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第33話 黒蛇革の財布

33. 接続詞(2) いろいろな接続詞

(9月20日 メドりん宅⑥)

夜の森には何が潜んでいるかわからない。
子供はもちろん大人であっても、夜の森には決して足を踏み入れてはならない。
今宵もまた、ここ小さな森の大きなお家で、世にも恐ろしい惨劇が起ころうとしていた。
アオ~~~~~ン

「ども! 家庭教師のタムラです」
「あ~ら、センセ、いらっしゃ~い」
のっけから、明らかに作り笑顔のゴルゴン長女が出迎えた。
「あ、お姉様、……こんばんは」
「ど~も」
「ども」
「もうすぐ、十五夜ねぇ」
「そうですね」
「今年は晴れるかしら」
「さぁ、どうでしょう」
「去年はどうだったかしら」
「んー、どうでしたっけ」
「段々、肌寒くなってきましたわねぇ」
「そうですね」
――何、この会話。なんか、嫌な予感。
「ところで、……センセ」
――ほれ、来た。
「なんでしょう?」
「お財布、……持ってます?」
「へ?」
――まさかの、……カツアゲ? 勘弁してぇ。
「お財布よ、……お・さ・い・ふ」
「いや、私、お金ないんで、財布持ってないんですよ、ハハハ」
「オーホッホッホ、先生ったらもう、おバカさんねぇ。お金がないから財布がないんじゃなくて、財布がないからお金が貯まんないのよ」
「はぁ、確かに一理ありますね」
「どう? いいお財布があるんだけど、……買わない? 蛇革の」
「へっ、……蛇革のですか」
「そう、しかも黒蛇革の、……高級ブランド品よ。今なら、お安くしておきますけど。お金、貯まるわよ~」
「はぁ、……考えときますわ。ところで、メドりんは部屋ですか?」
「ええ」
「では、行ってきます」
「ええ、……よ・ろ・し・く」と、ゴルゴン長女は不敵な笑みを浮かべながらリビングにすうっと入っていった。
さて、2階に上がってメドりんの部屋に入ると、珍しくメドりんが机に向かっている。
「あ、先生、こんばんわぁ」
「はい、こんばんは」
「下で何、話してたの?」
「別に大したことじゃないけど」
「もしかして、アネキに営業された?」
「う、うん。黒蛇革の財布、安くしとくって。お金も貯まるって」
「クヒヒヒ、……アネキも営業上手だなぁ。でも、モノはいいみたいだよ」
「だよねぇ、……何てったって、GORGONは超有名ブランドだからな。値段も高そう」
「そう言えば、最新モデルができたから、1つ誰かにプレゼントするとか、なんとかって言ってたよ」
「ふ~ん、そうなんだ」
――もしかして、俺に?
「たぶん、先生にじゃない。いつもお世話になってるから、って言ってたもん」
「いやいやいやいや、そんな気ぃ使われても困るし」
――マジで? ラッキー! なんか、ヤル気が出てきたぞ。

「どぉれ、やっぞぉ。今日のテーマは『接続詞(2) いろいろな接続詞』ね。はい、早速、<アテナの黙示録33>を見ておくれ。

<アテナの黙示録33> 接続詞(2) いろいろな接続詞
【1】 when の用法
|★when は「いつ」(=疑問詞)の意味の他に、うしろに文を従えて「~したとき」の意味になる。
||例)My sister was watching TV when I came home.(私が家に来たとき、私の姉妹はテレビを見ていました)
|||=When I came home, my sister was watching TV.
|||※<when +文~>の部分を前に持ってくるときは、コンマで区切る。

いがぁ、【1】から。接続詞の when は、うしろに文を従えて『~したとき』の意味を表すよ。例えば、『私が家に来たとき、私の姉妹はテレビを見ていました』っていう文の『私が家に来たとき』の部分は、when I came home って表す。これを my sister was watching TV(私の姉妹はテレビを見ていました)のうしろにつなげて、文全体を英語にすると、My sister was watching TV when I came home. っていう英文ができあがる。あるいは、when I came home の部分を前に持ってきて、When I came home, my sister was watching TV. ってやってもいいよ。ま、この場合はコンマが必要だけどね」
「どっちでもいい、ってこと?」
「そ。気分次第。ただし、作文の問題の指示で『my sister から書き始めなさい』とあれば、my sister で書き始めなきゃダメだよ。『when から書き始めなさい』って言われれば、when で書き始めるし。OK?」
「おげ」
「英文を訳すときは、when のうしろから『~したとき』って訳せばいい。I was studying English when my father came home. だったら?」
「えっとねぇ、『私の父が帰宅したとき、私は英語を勉強していました』」
「そのとーし! じゃあ、今の英文を when から書き始めたら?」
「When my father came home, I was studying English.」
「しょーゆーこと。おげ?」
「おげ」
「んで、次、【2】。

【2】if の用法
|★if は、うしろに文を従えて「もし~ならば」の意味になる。
||例)I will stay home if it rains tomorrow.(もし明日雨が降ったら、私は家にいるつもりです)
|||=If it rains tomorrow, I will stay home.
|||※<if +文~>の部分を前に持ってくるときは、コンマで区切る。
|||※if のうしろでは、未来のことでも現在形を使う。
||||I will stay home if it will rain tomorrow.(×)

いがぁ。接続詞の if は、うしろに文を従えて『もし~ならば』の意味を表すよ。例えば、『もし明日雨が降ったら、私は家にいるつもりです』っていう文の『もし明日雨が降ったら』の部分は、if it rains tomorrow って表す。で、ここで大事なルールがあるんだけど、if のうしろでは、未来のことでも現在形を使う、ってことね。tomorrow があるからと言って、if it will rain tomorrow(×)とはしない、ってことよん。よって、文全体を英語にすると、I will stay home if it rains tomorrow. あるいは、if it rains tomorrow の部分を前に持ってきて、If it rains tomorrow, I will stay home. でもいいよ。訳すときはやっぱり、if のうしろからね。Please call me, if Tom comes here. だったら? call は『電話する』って訳そう。そうすっと?」
「『もしトムがここに来たら、私に電話して下さい』、……かな?」
「そ。じゃあ、今の英文を if から書き始めたら?」
「If Tom comes here, please call me.」
「しょーゆーこと。おげ?」
「おげ」
「んで、次、【3】。

【3】because の用法
|★because は、うしろに文を従えて「(なぜなら)~なので」の意味になる。
||例)I can’t go shopping because I am busy now.(私は今忙しいので、買い物に行くことができません)
|||=Because I am busy now, I can’t go shopping.
|||※<because +文~>の部分を前に持ってくるときは、コンマで区切る。

いがぁ。接続詞の because は、うしろに文を従えて『(なぜなら)~なので』の意味を表すよ。例えば、『私は今忙しいので、買い物に行くことができません』っていう文の『私は今忙しいので』の部分は、because I am busy now って表す。よって、文全体を英語にすると、I can’t go shopping because I am busy now. あるいは、because I am busy now の部分を前に持ってきて、Because I am busy now, I can’t go shopping. でもいいよ。訳すときはやっぱり、because のうしろからね。I stayed home because it was raining. だったら?」
「『雨が降っていたので、私は家にいました』」
「そ。じゃあ、今の英文を because から書き始めたら?」
「Because it was raining, I stayed home.」
「てことね。おげ?」
「おげ」
「おしっ。んで、<スピンクスの謎33>をやっぞぉ。

<スピンクスの謎33> 接続詞(2) いろいろな接続詞
日本語の意味になるように、次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(1) Nancy often visits Japan (when, because, if, that) she can speak Japanese.(ナンシーは日本語を話せるので、よく日本を訪れます)
(2) You should study English hard (when, because, if, that) you want to go to America.(もしアメリカに行きたいのなら、あなたは英語を一生懸命勉強すべきです)
(3) He was out (when, because, if, that) I visited him.(私が彼を訪れたとき、彼は外出中でした)
(4) We will play tennis if it (is, was, will be, has) fine tomorrow.(もし明日晴れたら、私たちはテニスをするつもりです)
日本語の意味になるように、(  )内の語句を並べ換えなさい。
(5) When (was raining / I / , / got up / it).(私が起きたとき、雨が降っていました)

はい、(1)から、答え入れて読みぃ」

日本語の意味になるように、次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(1) Nancy often visits Japan (when, because, if, that) she can speak Japanese.(ナンシーは日本語を話せるので、よく日本を訪れます)

「Nancy often visits Japan because she can speak Japanese.」
「そのとーし! 『(なぜなら)~なので』は because を使えばいいね。はい、次、(2)、答え入れて読みぃ」

日本語の意味になるように、次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(2) You should study English hard (when, because, if, that) you want to go to America.(もしアメリカに行きたいのなら、あなたは英語を一生懸命勉強すべきです)

「You should study English hard if you want to go to America.」
「そのとーし! 『もし~ならば』は if を使えばいいね。後半にある want to は<want to +動詞の原形~>で『~したい』っていう意味になるんだけど、ま、これについてはまた後日詳しくやりますんで。はい、次、(3)、答え入れて読みぃ」

日本語の意味になるように、次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(3) He was out (when, because, if, that) I visited him.(私が彼を訪れたとき、彼は外出中でした)

「He was out when I visited him.」
「そのとーし! 『~したとき』は when を使えばいいね。はい、次、(4)、答え入れて読みぃ」

日本語の意味になるように、次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(4) We will play tennis if it (is, was, will be, has) fine tomorrow.(もし明日晴れたら、私たちはテニスをするつもりです)

「We will play tennis if it、……ん?」
「if のうしろでは、未来のことでも現在形を使うんだったよ」
「てことわぁ、We will play tennis if it is fine tomorrow.」
「そのとーし! tomorrow に騙されて will be ってやらないように」
「あ~い」
「はい、ラスト、(5)、並べ換えた英文読みぃ」

日本語の意味になるように、(  )内の語句を並べ換えなさい。
(5) When (was raining / I / , / got up / it).(私が起きたとき、雨が降っていました)

「When it was raining(×)」
「まてまてまてまて、それじゃあ『雨が降っていたとき』になっちゃうぞ」
「あ、そっか。When I got up, it was raining.」
「そのとーし! <when +文~>で『~したとき』だからね。はい、通してどっか、質問ある?」
「なーし!」
「おしっ。んで、本日終了。おつかれさ~ん」

「あ~ら、センセ、……お疲れ様」
「どうもでした。ところで、お財布の件」
「あら、頂いて下さるの?」
「え、ええ、まぁ、お姉様方の最新モデルであれば遠慮なく」
「じゃあ、いつもお世話になっておりますから特別、3%OFFで970,000円、税込1,067,000円てところかしら。ありがとうございます」
「へっ? プレゼントじゃ」
「リボンつけます? いらないわよねぇ」
「え? タダじゃ」
「一括でよろしいですか? さぁすが、センセ」
「い、いや、あの、お金が」
「分割?」
「いや、その」
「い~んですわよ、気になさらないで。はい、毎度あり~」
「はぁ、……どうもです」
――と言う他に、一体俺は何を言えようか。くわばらくわばら、……もう遅い。

<オイディプスの答え33> 接続詞(2) いろいろな接続詞
(1) because
(2) if
(3) when
(4) is
(5) I got up, it was raining

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