カターニアの守護聖人は聖アガタと言うらしい。
2023/11/19 イタリア シチリア カターニア 🇮🇹
ホステルで目を覚まし、キッチンで白湯を飲もうとしたところ、清掃員の方にいきなり怒られてしまい困惑する。事情を聞くと、電子レンジを汚した人に私が似ていたそうだ。
私は電子レンジを使っていなかったのでその旨を伝えて弁明すると解放してくれた。
今日まで何故か気づいていなかったのだが、ホステルの近くにはウルシーノ城が立派に佇んでいた。現在はギリシャ・ローマ時代の考古学博物館になっているらしく、何故この時行かなかったのか疑問に思うしかない。あれだけ時間があったはずなのに。他の地に行くことに夢中で、きっとちゃんと調べなかったからだと思うのだが、ちゃんとその場所にいる時間を大事にすべきだなと痛感した。
朝ごはんには現地の方で混み合っていたカフェを選択してみた。生ハムは大好きなので丁度いい塩気とトマトとチーズの相性が最高だった。
昨日も訪れたドゥオモの広場で象を拝み、今日はベッリーニ庭園に行ってみることにした。
1883年に完成されたこの庭園は名前の由来ともなったオペラ作曲家のヴィンチェンツォ・ベッリーニに捧げられたものである。その由来に因んでか、公園内でコンサート等のイベントを行うこともある様だ。
しっかりと手入れされた公園は美しく、市民の方々の憩いの場となっていた。シンボルの象もしっかりと施されている。
公園には沢山のベンチが設置されていたのだが、私は少し隠れた人通りの少ない場所を選んで作業時間を過ごすことにした。
旅先で仕事という程でもないが、パソコンを開くのは少々億劫であるものの、この様な清々しい気候の中であれば優雅だなとモチベーションが上がる。そこまで長く時間は取らなかったのだが、集中して進められたと思う。
ショッピングをあれだけしないと言っていたくせに、結局シチリア島のブランドの洋服を買ってしまった。ショッパーも可愛い。まあ結構気に入っているので良しとしよう。
そして、ここ数日お世話になっていたカフェにて聖アガタのケーキを食すことにした。
これは殉教したアガタというカターニアの守護聖人の名に由来する伝統のお菓子である。その白いドーム状のケーキの上にチェリーが乗ったケーキは彼女の乳房をモチーフに作られていると聞くと衝撃的だ。かつてキリスト教徒は様々な迫害により、その信仰を貫いた結果、無惨な死を遂げてきた歴史を持つ。
聖アガタの場合も諸説あれど、ローマ人権力者の意に従わず信仰を貫いた結果両乳房を切り落とされる刑に処せられてしまった。言い伝えによっては熱心な祈りによって乳房は再生されたとも言われているのだが、彼女が自身の乳房を持って描かれた絵画には衝撃を受けざるを得ない。火炙りの刑は天災により免れたのだが、いずれにしても獄中死を遂げており悲惨な生涯である。そんな彼女を守護聖人として崇めるカターニアでは、2月3日から5日にかけて聖アガタのお祭りが開かれる程の人気っぷりを博している。そして、聖アガタの名がつくお菓子の中でも最も有名なこのお菓子はカターニアではバルやカフェなど至る所で見ることができた。
周りが砂糖でコーティングされていることもあり、結構甘いのだが、中のリコッタチーズがさっぱりしていて食べやすい。そこまで大きいものでてなかったので、コーヒーをお供に最後まで美味しくいただくことができた。
個人的には留まりたくないマインドにより早く出たいなどと思ってしまっていたのだが、旅立つとなるとやはり名残惜しいものがある。カフェのテラス席でしみじみとカターニアの風を感じていた。
バスで空港に向かう。魚市場近くにあったターミナルで乗り場を探した。割と分かりにくく色んな人に聞いてまわった。
席に着くと、前の座席の人が私に興味を持ってくれて話しかけてくれた。彼が私がちゃんと空港で降りられるか心配そうにしていたのを気にかけてくれていて、降りるべきバス停を教えてくれた。彼は介護中の母親を連れて何処かに向かうと言っていた気がする。親切心に感謝であった。
歩いてすぐの距離ではあったのだが、バス停から空港は見えず、他の観光客も私が彼に降りる場所を教えてもらっているのを見て停留所を決めていたようだった。
実はヴェネチアで食べて美味しかったフリットをカターニアでも見つけ、旅のお供にと購入していたので、空港の端っこで食べることにした。食べたいと思って購入していたのだが、食べる暇なく空港まで来てしまっていたのだ。国際線だからきっと募集されるのだろうとチェックインカウンターの手前でフリットを食べている姿は割と恥ずかしかった記憶がある。空港職員の人にも何故あの人はここで食べているのだろうかと不思議そうな顔をされた気がする。まあそれでも美味しかったので良しとしよう。
カターニアからは飛行機に乗ってアルバニアへ向かう旅程にした。ここからは東ヨーロッパの旅が始まる。
アルバニアも聞き馴染みのない人も多い国の一つだと思う。私はどこで聞いたのか分からないのだが、不思議とその名前を認知しており、ずっと行きたかった国の一つとしてその名を覚えていた。この旅の期間が延びた瞬間にここに行こうと決めた国の一つだった。
これまでEU圏内を陸路移動だったので、パスポートを見せる機会も限られていた。飛行機ということもあり、久々にその国境を意識しての移動である。
国際線だと思い割と早めに空港に着いていたのだが、そこまで時間がかかるものでもなかった様で、空港で割と待つことになってしまった。小さなカフェ等もあったのだが、特にお腹が空いているわけでもないのでベンチで待機する。
飛行機の座席に記載されていた安全のためのしおりが可愛かったのでパシャリ。
2023/11/19 アルバニア ティラーナ 🇦🇱
飛行機に乗り込んでからアルバニアへは2時間程度のフライトだった。空港を出るとタクシーの運転手の客引きに圧倒される。事前にバスがあることを調べていたので、その勧誘を押し切って進んだ。ただ、バスターミナルというものはなく、着いてみたら駐車場に停まっていたバスがその市街地へのバスだったらしく、これは迷ってしまうなと思った。確か暗闇の駐車場で不安になってきた頃にバスの運転手がプラカードを掲げている姿を発見してやっとそのバスを見つけられたという様な記憶がある。
バス停で降りて予約サイトの住所を頼りに宿へ向かった。しかし、ここで問題発生である。記載の住所の場所はどうやら廃墟の様でホステルらしい場所は見当たらない。
予約したはずのホステルが見つからないのである。寒空の下、既に夜更け。しかも私は電波を持っていないのである。そして、この気温では流石に野宿は厳しい。
どうしたものかと途方に暮れていると、近くにあったピザ屋の店員が私が迷子だと気づいて声をかけてくれた。
あまり英語は通じない様だったのだが、私が予約したホステルのオーナーと知り合いらしく、連絡を取ってくれた。
そこのピザ屋に迎えにきて貰えることになり、そこで待たせてもらうことになった。親切心でエスプレッソも出してくれた。
途中で宿の関係者らしい女性の方が来たのだが、丁度エスプレッソが出てきたとのことでまた後で来るみたいな気を使わせてしまった。私もその時にいや行くよみたいな動きをしたのだが、遠慮されてしまったのか忙しかったのか私が状況を掴む前に蜻蛉返り。
結局それ以後彼女が現れることはなく、ピザ屋さんのご好意でそのお店に泊まらせてもらえることになった。それゆえに私の迷子に気づいてもらえたのだが、店内はガラス張りで危ないということでより奥のプライベートルームを案内してくれた。まさかのマリオ柄の壁紙に日本を感じる。著作権はグレーですけども。
レストランである為に宿泊設備が整ってないにしても、完全にプライベートな空間は日本を出て以来初めてだったので嬉しかった。11月の下旬に差し掛かるこの時期、寝ている時は正直寒かったのだが、屋根とソファが得られるだけでありがたい。いくら私がドミトリー慣れしているからといって、ストレスを感じないわけではないらしい。やはり特に寝る際には1人の空間を持つことでリラックスできるのだと気付かされた。また、トイレも専用というか、一つ自由に使わせてもらえたのだが、失礼ながら意外にも綺麗で驚いた。これもありがたいことである。
本当にこの場所を貸し出してくれたピザの店員には感謝だと思った。
1人の空間を存分に満喫しながら少し作業をして眠りにつくことにした。