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将棋配信での評価値表示ソフトの使用の可否について(意見)

 将棋配信で、リスナーに現在の形勢をわかりやすくするために、評価値表示ソフトを立ち上げておくことの可否についての意見です。

(結論1) 形勢評価値を見るのはチート行為

 自分でその形勢評価値を見たらアウト。チート行為の一種になる。というのは、評価値から自分の形勢が有利か不利かわかってしまうから。実戦では、実際には不利にも関わらず自分が有利だと思い込んで、その勢いで指して勝ててしまうことがある。

(結論2) 大会のプレイヤーとして視点配信でやるのはまずい

 見ないとしても、個人で行う友人対局の配信なら良いが、大会にプレイヤーとして参加して視点配信でやるのはまずい(中継配信ならいい)。前者は個人的な心持ちの問題ですむが、後者は参加プレイヤー全員に許可すべきかどうか(参加プレイヤー全員の条件を同じにすること)が関わってくるから。
 大会プレイヤーとして視点配信でやってよいかの可否は、運営の判断による。

(結論2の理由の詳細) 参加プレイヤー全員の条件を同じにすること

 大会では一人に許可すると、運営はほかの全員にも同じ種類の行為を許可しなければならなくなる。たとえば、視点配信を行う参加プレイヤーの次のような行為を許可するか否か(形勢評価値表示と同じ種類の行為に該当するかどうか)の判断をしなければならなくなる。
 a) 視点配信時、解析ソフトを立ち上げておく。ただし絶対に見ないし、触らないと誓う。理由は、なんとなく解析ソフトを立ち上げておくと調子が出るから。
 b) 視点の配信画面に四間飛車の手順を貼り付けておく。理由は、この対局では四間飛車を使うので、将棋初心者リスナーの人たちに四間飛車がどういう手かわかるように。

 a) の場合は、「それは個人的理由に過ぎず、その行為がリスナーに貢献するわけではないので遠慮してください」と回答できるかもしれない。
 b) の場合は、リスナーの便宜に応えている点では評価値表示ソフトと同じである。a) の拒否回答そのままは使えない。運営が拒否する場合の回答としては、一工夫して、「この行為は、リスナーへの便宜というのは建前で、実際は評価値表示ソフト使用を許可した運営への当て付けであると判断するため、禁止します」はあるかもしれない。

わたしの意見「視点配信では遠慮してもらう」

 以上のことから、もしわたしが大会運営者だったとしたら、参加プレイヤー全員の条件を同じにする理由から、視点配信では遠慮してもらうようお願すると思います。

わたしの意見_付記「指すな、とまでは言えない」

「評価値表示ソフトの開発者だから将棋を指すべきではない」という意見には賛成できません。なぜなら、開発者でもユーザーでもソフト指しはでき、開発者だからよりソフト指しをするとは今のところ言えないから。相手の人格なり言い分なりを尊重するなら「指すな」とは言えません。個人の感情として「わたしはそういう開発者が指すのが気に入らない」と言えるくらいです。

 ただ、「評価値表示ソフトを立ち上げて、リスナーには見せてますが、自分は絶対に見ません」という人との対局を拒否するのはありだと思います。それは個人の決定の話なので(客観的な基準の話ではなく主観的な決断の話なので)。

「開発者は指すべきではない」と主張するためには、「開発者がその手の対局補助ソフトを必ず使用するか、かなり高い確率で使用する可能性がある」ことを証明する必要があると思います。
 たとえば以下の「身近に銃があると使う傾向が高くなるので、民間の銃保有はない方がよい」の主張みたいにです。

▼身近に銃があると使う傾向が高くなるので、民間の銃保有はない方がよい
(主張) 民間の銃保有はない方がよい。実際に規制できないとしても、ないに越したことはない。
(理由・論拠) なぜなら、銃が身近にあると、銃で人をお手軽に殺傷できるため、銃で人を殺傷しやすくなり被害の数も増えるから。
(証拠_量的データ) 実際、米疾病対策センターによると、アメリカでは、2020年の1〜18歳の銃による死亡の割合が18.2%で、交通事故の16.3%を上回っている(*)。
(結論_主張の繰り返し) これは身近に銃があることで起きている。したがって実際に規制できないとしても(核保有が規制できないように)、民間の銃保有はない方がいいことである。

(*)データ元:中日新聞 2023/5/5

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