オンライン大会開催までのロードマップ
これさえ見れば大丈夫!オンライン大会を誰でも開催できるようになるロードマップ!配信することを想定したロードマップですので、チェックリストとしてもお使いください!
こんにちは、ANOTHERのオレペコです。普段はCoDで大会を主催しているANOTHERでクリエイティブを担当しています。
今回は誰でも簡単にオンライン大会が開催できるように、チーム戦の大会を例に挙げて解説していきます!
後半では、主催や企業様の受託運営をこなしてきたANOTHERの運営の一部も紹介しているので参考にしてください!
大会運営の心得や事例などは是非こちらからどうぞ!
こみゅリポAdvent Calendar 2021
本記事は、こみゅリポAdvent Calendar 2021の趣旨に賛同し作成しています。他にも数多くの記事が投稿されていきますので、是非ごらんください!
大会開催までの流れ
まず、大会開催までの流れはこのようになっています。
ここからはそれぞれについて解説していきます!
後半では、ANOTHERが開催していたB1トーナメントとANOTHER TOURNAMENTを例に実際の項目について触れていきますので、ぜひ参考にしてください!
コンセプト
一番最初に決めなくてはならないものがコンセプトです。
ここが一番重要で、どういう大会にしたいかで選ぶタイトルや大会概要などが決まります。
コンセプトには以下のようなものがあります。
コンセプトはその大会の軸となる部分です。なくても開催は出来ますが、今後も継続して開催していきたい場合は、大会の方向性が急に変わらないためにもコンセプトは決めておきましょう。
ゲームタイトル決定
「大会を主催したい!」と思った場合、どのゲームで大会を開くか決めなくてはなりません。FPSゲームならAPEX、VALORANT、CoDなどなど…、やりたいゲームを決めましょう。
界隈リサーチ
開催するゲームは決まりましたか?それではゲームコミュニティを覗いてみましょう!
もしあなたがそのゲームコミュニティ出身ならかなりラッキーです。
この時点であなた自身がこういう大会が必要だという強い思いがあるはずです。しかし、だからといってリサーチを怠ってはいけません。
そのゲームで遊んだことはありますか?キャスター画面に入ったことはありますか?
運営陣がゲームに触れたことがない大会は、ゲーム内トラブル対応で困ることも多いので一度はゲームをプレイしましょう。
コミュニティでは以下のことを把握できると良いです。
大会概要
ここまできたら、あとは自分の思い描いた大会を組み立てていくだけです。
ここでは以下のことを決めましょう。
大会名はとても大事です。参加者に呼びやすいように考えたり、大会の意味合いを考えたり、いろいろな大会の命名由来を調べてみてください。(ANOTHER TOURNAMENT は、当時あった半公式大会とは別のもう一つの大会といった意味から名づけられました。)
大会ルールはオリジナルでもいいし、既存の大会を参考にしてもいいです。もしそのゲームに世界大会などの公式大会があるならば、それに準拠したルールにすると参加者は分かりやすいです。慣れないうちは大会ルールにアレンジを加えるのはやめましょう。
(コミュニティ大会のルールを参考にする場合は、必ず主催者に確認をとってください。)
大会規模を設定しましょう。大会規模は何チームまでのエントリーを上限とするかです。コミュニティの規模感と、運営陣がどれだけ管理できるかで決めます。(1位が決まるまでの合計試合数を考えておきましょう。開催日時に影響します。)
大会規模は開催日に大きく関わるので、一度開催日と時間を決めたら絶対に変更しないようにしましょう。
大会開催日は必ず余裕を持って決めましょう。
よくこんな話を見かけませんか?
「バイトで出れない」「仕事で間に合わない」「他の大会と被ってた」
仕方ない部分もありますが、大きい大会なら2か月前くらいには開催日を決定しておきましょう。
また、大会の開始時間も決めておきましょう。1試合にかかる時間から計算すると決めやすいです。
優勝賞品の有無を決めましょう。優勝賞品があった方がいいのか、何のためにあるのか考えます。参加者にとっては、あるに越したことはないですが、なくてもあんまり関係ないです。ANOTHERでは優勝賞品があってもなくても大会への影響が少ないと認識しています。ただ、コミュニティによっては賞金の有無が影響する場合もあるので、界隈リサーチの結果から考えると無難です。
演者さんへの出演依頼
大会概要が決まったら、演者さんに実況解説の出演依頼をしましょう。
演者さんはプロの方から趣味でやっている方まで様々ですが、開催直前になって声をかけても、予定が埋まっていることがほとんどです。そして、演者さんにも迷惑をかけることにもなるので、早めにお声掛けしましょう。
企画・配信コンテンツ
大会の大枠が決まりましたね。次にやることは大会で行う企画や配信内のコンテンツ決めです。この項目は大会運営に慣れたら行うようにしましょう。といっても、本当にスキップしていいの?と思うので理由を書くと
などがあり、そもそもオンライン大会で企画・コンテンツなんてないに越したことはないです。そのため、慣れないうちはやらない方がいい大会になる可能性が高いです。
それでは、企画・コンテンツについて解説します。
企画には、Twitter RTキャンペーンや勝利予想キャンペーン、インタビュー動画、大会トレーラーなどがあります。主に私たちは、大会当日以外の日にも参加者や視聴者にアプローチできる施策を企画と呼んでいます。
配信コンテンツは、配信内で完結する企画のことです。BANPICKのあるゲームなどでは、BANPICKを見せることも配信コンテンツになります。
視聴者が試合間の待ち時間などで、配信からなるべく離れないようにするためであったり、支援してくださっている企業様のことを伝えることを目的とする場合が多いです。
まずは、多くの大会の企画や配信コンテンツを調べてみましょう。いろいろな企画があるので、いざ企画を作る際の引き出しを増やしておくと良いです。
デザイン・台本の作成
概要と企画が決まったら大会のデザインをしましょう!
最低限必要なデザインは、
この2つだけです。デザイナーの方に頼んでももちろんいいし、自分で作成してももちろんいいと思います!画面切り替えや企画説明などの配信デザインが多くなる場合は、この時点で着手するかデザイナーに依頼しましょう。
そして演者さんがいる場合は台本を用意します。演者さんたちは台本がなくても進行できるくらい素晴らしい方々ばかりですが、簡単にでも大会の進行や画面構成などを説明するものは用意しておきましょう。
エントリー準備
ここまできたらあとは参加者を集めて配信するだけです。
ですがその前に、参加者を集める準備をしなくてはなりません。
まずはエントリー期間を考えましょう。エントリー期間とは、参加者が大会に参加できる受付時間のことです。ANOTHERでは、大会開催日の1-3日前を締め切りとし、3週間程受付することが多いです。
期間を設定したら参加規約を考えましょう。参加規約は、参加者と運営を結ぶ契約書のようなものです。参加者、運営ともに規約を守らないといけないです。規約に書いていないのに、いきなり運営が参加者にとって不利になる条件を付け加えたりするとトラブルの元になります。
まず最初は、絶対にやってはいけないことを参加規約に設定しましょう。
また、プロの参加を制限することや、ゲーム内ランクで制限する場合も規約に必ず記載するようにしましょう。
慣れてきたら他大会を参考にしたり、起きた/予測されるトラブルを元に追加していくと良いです。
大会の運用方法
ここでは大きく2つ
大会告知と管理の運用方法について解説します。
基本的にTwitterを使って告知をし、Discordを使って大会運営をします。
(特にチーム戦の場合はDiscordを使用しましょう、個人戦の場合は後に紹介するTonamelで大会管理できます)
数多くの大会でTwitterとDiscordを使った運用が行われているので、特に理由がなければこの2つを使うと参加者がわかりやすくて良いです。
Twitterは大会アカウントを作成してもよいですし、自分のアカウントでもよいです。とにかく大会の存在をツイートしましょう!
Discordの作成手順や使い方などは後半で実際に進めていきます。
発表/エントリー開始・参加者対応
いよいよTwitterで大会発表です!(キービジュアルを忘れずに)
エントリー準備と運用方法が確定したら、エントリーを開始しましょう!
どうやってエントリー管理したらいいかわからなくても大丈夫です。
なんとこんな素晴らしいサービスがあります。
Tonamel (Twitter: @TonamelJP)
詳しい使い方はTonamelさんが丁寧に説明しているので割愛しますが、ものすごく簡単に管理やトーナメント作成ができます。
このロードマップでは、Tonamelを使ってエントリーを開始します。(Twitterでエントリー開始したことも発信しましょう)
もし開催する大会がチームで行うゲームの場合は、エントリー時にDiscordへの誘導を行いましょう。
もしかしたら参加者がDiscordで質問をしてくるかもしれません。適宜質問に答えましょう。
トーナメント作成
エントリーを締め切ったら、トーナメントを作成します。これもTonamelを使って簡単に作成できます。作成したら忘れずTwitterとDiscordの両方で告知しましょう。
大会当日
ついに大会当日です!初めてだと大会進行で何したらいいか不安かもしれませんが、大会やゲームに慣れている参加者が多いので、ルール、開始時間、トーナメントが決まっていれば自分たちで進行できる場合がほとんどです。
私たちの役目は、参加者がどこか躓いた時にそれを補佐することです。
(OBSなどを使った配信の具体的なやり方などは調べると出てくるので、今回は割愛します。)
以上が全体の流れです。意外とやることが多いと感じるかもしれませんが、負担になる所は簡略化しましょう。
次の章では実際にANOTHERがどういったことをしているのか事例を用いて紹介して行きます。
ANOTHERの事例
このロードマップでなんとなく全体の流れがわかったと思います。
しかし、具体的な事例がないと少し不安な所もあると思います。
ここでは、あなたが少しでも大会開催を楽にできるように事例を紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
コンセプト
私たちが過去に開催したB1トーナメント(略:B1)という大会では
というコンセプトから作られました。初めてB1が行われたのは2020年の4月で、自粛で平日も暇な人が多かったです。B1はこのような背景から生まれた大会でした。
ゲームタイトル決定
私たちANOTHERは主にCall of Duty(略:CoD)で大会を開催しているため、まずはCoDコミュニティの人の自粛期間を楽しくしたい!といった考えから、CoDにゲームタイトルが決定しました。
界隈リサーチ
CoDで普段から大会やイベントを行っているため、特別リサーチはしていないですが、現在発生しているバグなどについては改めて確認しました。
また、大会をサポートしてみたい!という方々に声をかけたりしました。
大会概要
まず初めにB1の概要をまとめます。
大会名はBest of 1 トーナメントを略したB1トーナメントで、1試合の結果で勝ち負けが決まる大会を意味します。
大会ルールは現在世界大会で使用されているルールを使用しています。
大会規模/開催日は、1日で終了するように上限64チームとし、一試合15-20分と考え、平日21時から開催していました。平日の毎日開催は、コンセプトに基づきこのような形になっています。
優勝賞品は、いくらを提供してくださった方や、協賛のKontrolFreek様のおかげで多くの賞品を提供することができました。(esports × 食べ物の相性は無限)
ZONEはTonamelのキャンペーンで簡単に優勝賞品等で提供できるので、何か欲しい!って人はありだと思います。
企画・配信コンテンツ
ここからANOTHER TOURNAMENTの事例になります。
企画では、選手やチームのことを知ってもらい、大会に興味を持ってもらうためにTwitterでのチーム紹介をしています。
また、RTキャンペーンで大会の存在を告知したり、エントリーまでの期間をビジュアルで伝えています。
大きな大会だと、勝利予想で賞金山分けなど色々企画があります。
配信コンテンツでは、BANPICKの他にクイズなどを実施しています。
詳しくはこちら
デザイン・台本の作成
デザインはキービジュアルを優先に作成します。
そしてスケジュールを立ててTwitterの告知優先で作っていきます。
デザイン担当の私は、最低でもこれくらい作っていることが多いです。
特に太字は重要なので、デザインが最低限必要なら太字だけ行ってください。
台本は台本担当の方に任せています。詳しく表には出せないですが、こんな感じで冒頭から終わりまで、大会の概要を実況解説にわかりやすく伝えています。
エントリー準備
エントリー期間は大会開催の前日から逆算して大体3週間ほどとっています。
参加規約はこんな感じの項目を作成しています。
発表/エントリー開始・参加者対応
発表/エントリーはTwitterで行っています。Twitter運用担当が一人いるため、その人に基本運用を任せる形をとっています。いかにかっこよく簡単に伝えられるかを考えて文とデザインを作っています。
Discordではこのようなチャンネルを作り、当日になったら対戦ルームのテキストチャットを作成しています。参加者がDiscordを見ただけで大会について把握できるよう心がけています。
ANOTHERではセキュリティの観点から、詳細は参加登録者しかわからないようにしています。
質問対応も適宜行い、抜け漏れがないようにしています。
大会当日
点呼を行い、参加者がいることを確認します。
ANOTHERではbotを使って進行を行っています。
参加者はbotとやりとりすることで人的ミスをなくしています。
ゲーム内エラー等に対する試合の続行や再試合の判定などは、条件と事前に決めてある対応で判断します。
勝利報告チャンネルにて、結果を集計しトーナメント上に反映していきます。
後は対戦スケジュールに沿って同じことを繰り返します。
基本トラブルがなければ運営は暇です。参加者の個人配信等を見て待ちましょう。見てる試合の進行チェックと、もしその試合でトラブルが起きた場合は迅速に対応できるという名目があります。
以上が大会運営例です。
最後に
大会は習うより慣れよ的なことが多いので、自分でできる範囲でのんびり行っていくことが一番です。
このロードマップの目的は、「大会開催したいけど、なにしていいかわからない!」という方、「大会をレベルアップしたいけど、なにしていいかわからない!」という方向けのため、自分にとって大変に思う項目があるかもしれません。その場合は遠慮なくスキップして、他の項目を充実させましょう。
まだまだANOTHERも足りない点が多いですが、今までの経験が少しでも他コミュニティ大会の力になれば幸いです。