減量苦騎手列伝5 大江原比呂騎手

減量に苦しめられる職業の一つに「騎手」があります
吉永正人騎手(当時)が「雨の日に、帽子のひさしから落ちてくる雨水が本当にうまい」と述べた話は有名です

以前から書きたかった「減量に苦しむ騎手の話」
本当に苦しんだ騎手からちょっと笑える騎手まで
どこかで読んだ雑誌の記事や出典がハッキリしない記憶を頼りに書いてみたいと思います

大江原比呂騎手

2024年騎手デビュー 
2025年騎手引退 
通算198戦4勝(JRAのみ) 
 
50年後とまで言えば大袈裟かも知れないが人人の記憶が薄れた頃にこの騎手の上記概要を見たら「怪我で早期引退したのだろうか?」と思われるかもしれない 

しかし現実は日本の何処かで細細と競馬を続けている筆者がこれまた細細と書き連ねてる「減量苦騎手列伝」なるモノに登場することからも分かるとおり「減量苦が遠因で早期引退を余儀なくされた悲運の若手騎手」なのである
(ここまでの文体は西谷凜騎手の時とほぼ同じである) 

祖父は大江原哲元調教師・元騎手(執筆時) 
叔祖父は大江原隆元騎手・現調教助手(執筆時)
父は大江原勝調教助手(執筆時)
従叔父は大江原圭騎手(執筆時) 
他に元競馬記者の叔祖父も居る競馬一族である
一族の中では比較的小柄だった大江原哲元調教師は障害競走で好成績を挙げているが騎手晩年まで平地競走でも騎乗を続け53.0kgでも騎乗し馬質の割にはそこそこの成績も残している
対して大柄だった大江原隆元騎手は減量苦からデビュー当初は障害競走のみ騎乗し後に平地競走にも騎乗するが再度減量苦に見舞われ騎手晩年は障害競走専門であった
大江原圭騎手もかなりの大柄でデビュー初年は51.0kgに乗るのがやっとの状態と見受けられる場面が多数あり執筆時点では平地免許は保持しているものの事実上障害専門騎手である(平地競走での勝利は若手騎手限定競走で騎乗予定だった他の騎手が負傷により騎乗出来なくなった際に「当日当該競馬場に臨場し若手騎手限定競走に騎乗可能な騎手のうちの数少ない一人」であったことから急遽乗り替わり其のワンチャンスを活かして挙げた1勝のみ)
 
 
そんな競馬一族の一員である大江原比呂騎手 
 
余程勘の鈍い人でない限り「いつか減量で苦しむことになる」のは想像に難くないはずである 
そんな彼女を何故騎手デビューさせたのか 
もっと言えば何故競馬学校騎手課程に合格させたのか 
職業選択の自由があるにせよ疑問しか無い 
 
騎手デビュー時点で体重が48.2kgと公称されていた
競馬学校騎手課程の体重上限を僅かに超過しているが騎手免許試験受験には問題無いギリギリの所である
デビュー時点の体重としてはかなり雲行きが怪しい 

さて  
一年の留年を経てデビューした大江原比呂騎手であるが2024年8月31日のレースで負担重量超過事故を起こしてしまう
この時は公称50.0kgのところを50.5kgに変更(0.5kg以上1.0kg未満の超過)で過怠金100,000円の制裁が科されている
しかし然程期間を置かずに調整ルーム内で脱水症を発症し騎手変更となったことで加重制裁となり騎乗停止処分を受けてしまう
その騎乗停止処分が実効される直前にも「負担重量について注意義務を怠った」ことについて更なる加重制裁として一発で過怠金100,000万円の制裁を科されてしまう

完全に負の連鎖である

案の定口さがない競馬ファンからネット上で罵詈雑言を浴びせられてしまう

「騎手向いてない」
「辞めちまえ」

某二世騎手が減量失敗し負担重量超過した時には聞かれなかった罵詈雑言である

騎乗停止期間が明けてあるレースに騎乗予定だった大江原比呂騎手
しかしレース当日朝の調教中に負傷してしまい乗り替わりとなる
ここで信じられない罵詈雑言がネット上で飛び交った

「ちゃんと(騎乗予定の負担重量52.0kgに騎乗可能な状態まで)減量出来ていたのか調べろ」

某二世騎手が病気で乗り替わりとなった時には聞かれなかった罵詈雑言である  

突然の引退発表に際し所属調教師が「減量が問題ではない」「心が折れてしまったのだろう」と将来ある若者を庇った

そりゃあ心も折れるでしょうよ

ネット上の罵詈雑言のレベルが日に日に酷くなっている
大江原比呂騎手はデビュー一年にも満たない新人騎手だ
「下手で当たり前」ではあるが一方で東京芝2400mの競走で初勝利を挙げる辺り将来性は抜群でもあった
色色あるとは思うが罵詈雑言浴びせてイイ騎手なんて本来居ないはずである
(小島太一を除く)

大江原比呂騎手を引退に追い込んだのは我我競馬ファンなのでは?
そう思わずにいられない

一方でまた西谷凜騎手の時と同じ文面になるが「何故騎手デビューさせたのか」という疑問は拭えない 

筆者は大江原隆元騎手や大江原圭騎手が減量に苦しんでいた様子を雑誌等で見ている(大江原圭騎手は近年は体重について「気にしていない」そうであるが) 
なので筆者のような疑問を抱いた人はゴマンと居るはずである 
 
「こうなることは最初から分かっていたのでは?」  
 

改めて強く言わせて貰いたいのは「同じような減量苦という境遇にありながらどういうワケか制裁を免れて現在も現役を続けている騎手が居る」というのは如何なモノかという点である 
執筆時点で証拠が無いので今は「誰が」とは言わないが 

大江原比呂騎手は「競馬以外の世界」を望んだとのことで競馬界から去ってしまうそうだ
しかしまだまだ若い
輝ける新天地は幾らでもあるはずだ
大江原比呂騎手の今後に幸あらんことを心より願うばかりである

競馬学校に於かれましては今後彼のような若者を二度と出さないようにしていただきたいと強く願います 

 

2025年2月2日

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