【しくじりオーナー!俺みたいになるな!】~当時から3倍以上の売り上げをあげた意識変革~
皆さん、こんにちは! 代表の山中です。
私たちORCaは、「誰もが自分らしく活躍できる社会」の実現を目指し、現在は、大阪の谷町にてダウン症の方と共創するコーヒーショップ「HICARU COFFEE ROASTER」の運営などをしています。
今回は、 HICARU COFFEE ROASTERのオーナーである私の壮大なしくじり体験を赤裸々に告白します! 実は、カフェを始めた当初は、 資金繰り?継続的なマーケティング戦略? ノーマークでした。その結果、毎月50万円もの赤字を垂れ流し…まさにしくじりオーナー!
それでも今は当時の売り上げの約3倍に。その差は一体何が原因だったのか。
これから会社やカフェを経営したい人、そして今同じように挑戦されている皆さん、俺みたいになるな!!
というわけで、授業をはじめます!
ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです!
プロフィール
しくじり授業:失敗談と学び
村山: 無計画さがしくじりポイントだとお話を聞いてびっくりしたのですが、 HICARU COFFEE ROASTERの開業当時は、無計画だったんですか?
山中: いやぁ~、恥ずかしい話なんですが…
当時は 大きな夢を抱いてひたすらに展開しまくればいつか黒に転じる! と、かなり勢い任せてでした。目の前の成績や、本質的な経営についてあまり深く考えずに開業してしまったんです。今思えば、完全に考えが甘かったですね。
村山: 前回のインタビュー記事でも、 HICARU COFFEE ROASTERは自分自身のオリジナルドリブンだとおっしゃっていましたもんね。具体的には、どのような失敗をされたんですか?
山中: まず、今までのインタビューでもお話ししているのですが、HICARU COFFEE ROASTERは、自分の生きてきた中で感じた課題解決することで、自身の価値と存在意義を確立したい!と思い開業しました。
村山: そうですね、ダウン症の弟が亡くなってしまったいう過去の経験と、欠点豆のカッピング会の経験と、コーヒーやバリスタ業界への想いが繋がってHICARU COFFEE ROASTERを生んだというお話しですよね。
▼詳しい内容はこちらの記事
山中:そもそも、カフェ事業だけでは黒字化にならないと思いながらこの事業を続けていたので。
村山:ええっ!そんなことあるんですか!?
山中:おかしな話ですよね(笑)。黒字にならないと分かっている事業を、黒字にならないというスタンスで続けるなんて。これが経営者としての甘さだったなと思います。
また、当時はダウン症のスタッフが働けるお店としてのオペレーションを重視していて、それがどのように事業単体で黒字にしていくかという、経営につながるかということまでの解像度が低かったです。レコードのa面がこの事業だとすると、b面の事業を頑張って、両面でなんとか会社として成り立たせるぞ!と、そんな考え方で当初は走っていました。
村山: なるほど、「社員全員が輝けるお店づくり」のお話しをしてくださった前回の記事とギャップがありますね…。
山中: その通りです。本当に当時の自分は甘かったというか、実力不足だったなと思います…。
さらに、当時は自分自身がお店に立っているのは週に1回だったので、スタッフとのコミュニケーションも上手くとれておらず、教育も不十分でした。自分がお店にたっていないので、「スタッフ一人一人が輝けるお店づくり」を現在のように体現していく方法にも考えが至らないんですよね。本当にたくさんの失敗をしましたね。
村山:当時は、どうしてお店にたっていなかったんですか?
山中:b面の事業を作らなければという焦りと、そこに視線が向いていました。コーヒー事業を主力事業として自信をもてていなかったからですね。このスタンスが、お店の売り上げの天井を決めてしまって、これ以上の成長を勝手に諦めていました。 HICARU COFFEE ROASTERは守るものであり、お店の売り上げを会社の柱にするということを考えていなかったです。
なので、お店を持続させるためには、自分が他で売り上げを作った方が良いと思っていました。その結果、スタッフとのコミュニケーション不足や売り上げも赤字となり、間違った方向に進んでしまっていました。
転機:当時から3倍以上の売り上げをあげた意識変革
山中:そんな私を変えたのは、ある友達の言葉でした。「仕事への姿勢が悪い」と指摘されたんです。
村山:ええっどストレート!!!
山中:(笑)正確には、僕が腰を痛めていた時期があって、そのことを友人に「腰が痛いんやけど、働く時の姿勢(立ち方や座り方など)が悪いのかな?」と話したら「仕事への姿勢(スタンス)がよくないんちゃう?」と冗談で返してくれたんです。その瞬間、自分自身に自問自答をした感覚になって、ハッとしました。
村山:その言葉が、当時は必要な言葉だったんですね。
山中:そうですね、まさに、スタンスが悪かったなと反省しました。
スタッフに対するコミュニケーションもとれていなかったですし、カフェ事業もやって他の事業の仕事もしないといけない中で、新しいことに挑戦するのは良いけれど整理せずに前に進んでしまっていたりしたので。
村山: なるほど…。そこから、どう改善していったんですか?
山中:まずは、ミッション、ビジョン、バリューが明確に決まっていなかったことを反省をしました。HICARU COFFEE ROASTERは、「スタッフ一人一人が輝けるお店づくり」と口では言っているけれど、未来がどこにあって、そのために今どこに向かっているのか、本当に現実的に行動しているのか?というところを見直しました。オリジナルドリブンという言葉もこの時はっきりと言語化できたんです。
そしてお店の営業時間や定休日を変更して、早起きをして毎日店に立って現場を眺める体制を作りました。
以前は夜に仕事を進めることが自分の生活ルーティーンだったのでお店のルーティーンとあっていなかったのですが、今は毎朝8時には店を開けています。 その代わり夜の営業時間は少し短くなりましたが、イベントなどにお店を使えるようにしました。あとは、スタッフみんなでコーヒーの勉強をしに行ったりもしています。
村山:早起きが苦手と聞いていたので、営業時間の変更を聞いた時は驚きました。
山中: そうですね、早起きが苦手だった自分が、毎朝7時に起きられるようになったことも、大きな自信に繋がっています。小さなことかもしれませんが、早起きを続けることで、自分に自信を持つことができるようになり、今では「今日も一日頑張ろう!」と前向きな気持ちで起きられるようになりました。
村山:今は、ほとんど毎日お店に立っていますよね?お店にとってはどのような変化がありましたか?
山中:そうですね。 週7回毎日店に立つようになり、お客様やスタッフと直接コミュニケーションを取ることで、自己肯定感と充実感を得られるようになりました。朝、店の前を通る地域の方と挨拶を交わしたり、お客様の笑顔や「美味しかった」という言葉が、私のモチベーションに繋がっています。
また、最近は海外からのお客さまが来てくださることが増えてきました。英語を話せるようになりたいと、積極的に話かけながら勉強を重ねています。そうしたことで海外からのお客様が今ではメインターゲットとなりました。事業戦略も自分が直接感じ体験したことをベースに設計したことで、今こうして結果にしていくことができています。
村山: 具体的に、どのような時に自己肯定感や充実感を感じますか?
山中: 例えば、お客様から「コーヒーが美味しい」と褒めていただいた時や、「また来ます」と言って笑顔で帰っていかれる時など、自分の仕事が誰かを幸せにしている実感を得られる時に、大きな充実感を感じます。
また、スタッフと一緒に働くことで、外からでは見えていなかった部分が見えるようになりました。スタッフが成長していく姿を見るのも、大きな喜びです。彼らが自信を持って接客している姿や、新しいことにチャレンジしている姿を見ると、「自分も頑張ろう!」と励まされますね。
以前は、スタッフに任せきりでしたが、今では一緒に働く仲間として、彼らの成長をサポートしたいと思っていまし、自らが店舗に立っているからこそ、店舗に立っている間にできることをしようとしています。
成長:自己肯定感と充実感
村山:毎日店に立っていらっしゃいますが、毎日店に立つのは大変じゃないですか?
山中: ええ、体力的にはきつい時もありますね。でも、毎日店に立ち続けることで、モチベーションを維持しているというか…。毎日店に立つことで得られるものがあるんです。
村山:なるほど、なぜそこまで頑張れるんですか?
山中:特別な理由はないんですが…1つは責任感ですね。会社の代表として、HICARU COFFEE ROASTERを成長させるという目標を、本気で体現しようとしています。
あとはシンプルな理由ですが、その働き方がこれまでで一番有意義に感じているんです。自分の力で誰かを幸せにできていると実感できるのは、本当に嬉しいですね。
村山:ビジネスマンとして、充実している時間だと。
山中:ええ、まさにその通りです。売上は一旦抜きにして、社会の役に立っている、誰かの役に立っているという実感が得られる時間なので、苦にはなりません。
3つ目は、朝一というのが鍵なんです。私は早起きが苦手なんですが、充実感の方が勝っているので、早起きができるんです。さらに、早起きが苦手な自分が早起きできているという事実が、自己肯定感に繋がっています。それに、早起きをした結果、お店に立っていることで誰かを幸せにできている実感があるので、むしろ早起きをしたいと思うようになりました。
村山:自己肯定感が低いとおっしゃっていましたね。
山中:そうなんです。でも、体調を崩した時に、スタッフやその家族から「もっと頼ってください」と言ってもらえたことが、自己肯定感を高めるきっかけにもなっています。今のメンバーとなら、これまでよりももっと売り上げももっともっと先へ行ける。 そう確信しています。
また、僕が朝お店に立つからと、時間を合わせて常連さんや友人がお店にきてくれたりもして、だんだんお店にも活気が湧いてきているのを実感しています。
村山:周りの人にも支えられているんですね。
山中: そうですね。色んな方に支えてもらいながら、2年半かけてようやくここまで来ました。
これからは、分析と改善を繰り返して成長させていきたいです。
村山: 仕事を通して、人間としても成長できたんですね。
山中:ええ。毎日が挑戦の連続ですが、その分、大きな充実感を得られています。
まだまだですが、これからも、お客様やスタッフ、そして地域のために、全力で頑張っていきたいと思っています。