見出し画像

「ただのカフェ」ではないHICARU COFFEE ROASTERが目指す「カフェ事業×オリジナルドリブン」

こんにちは。広報担当の村山です。
私たちORCaは、「誰もが自分らしく活躍できる社会」の実現を目指し、現在は、大阪の谷町にてダウン症の方と共創するコーヒーショップ「HICARU COFFEE ROASTER」の運営などをしています。

今回は、ORCaの代表・山中にHICARU COFFEE ROASTERの誕生秘話やダウン症バリスタが活躍するための仕組みについてインタビューをしました。

前回のインタビュー【「オリジナルドリブン」を体現するコーヒーショップ「 HICARU COFFEE ROASTER」】は、HICARU COFFEE ROASTERの開業のきっかけやこだわりについてを記事にしています。そちらを踏まえて読んでいただけるとより楽しんでいただけると思います!

ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです!


プロフィール

山中 英偉人
CEO
1998年生まれ。2021年11月 株式会社ORCaを設立
弟の光(ひかる)がダウン症とその合併症を持って生まれ、わずか一歳という若さでこの世を去っている。その経験から、命輝くようにという意味をこめて名付けられた「ひかる」への想いをこめて、2022年5月にHICARU COFFEE ROASTER ブランドを設立。現在もダウン症の方々が一般就労として参画するカフェを経営する。



村山:前回は、ダウン症の方と共創するコーヒーショップHICARU COFFEE ROASTERの開業のきっかけやこだわりについてお伺いしましたが、今回は、HICARU COFFEE ROASTERのお店づくりについて詳しく教えてください。

山中:はい!よろしくお願いします!


障害の有無とらわれないお店作り

村山: HICARU COFFEE ROASTERを立ち上げ、運営されていますが、コーヒーショップという事業の選択肢と、オリジナルドリブン※1 という考え方に何か関係はあるのでしょうか?

※1 オリジナルドリブン・・・自分の強みだけではなく弱みまでも武器にしてしまう考え方やそれに基づいた行動のこと

▼オリジナルドリブンの考え方について詳細を知りたい方は下記の記事をお読みください!

山中:そうですね、コーヒーショップは個性の体現の場として、働く一人ひとりの力によってお店が大きくなれるという考えがありました。僕たちの街角のコーヒースタンドは、人々の生活に寄り添って成り立つもので、そこに大きな魅力を感じています。人が軸となり、それぞれの強みを生かしてお店を成長させることがオリジナルドリブンの考え方と一致しました。

村山:自動販売機のような無機質な形ではダメだったということでしょうか?

山中:そうです。オリジナルドリブンの「オリジナル」は人そのものです。その人らしさが武器となり、人と人がコミュニケーションを取る場でしか成り立たない仕事だと思っています。だからこそ、立ち上げ当時は、コミュニケーションを軸とした店内設計をすることに、オリジナルドリブンができる可能性を見出しました。

村山:その人らしさが武器ということは、働くバリスタが変われば、メニューやお店の仕組みも変わっていくのでしょうか?

山中:そうですね。それぞれの個性や強みが発揮できるよう、オペレーションやメニューを柔軟に変えていきます。お客様の体験価値を向上させるために、スタッフ一人ひとりが自分の強みを理解し、それを活かせる仕組みを作ることが重要です。

例えば、絵が得意なスタッフがいたりだとか、SNSで世界観を作ることが得意なスタッフがいたりだとか、彼らのルーツの中にあった得意なことや好きなことを、お店の中で活かせるような工夫を考え、スタッフの個性を活かせるように日々試行錯誤しています。それによって、一人一人が自分の個性や強みを活かせるような環境づくりをしています。


スタッフの個性を活かすための取り組み

村山: 接客をよりパーソナライズするために、どのような工夫をしていますか?

山中:最近では、スタッフの個性を活かすため、各スタッフが名刺を作り、そこに自身のSNSのQRコードを載せて、各自がSNSで自分の好きなものを発信しています。それをお客様との会話のきっかけにして、コミュニケーションを円滑にする工夫もしています。

村山:確かに、共通の話題があることが分かれば、お客様もスタッフも話しかけやすいですね!
私も各バリスタの似顔絵を描かせていただいたので、ぜひ手に取っていただいて、コミュニケーションに繋がるととても嬉しいです!

バリスタそれぞれの名刺のイメージ

顧客体験価値を高めるための工夫

村山:最近、注文やお会計の方法を変えたと伺いましたが、どのような狙いがあったのでしょうか?

山中: 僕たちの価値は、お客様とのコミュニケーション時間をできるだけ増やすことにあります。そのため、最初に注文と会計を済ませる方式から、最初にメニュー表を配り、席で注文を取り、最後に会計する形に変更しました。これにより、お客様との会話の機会が増え、結果的に顧客満足度が向上しました。

村山:私も実際、最後のお会計の際にお客様とコミュニケーションをとって近くのオススメのお店を紹介しているバリスタの姿を見て、とても暖かくて気持ちが良い空気感だなと思いました。

海外のお客様が多いなと思うのですが、どのようにコミュニケーションを取っているんですか?

山中:最初に携帯でみれるデジタルメニュー表を配っているのですが、英語にも対応しており、最低限の説明をカードに記載しつつ、ボディーランゲージや目線を活用して、お客様との距離を縮めています。言葉が通じなくても、感覚的なコミュニケーションで意思疎通を図れるような接客を心がけています。

国籍や文化の違いを尊重しつつ、コミュニケーションを通じてお互いの価値観を吸収し合うことを大切にしています。最近では、テイクアウトカップにお客様の名前を漢字で書くなど、日本文化を楽しんでもらえる仕組みを導入し、距離を縮める工夫をしています。

村山: 私も、テイクアウトカップに似顔絵を描いてくださったの、すごく嬉しかったです!

山中が描いてくれた村山の似顔絵

HICARU COFFEE ROASTERはヤマナカエイトのオリジナルドリブン

村山:前回の記事で、HICARU COFFEE ROASTERの誕生秘話について話してくださった際に、欠点豆は無意識に排除されてしまっているけれど、実はしっかり味もするし本当に排除するべきものなのか?という話から、それが人間にも当てはまるっていうお話をされていて、その考え方がすごく腑に落ちました。そこから、その考え方をお店で体現しようと思ったのはどうしてですか??

▼前回の記事

山中:それも、最終的には「オリジナルドリブン」という考え方に行きつくんですよね。僕という人間が世の中に生み出せるインパクトとして、自分にしかできないことだと思ったから、この事業、このやり方で進めているんです。

HICARU COFFEE ROASTERの運営自体が、僕、ヤマナカエイトという人間の「オリジナルドリブン」でもあるんです。自分のエゴを社会の課題と結びつけて、それを解決することが、この事業の大きな意味の一つですね。

村山:オリジナルドリブンを取り入れた仕組みを作り始めた当初から、スムーズに進んだんですか?特に困難に直面したことはありましたか?

山中:最初の2年ほどは売上が伸び悩むこともありました。「この事業はここまでしか成長しないんじゃないか」って思うこともありました。でも、方向性が間違っているとは思ったことはありません。今もまだ成長途中ではありますが、仕組みがしっかりしていれば成長は続くと信じています。だからこそ、売り上げが低迷しても店を閉めようとは思わなかったんです。

自分たちがやっていることが正しいという自覚があるからこそ、迷わずに続けられた部分もあります。顧客体験価値を向上させるための戦略を練り続けることで、徐々に売上も増えてきました。

HICARU COFFEE ROASTERを支えてくれている仲間

お客さまにもオリジナルドリブンな体験を

村山:HICARU COFFEE ROASTERはラテアートにも力を入れているんですよね。

山中:そうです。コーヒーだけじゃなくて、体験そのものが商品だと思っているんです。HICARUに来てくださるお客様が、「ただおいしいコーヒーを飲む」以上の価値を感じられるようにしたい。その瞬間瞬間を楽しんでもらう。結果として、また来店したいと思ってもらえる。そのサイクルを作ることが、今の僕たちの目指すところです。お客様の想像を超える体験を提供したいという気持ちがあります。

ラテアートの写真

村山:それが、お客様にとって特別な体験を作り出すんですね。

山中:うちのバリスタたちはみんな、コーヒーだけでなく、お客様との会話や接客にも工夫を凝らして、楽しんでもらうことを意識しています。お客様が帰った後に「今日のコーヒーと会話、最高だった」と思ってもらえるように、日々工夫しているんです。

お客様が驚いたり、笑顔になったりする瞬間が、僕たちにとっても大きなやりがいなんです。あとは、会話の中でお客様の趣味や興味を引き出して、それに関連したトピックで盛り上がることもあります。例えば、映画が好きなお客様には、映画の話を組み合わせて会話を楽しんだり。お客様一人ひとりに合わせた接客を心掛けているんです。

村山:そういった細やかな心遣いが、HICARU COFFEE ROASTERの温かい雰囲気を作り出しているんですね。お客様一人一人がそれぞれの楽しみ方ができる環境づくり、まさしく、ひとりひとりに楽しんでいただくという環境づくりという部分が、オリジナルドリブンの考え方と通じている部分ですね!

これだけ素敵なラテアートだと、技術やスキルを学びたいというお客様はいないですか?

山中:いらっしゃいます。ワークショップも不定期で開催しています。ラテアートに興味がある方や、バリスタとしてスキルを磨きたい方に向けて、基礎からしっかり教える内容です。初めて参加する方でも、楽しく学べるように工夫していますし、上級者向けの内容も用意しています。参加者の皆さんが実際に体験し、達成感を味わえるようにすることがポイントですね。

村山:素晴らしいですね。自分でラテアートを作る体験を通じて、さらにHICARU COFFEE ROASTERに親しみを感じるようになるんじゃないでしょうか。

是非気になる方はHICARU COFFEE ROASTERのInstagramをチェックしておいてください!https://www.instagram.com/hicarucoffeeroaster

HICARU COFFEE ROASTERのInstagramアカウント

最後に

村山:最後に、今後HICARU COFFEE ROASTERに訪れるお客様にメッセージをお願いします。

山中:HICARU COFFEE ROASTERは、ただコーヒーを飲む場所ではありません。美味しいコーヒーとともに、心温まるひとときや、新しい発見を提供できる場所です。ぜひ、ラテアートや手作りスイーツ、そしてバリスタたちとの会話を楽しみに、気軽に足を運んでいただければと思います。お客様一人ひとりに、素敵な時間を過ごしていただけるよう、これからも努力していきますので、どうぞよろしくお願いします。

村山:本日は、たくさんのお話をありがとうございました。HICARU COFFEE ROASTERがオリジナルドリブンを取り入れ、バリスタやお客様一人一人のオリジナルドリブンを体現されていることが分かりました。次回はぜひ、どのようにオリジナルドリブンしているのかの部分を深掘りさせていただけたら嬉しいです!

山中:こちらこそ、ありがとうございました。オリジナルドリブンするための方程式もあるので、ぜひお話しさせていただけたらと思います!

村山:方程式!?気になります!このnoteを読んで、考え方に共感してくださっている方には是非楽しみにしていただきたいです!次回もよろしくお願いいたします!


広報担当:村山の【編集後記】

今回のインタビューを通して、山中が大切にしている「人と人とのつながり」に改めて感銘を受けました。カフェという場所が単なるコーヒーを提供するだけでなく、皆さんの心を温かく包み込む存在であるということ。HICARU COFFEE ROASTERは、まさにそんな空間だなと思いました。丁寧に一杯一杯のコーヒーを淹れ、お客様に寄り添う姿勢は、本当に気持ちがよく、素晴らしいと思います。

これからも、HICARU COFFEE ROASTERがどんな形で成長していくのか。私自身も楽しみにしています。そして、その魅力をもっと多くの人に知ってもらえるよう、広報としても力を入れてサポートしていきたいと思います。(村山)

いいなと思ったら応援しよう!