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〜パリとともにキャリアを歩む守備の要~マルキーニョス
パリで多くのスターと共演し、飛躍していった
現在、フランス最強クラブとして君臨するパリ・サンジェルマン。かつてはフランス国内でも中堅クラブだったものの、2011年にカタール資本が入ったことにより、潤沢な資金力を得て、欧州ビッグクラブの一つとして数えられるようになった。
そんなパリで現在主将を務め、チームの大黒柱として活躍しているのが、ブラジル代表DFマルキーニョスだ。カタール資本による変革期の2013年夏にパリに加入したマルキーニョスは同胞のチアゴ・シウバやダビド・ルイスといった先輩プレーヤーの姿を追いかけ、パリのクラブとともに大きく成長を遂げた。対人守備の強さに加え、最終ラインで抜群のリーダーシップを発揮し、パリに多くのタイトルをもたらしてきた。これまで多くのスター選手が活躍してきたパリだが、マルキーニョスもクラブの歴史を語る上で欠かさない選手であることは間違いない。
コリンチャンスで育ち、ローマへ
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ブラジル出身のマルキーニョスは、8歳の時に母国の名門クラブであるコリンチャンスのユースチームに入団。ユース年代からセンターバックでプレーし、そのポテンシャルを遺憾なく発揮していった。順調に成長を続けていたマルキーニョスは2011年にU-17ブラジル代表として南米選手権を優勝。コリンチャンスのトップチーム昇格を果たし、翌2012年に念願のトップチームデビューを飾った。
そんなマルキーニョスのプレーぶりはすぐに欧州にも知れ渡り、2012年夏に18歳の若さでイタリアの名門ローマへ移籍することになる。初挑戦のヨーロッパかつローマという名門クラブでのプレーというハードルの高い移籍となったものの、すぐにその実力を証明。チーム事情により、本職ではない右サイドバックで起用された試合もあったが、シーズンを通して多くの試合でコリンチャンス時代のチームメイトであるレアンドロ・カスタンとセンターバックでコンビを組み、1年目から公式戦30試合に出場。そのポテンシャルの高さを見せつけたシーズンとなった。
同胞の先輩を追いかけて
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初挑戦のセリエAでその実力を示したマルキーニョスには再び欧州のビッグクラブから注目を集める存在となった。そんな中、マルキーニョスは当時カタール資本によりクラブの変革を進めていたパリ・サンジェルマンへの移籍を決断。当時としてはかなり高額の3500万ユーロもの移籍金が発生するビッグディールであった。
当時のパリの最終ラインに君臨していたのが、世界最高のセンターバックとも言われていたブラジル代表DFチアゴ・シウバ。抜群の安定感と1対1の強さを兼ね備える同胞の先輩をプレーから学びの日々が続いた。パリでの2シーズン目となった14-15シーズンにはチェルシーから当時のブラジル代表でチアゴ・シウバの相方を務めていたダビド・ルイスがチェルシーから加入。ブラジル代表同様にこの2人のセンターバック起用がメインとなり、マルキーニョスは右サイドバックでの起用を強いられることになった。
それでも同胞の先輩達の姿を追いかけて成長を続けるマルキーニョスは14-15シーズン以降、毎年リーグ戦25試合以上に出場するなど、本職でのプレーは限られながらも、パリのリーグ4連覇に貢献していった。
遂に掴んだ中央のポジション
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16-17シーズン。ダビド・ルイスが古巣チェルシーに復帰したことにより、センターバックの定位置を確保。遂にチアゴ・シウバの相方として起用されるようになった。16-17シーズンは絶対的エースだったズラタン・イブラヒモビッチの移籍やモナコの躍進もあって、リーグ優勝は逃したものの、17-18シーズンから再びリーグ3連覇を達成。18-19シーズンには下部組織出身のフランス代表DFプレスネル・キンペンべの台頭や中盤の人材不足もあり、ボランチで起用される機会を増やした。
センターバックの選手としては高い足元の技術を持っていたマルキーニョスは初挑戦となった中盤のポジションもそつなくこなし、リーグタイトル獲得に大きく貢献していった。19-20シーズンにはクラブの悲願であったチャンピオンズリーグでも快進撃を見せて、クラブ史上初の決勝進出。決勝でバイエルンに敗れて悲願達成とはならなかったものの、ネイマールやキリアン・エンバぺといったスター選手を軸にした攻撃力に加え、チアゴ・シウバとマルキーニョスを中心とした安定感のあるディフェンスはビッグイヤー獲得も現実的なものだったと言えるだろう。
悲願のビッグイヤーを目指して
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19-20シーズン終了後、チアゴ・シウバが退団し、チームリーダーとして役割を担うことになった。リーグ戦では20-21シーズンを除き、タイトル獲得に成功しているが、チャンピオンズリーグでは19-20シーズンを最後に決勝の舞台にすら立てていない状況が続いている。最早リーグ制覇は当たり前となっているパリにとって最も欲しいのはビッグイヤーだ。エンバぺやネイマール、メッシといったスター選手がチームを去り、一時期程の派手さはなくなったパリだが、ビッグイヤーを狙うだけの力は間違いなくあるはずだ。19-20シーズンの悔しさを経験し、キャリアの大半をパリに捧げてきたマルキーニョスにとっても悲願となっているビッグイヤー。ビッグイヤーを目指すマルキーニョスの挑戦はこれからも続いていく。