― 第三十八話 アダムとイブ ―

 鬱蒼とした森の中、鳥の声が飛び交う。
 空は一点の曇りもない晴天。
 陽がまぶしい。
 木陰からこぼれてきた陽光が、いくつもの斑な光の模様を薄暗い地面におとしている。

アダム「ガッデム、イブ!いったいこれはどうしたことだ!」

イブ「アダム、いったいどうしたの、そんな大声だして。」

アダム「おお、イブよ。これが声を上げずにいらりょうか!われの腰より生えた、これはいったいなんなんぞ!」

イブ「あら、アダム。ずぅっとそれを申しておりますが、それはわたいにはないもの。わかりませぬことよ。」

アダム「うーむ、イブよ。これはもしかしてアンテナではなかろうか!な?」

イブ「さすがアダムじゃわいな!しかし、それで何を受信しましょうぞ、アダム?」

アダム「ううむぅ!それがわからぬ。試してみようぞ!・・・おーい!おーい!・・・・・・、うぅむ、イブよ。」

イブ「いかがなされた、アダム?」

アダム「・・・とどかぬ。届かぬのだ、イブ!」

イブ「ああ、アダム!そんな悲しそうな顔をしないでござる。それではわらわが試してみようではありませぬか。」

アダム「おお、イブよ!われの愛しきミューズよ!やってくれるか、その愛で!」

イブ「おお、当然でございますとも、アダム!わてはそのために生きております!それでは!もぅしもし、こちらエデン。はろぅ、はろぅ。どなたかはおらぬか?もぅし、もし、こちらエデン・・・・・」

アダム「・・・・・・」

イブ「・・・・・・・・あああ、アダム!」

アダム「どうだい、どうだ、イブよ!受信はなったか?」

イブ「あああ、アダム!できませぬのだ!なにも、なにも聞こえやしませぬのだ!」

アダム「ああ、イブよ!おお、イブよ!われらはなんと悲しきや!ああ、イブよ!おお、イブよ!」


ヘビ「・・・お前ら、バカじゃねぇの。」

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