「謎を買うならコンビニで」を読んで(日常ミステリー好きにお勧めです)
この本を読んで、まず、「コンビニの店員さんは、毎日いろいろな人を相手にしてたいへんなんだろうなあ。コンビニでは店員がマニュアルどおりに対応できる平凡な客として振る舞おう。」と思った。
そして、二つのことを教えてもらった。
一つ目。自分を殺して、ひたすらマニュアルどおりで過ごすしていると、いつか限界に達してしまう。自分を偽り続けるといつか破綻する。どこかで素の自分になる時間が必要である。そんなあたりまえだが、忘れてしまっていることを教えてくれる。仕事や家庭にて、周りが求める役割を演じすぎていないかを再確認するきっかけとなった。好きなことをする時間はやはり大切だと思った。そんなことを教えてもらった。(ちなみに、村田沙耶香さんの「コンビニ人間」はマニュアルどおりであり続けることの奇異さを教えてくれる)
そして二つ目。孤島でも屋敷でもなく、コンビニというあたりまえの日常と化している場所において、密室やアリバイトリックといった謎を創出し、ポイントカード・レシート・電子レンジといった日常的な品々を用いて、論理的に謎を解く「痛快なミステリー小説」を創作できることを教えてくれた。
ミステリー小説の奥深さを感じさせてくれる楽しい本であった。
コンビニの謎ってと思うかもしれないが、文体もやさしく登場人物もわかりやすい、読みやすい本でした。
「日常をテーマにした本格ミステリー」又は「マニュアルどおりでいることの限界」に興味のある方、お薦めです。
出版社:講談社 作者:秋保水菓 タイトル:謎を買うならコンビにで 7/8読了