見出し画像

【物理屋のひとりごと】重曹に含まれる食塩相当量を計算する

先日、ホットケーキミックスを使わないワッフルの作り方を紹介し、重曹には食塩相当量が存在してるという話について、簡単に触れました。

そこで、物理系出身である私が持ちうる化学の知識を呼び起こして、重曹の食塩相当量の計算をしてみたいと思います。

重曹とは?

一般的に「重曹」と呼ばれているものの正式名称は「炭酸水素ナトリウム」で、化学式は「NaHCO3」です。
※"3"は下付き文字

重曹には食品用と工業用の2種類があり、食品用の純度は98~99%、工業用の純度は95%~98%と定められています。
今回は、食品用重曹について触れているので純度は98~99%となります。

食塩相当量とは?

重曹の食塩相当量を計算する前に、食塩相当量について説明します。

食塩相当量とは、食品の中に含まれる全てのナトリウムを食塩由来とした場合の食塩の量を計算したものです。
つまり、食品の中にナトリウムを含んでいるものが食塩相当量の対象となります。

ナトリウム量を食塩相当量に換算する式は以下の通りです。

食塩相当量[g]=ナトリウム[g]×2.54[mg]÷1000

「÷1000」は2.54[mg]の単位を[g]に換算するためのものなので、

食塩相当量=ナトリウム[g]×2.54

と覚えればOK!

重曹の食塩相当量は?

重曹の化学式と純度、食塩相当量の概念を理解したところで重曹の食塩相当慮を計算してみましょう。

重曹(炭酸水素ナトリウム)の原子量の合計は?

重曹の化学式はNaHCO3であることから、原子量を求めていきます。
(原子量は、化学の教科書や資料集にある周期律表に記載してあります)

重曹の化学式を分解すると、Na(ナトリウム)、H(水素)、C(炭素)、O(酸素)から構成されていることが分かります。
ここで注意が必要なのがO3で、これはO(酸素)原子が3個あるということになります。

各原子の原子量は以下の通りです。
Na(ナトリウム):22.99[g]
H(水素):1.008[g]
C(炭素):12.01[g]
O(酸素):16.00[g]

これらを踏まえて、重曹の原子量の合計を計算すると……

NaHCO×3=22.99+1.008+12.01+(16.00×3)=22.99+1.008+12.01+48.00=84.008[g]

となります。

重曹に含まれるナトリウム成分の含有率は?

重曹の原子量の合計に対する、Na(ナトリウム)の含有率を求めます。

Na/NaHCO3=22.99[g]/84.008[g]=0.274=27.4[%]

となります。
つまり、純度100%の重曹100gに27.4gのNa(ナトリウム)が含まれていると考えることができるのです。

純度100%の重曹100gの食塩相当量は?

純度100%の重曹100gに含まれるNa(ナトリウム)の量が分かったので、次に食塩相当量を求めていきます。

Na(ナトリウム)[g]×2.54[mg]÷1000=27.4[g]×2.54[mg]÷1000=69.6[g]

となります。

食品用重曹の食塩相当量は?

食品用重曹の純度は、98%~99%と定められていることは先ほど触れた通りです。
今回は、この中央値である98.5%を食品用重曹の純度として計算していきます。

純度100%の重曹の食塩相当量[g]×純度[%]=69.6[g]×0.985=68.55[g]≒68.6[g]

となります。

これで、食品用重曹の食塩相当量は100gあたり68.6[g]と求めることができました。

実際に販売されている食品用重曹の食塩相当量は?

我が家で使用している食品用重曹の栄養成分は、以下のようになっていました。

100gあたり
エネルギー:0kcal
タンパク質、脂質・炭水化物:0g
食塩相当量:68.6g

原子量と食塩相当量の公式、純度の中央値を使って計算したものと同じになりましたね!
ということは、計算が合っているということになります。

まとめ

ここまで、重曹の食塩相当量の計算についてでした。
頭の痛くなるような難しい話が続きましたが、この計算方法が合っているということだけはお分かりいただけたかと思います。
これができれば、他の食品添加物についても、明確な含有量が分かれば計算できるということです。

難しい話をしてきましたが、この療養食を作っている人間が物理系出身ということで面白半分で計算してみただけです。
普通に腎臓病の療養食を作るだけなら、不要な知識ですのでご安心を。

というわけで、物理屋のひとりごとでした。
最後まで、お付き合いいただきありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!