが「企画書」です。
B:受け手に特定の行動を期待する「提案書」
「提案書」にはその名の通り、誰かに対する"提案"が含まれます。
提案するという行動は、その結果として相手に同意や協力等の行動を起こしてもらうことを期待して行うものです。イベントであれば、スタッフとしての協力や協賛のお願いや来場を促すことも提案です。
「提案書」はそのための説得的コミュニケーションツールであり、より相手の行動変容に繋がるものが良い「提案書」です。そのため企画の中で説得に有効な情報を誇張して表現することが往々にしてあります。
微細な違いに思えるかもしれませんが、非常に大切な違いです。
鉄則2:「パワポ企画書」、ダメ絶対。
さて、鉄則1を踏まえて、更に重要な鉄則が、初心者はパワーポイント等のプレゼン用アプリで企画書を作ってはいけないということです。
「作らない方が良い」ではなく、「絶対してはいけない」ことです。
なぜならパワーポイントはプレゼン(提案)資料を作るソフトであって、企画書を作るようにはできていないからです。
先にも述べたように「提案書」には相手を説得するための誇張的な表現が多用されます。フォントを大きくしたり、色をつけたり、図や表、画像を自由に配置する等、パワーポイントは誇張表現に優れている代償として、長めの文章や細かい図表を使うと途端に読みづらくなる特徴があります。
その結果、細部にわたるきめ細かな記述には全く適しません。
また、誇張表現の方法に考えや技術を費やすせいで、企画の落とし込み精度がどうしても甘くなります。不慣れなうちは特に。
誇張というのは、基本があって初めてできることであって、最初からデフォルメが効いたパワーポイントで作られた企画書は、よほど熟達した人でなければ中身がスカスカになります。
ということで、初心者はワード等のテキストアプリで「企画書」を作ることを強く、強く、強くおすすめします。
鉄則3:まずは「自分のための企画書」を作ろう。
あなたが「企画書」を作るとしたら、それはいつでしょう?
個人主催イベントを手掛け始めた人が、最初に「企画書」と向き合うのは多くの場合"提出を求められた"ときです。
例えば…
など。
それは必然的に「誰かのために作る企画書」です。
でも、ちょっと考えてみてください。他の誰かの前に、真っ先に「企画書」を必要としている人がいます。
そう、それはあなた自身です。
人間は器用なもので、頭の中ではどんな抽象的なことでも思考でき、しかもそれに納得することができます。でも、それは一時的なもので、時間が経つと忘れてしまったり、理解が曖昧になったりしていきます。
名案は言葉や表や図に変換して、書き留めておく必要があります。
だから、最初にあなた自身が自分の理想のイベント像をしっかり把握するための「自分のための最初の企画書」を作りましょう。
初期の企画書というのは、細部が煮詰まっておらず、誰かに見せるには適さないところが多々出てきますが、相手が自分なら気にする必要はありません。読みやすさに気を使って短くまとめる必要もありません。
率直に自分がやりたいことを文章で書き出しましょう。
誰にも見せない企画書なんて面倒くさいと思うかもしれませんが、「自分のための最初の企画書」は後で作る様々な「誰かのための企画書」や「提案書」を作る際のプロトタイプになります。
結果として労力を節約にもなるので、必ず作っておきましょう。
まとめ
「企画書」にありがちな誤解を踏まえた役割について、また、イベント初心者が「企画書」づくりで気を付けることについてご紹介しました。
鉄則3の「自分のための最初の企画書」は、まずは文章で書くことをお薦めします。もし、小さいころから絵に親しんで、呼吸するように考えたものを絵や図に落とし込める方ならイメージボードから入っても良いですが、多くの方はそうではないハズです。
「企画書」づくりのコツは"企画を文字や表や図に落とし込むこと以外に意識することをなるべく減らす"ことです。
そういう視点で見れば、上手な誇張表現に意識の多くを割かれるパワーポイントが「企画書」づくりに向いていないことが改めて理解できるはずです。
では、次回はワードを使った「企画書」の書き方です。
実践的に使えるテンプレも紹介しますので、引き続きお付き合いください。