― 「ところかまわずナスかじり」第百五十七話 むくつけし、我が娘 ―
― むくつけき・・・無骨でむさくるしいこと。薄気味が悪いこと。行動などが常軌を逸していること。 ―
わ、私の娘なのです!問題は!
な、なぜ彼女は、いったいどうした必要性から、あんなに股を掻くのです?!
なぜ彼女の鼻毛はいつも盛大に外出しているのです?!
一体全体、なぜ彼女は道にツバを吐くのです?!
気に入らない事があったらいつも吐くのです!
この前なんか、信号待ちをしている、どう考えても‟あちらの人”に、恐れ多くもツバを吐いたのです!
理由?
理由なんてありません!彼女はただ、パンチパーマの好中年にツバを吐いたのです!
と、当然、彼女の手を引いていた私に来ますよね?!
すべてのとばっちりが!
その日から二週間もの間、私は切れた口中のため、四本の折れた歯のため、ご飯もろくに食べられない有様です!
まだあります!
彼女の手癖の悪さは二才の時にはもう完成されており、個人商店などは軒並み彼女の入店を断るのです!二才ですよ?!
体ごと棚の中に入って、そこにある商品を食い散らかす二才!己の身の丈と地の利をうまく利用する二才!商店街中に指名手配の写真が流される二才!
そ、そして、今!
私は家の外におります!
外は今、二十数年ぶりだとかの吹雪のために一メートル先も見えやしません!
そんななか、私、裸です。
そりゃあそうでしょう!お風呂に入っているときに突然、『火事だあっ!』とされたら!
『こっちは危ないから、はやく裏口から外へっ!』って言われたら!
カギを掛けられたら!
あ、あああ・・・、そろそろ寒くさえなくなってきました。
あ?あ、あれ?
な、なんだか空からまぶしい光が・・・
ああ、なんと、暖かい光、な、ん、・・・だ、ろう。
あ・あ・あ、な、なんだか、もーれつに、ね、むけ・・・・が・・・
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