自閉症百科事典より~ASDを知る為に~

はじめに

まだ考察出来るほどの知識を持たないので、主に引用が多い。(というか殆どコピペになると思う)
当初の目標としては、先ずは情報収集や知識の向上に注力したい、手軽に執筆したいので、文章の品質には勘弁して欲しい。

allergy

アレルギー
1906年に、オーストリアの小児科医クレメンス・フォン・ピルケ(Clemens Von Pirquet)が作り出した言葉。もともとは、ある物質(アレルゲン) --大多数の人には同様の影響を及ぼさないものーーに対する反応が、適応性のない持続的なものに変化することを言った。持続的な反応性の変化を生むメカニズムにはさまざまなものがある(例:先天的および後天的な酵素欠損、オペラント条件付けやレスポンデント条件付け)が、現在の医学界の慣例では、”アレルギー”という用語は免疫系の細胞成分や抗体(免疫グロブリン)成分の、反応性の変化のみに使用が限られている。あいにく免疫アレルギーの分野はあまり研究が行われておらず、特に自閉症の原因としての食物アレルギーの研究は少ない(Lucarelli et al,1995)。しかし、自閉症に伴う行動を、除去食が相当程度改善する可能性があるという確かな根拠はある。食物が引き起こす疾病というこの分野では、以前の論文でも現在のよく知られた論文でも、”アレルギー”という言葉が、免疫機構(食物アレルギー)と非免疫機構(食物不耐症)の両方を含んだ、当初の意味合いで使わることが多い。食物成分に対する反応性の変化について、根本的な生物行動的原因はいまだ明らかになっていないが、免疫性あるいは非免疫性の食物の拒絶反応に対する長期療法としては、何よりもまず食事から原因食物を減らすか除去することである。
参照項目「食事療法」(diet therapy),「食物不耐症」(food intolerance).「免疫グロブリン」(immunoglobulin).

ジョンT.ネイスワース
パメラS.ウルフ 編
自閉症百科事典

antigluten therapy

グルテン除去療法
自閉症に伴う問題行動の軽減を目的とする、実験的治療法。オピオイド過剰説に基づく(内因性オピオイドは脳内化学物質であり、ニューロンの相互作用に影響を与える)。1990年代、自閉症の発症には脳内のオピオイド受容体に作用する、 非代謝性ペプチドの過剰が影響しているのではないかと考えられた。このシステムの自然な過程が中断されると、さまざまな影響が出てくる。例えばパンスケップ (Panskepp,1979)は、自開症の症状とモルヒネ(オピオイドの一種)への長期間の曝露による症状が類似していると指摘した。痛みの感覚が鈍る、社会的相互作用が減少する、変化を嫌う、または儀式的行為を好む、認知発達が遅れるなどの症状である(Shattock &Whiteley, 2002)。ある種のタンパク質はアヘン様ペプチドを生成しやすいが、そういったタンパク質にグルテンとカゼインがあり、どちらも一般的な食品中に存在する。
グルテンはコムギ、カラスムギ、オオムギ、ライムギとそれらの派生物に、カゼインは牛乳に含まれる。過剰なアヘン様ペプチドが自閉症に伴う行動の原因であるなら、食事内容を変えればその行動は減少するはずである。この療法の支持者は、グルテン除去食と関連して自閉症特有の行動が滅少したり、言語面で改善が見られたりした症例に注目するのに対して、批判する側は、相関証拠のみで実験的証拠に欠けることを指摘する。また、行動の変化は反応性の結果だとする批判もある。行動が変化したのは食事の変更によるものではなく、研究関係者の期待が作用したとする見解である。
参照項目 「カゼイン」(casein),
「食事療法」(diet therapy),「グルテンフリー」
(gluten free).「腸管浸漏症候群」(leaky
gut syndromes),「ペプチド」(peptide),「セクレチン」(secretin).J. Michael Pickle

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B6 and magnesium therapy

自閉症スペクトラム障害に対するビタミンB6とマグネシウムの併用療法

研究数が少なくサンプル・サイズが小さいことや、研究の方法論的な質により、自閉症の治療におけるB6‐Mgの使用を推奨することはできない。

概要

背景
統合失調症患者の治療として、ビタミンの大量投与による介入が1950年代に開始された。Pyroxidine (ビタミンB6)は、まず「自閉症」と診断された小児に使用され、ビタミンB6の大量投与により、複数の小児で発話や言語能力の改善が認められた。ビタミンB6とマグネシウム(Mg)を併用する効果について評価した多くの研究により、自閉症患者の言語コミュニケーション、非言語コミュニケーション、対人能力、生理的機能などに及ぼすビタミンB6の好ましくない副作用が減少することが明らかになった。

目的
自閉症の小児や成人に対する社会性、コミュニケーション、および行動反応の治療において、ビタミンB6とマグネシウムの併用(B6‐Mg)の有効性を評価すること。

https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD003497.pub2/full/ja

chelation

キレート化
キレート化とは、血液中の重金属その他の毒素を、そうした物質に高い親和性を持つ薬剤と結合させることをいう。この技術を使えば、蓄積されている体内の部位から毒素を除去し、肝臓や腎臓による排出作用を起こすことができる。キレート化は長年にわたり、脳毒性が知られる鉛の血中濃度が高い子どもの治療に、特に用いられてきた。鉛のキレート化のためのプロトコル(治療計画)は、血液中の鉛濃度ごとの指針と併せて利用可能である。
自閉症を持つ子どもについては、チメロサール含有ワクチンへの曝露により、水銀毒性に侵されている場合があるのではないかと言われてきた。チメロサールは 1990年代後半まで、一部のワクチンに使用されていた防腐剤である。子どもによっては低濃度であっても重金属、特に水銀への曝露で神経障害を起こしやすいと考えられており、また水銀曝露と自閉症の一般的な症状には類似性がある。それらの症状は感覚障害や運動障害(例えば、手をひらひらさせる、つま先歩きをする)、特に言語記憶や聴覚記憶における認知障害などである。この学説の擁護者は自閉症を持つ子どもの治療法として、水銀を除去するキレート療法の利用を支持してきた。だが、キレート剤として使用されるメソ -2,3-ジメルカプトコ
ハク酸(meso-2,3-dimercaptosuccinic acid
[DMSA])は、肝臓毒性や、腹痛、嘔吐を伴う胃の不調など、重い副作用を起こす可能性がある(Chisolm,2000)。チメロサールと自閉症の明確な関連性はいまだ証明されていないため、自閉症を持つ子どもへのキレート療法については今も賛否両論がある。実際、アメリカ科学アカデミーの医学研究所は、2004年に「チメロサール含有ワクチンと自閉症の因果関係否定説を支持する」報告書(p.1)を発表している。
参照項目「重金属」(heavy metals),「水
銀」(mercury),「チメロサール」(thime-rosal),「毒性学/中毒学」(toxicology)
Jeanette C. Ramer

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constipation

便秘症
硬便の排泄が不完全である、またはその回数が少ないなど、便通の困難な状態をいう。症状としては使便や固形便、直腸の触診可能な塊、排泄時のいきみ、腸音の減少、腹部や直腸の膨満感や圧迫感、不満足な排便量、などが挙げられる。患者はこれに加えて悪心、腹痛、食欲減退、背部痛、頭痛、日常生活での支障などを経験することもある。便秘症の原因や関連要因は、例えば水分や食物、食物繊維の摂取が不十分であること、十分な身体活動を行っていないこと、薬の副作用、神経筋や筋骨格の障害、排便時の痛み、プライバシーの欠如、腹筋系の弱さ、感情状態など、さまざまである。
(Anderson, Anderson, & Glanze, 1998).
自閉症を持つ子どもでは、便秘、下痢、腹部膨満といった、胃腸症状の発生頻度が高いとする研究結果もある(Wakefeld et al,2000)
参照項目 「セクレチン」(secretin).
Julie L. FitzGerald

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detoxification

解毒
体内から毒物を除去するための処置の1つ。機能の向上、および重金属その他、体内の毒物に関連する症状の軽減、あるいはそのいずれかを目的とする。最近まで、ワクチンには重金属の水銀を含む防腐剤(チメロサール)が添加されていたが、このことが一部では自閉症の症状に関連すると考えられてきた。解毒の効果については、現在のところまだ説得力のある実証的研究によって裏付けられていない。
参照項目 「キレート化」(chelation),「重金属」(heary metals)「水銀」(mercury),「チメロサール」(thimerosal),「毒性学/中毒学」(toxicology)
John T. Neisworth & Pamela S. Wolfe

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diet therapy

食事療法
日常の飲食物から特定の食品を減らしたり、除去したりすることを伴う治療法。今までに数多くの食品成分が、自閉症の徴候や患者の訴える症状の原因に関連があるとされてきた(Lucarelli et al, 1995)。除去食による症状緩和の病態生理学的機序としては、次のような物質への曝露の減少が挙げられる。すなわち、神経刺激性の消化生成物(例えば、牛乳成分の麻酔性ペプチド、興奮性アミノ酸)や、腸粘膜組織を損傷して、通常は排泄される消化物の細片や細菌性毒素を吸収させてしまうタンパク質(例えば、小麦成分のグリアジン)、そして食物不耐症が原因とされる、多数の症状群を引き起こす食品成分などへの曝露の減少である(Page,2000)。一般的には、食事療法とは特定の食品を食事から除去することをいうが、神経刺激作用が疑われる場合には、人工着色料などの食品添加物や、殺虫剤、除草剤といった合成された汚染物質を、低減または除去することもその概念に加えることもある。自閉症における腸と脳の関係については、腸管の浸透性増大 (腸管浸漏)、食道炎、大腸炎、酵素欠乏症、腸管運動障害、さらには腸内微生物の量的および質的変化など、多種多様な消化器系疾患の極めて高い発生率によって裏付けられている。食習慣の修正によって、自閉症に関連する行動が改善するという説を支持する報告はある(Knivsberg, Reichelt, Hoien, &Nodland, 2002)ものの、何世代にもわたって食事に供されてきた食品が、自閉症の主な原因だとするのは妥当ではない。むしろ、自閉症の症状や徴候を引き起こす中枢神経系(CNS)の根本的な異常が、消化過程の統合機能にも悪影響を及ぼしている可能性が高いと考えられる。この失調によって、通常は安全に消化される食品がさまざまな形で病原性を持つようになり、二次的に自閉症スペクトラム全般の一因となっている。除去食の利点は、次のような問題点と均衡を図らなければならない。すなわち、人と違う食事をすることによる社会的ストレス、健康に有害な食品を目にすることによる心理的ストレス、さらには栄養不足回避の重要性といった問題である。
参照項目 「アレルギー」(allergy),「アミノ酸」(amino acid),「抗酵母療法/イースト除去療法」(antiyeast therapy),「グルテン除去療法」(antigluten therapy),「腸管浸漏症候群」(leaky gut syndromes).
Robert A. Da Prato

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Clostridium tetani

破傷風菌
破傷風を引き起こす微生物。破傷風菌が原因で発生する自閉症が、かなりの割合に上るとする仮説がある。慢性伝染病に対する抗生物質の使用後に自閉的行動が発現し、尿中のフェノール代謝物の増加と持続性の下痢を呈するケースである(Bolte, 1998)。

未発達の腸内では、特に抗生物質の使用や
慢性の下痢によって腸内の正常細菌、つまり常在細菌が死滅すれば、腸管下部における破傷風菌のコロニー形成を招く。そして破傷風菌が産生する神経毒が、迷走神経を伝って中枢神経系(CNS)に達し、その結果、自閉症に関連する重大な行動異常を引き起こすというのである。破傷風菌はまた、腸壁を損傷する細胞毒を産生し、神経刺激性ペプチドの吸収を高めたり、アンモニアやその他数種の神経毒性のあるフェノール化合物を生成したりもする。この仮説を裏付ける証拠としては、まず彼傷風菌と同じクロストリジウム属の細菌は、未発達な腸で病的なコロニー形成をしたり(乳幼児に、ボツリヌス中毒を起こす可能性のあるボツリヌス菌)、抗生物質によって腸内細菌叢が変化した年長の子どもの腸でもコロニーを形成したりする(抗生物質による大腸炎の原因とされるディフィシール菌)、という事実が挙げられる。また実験動物では、脳内の彼傷風神経毒が常同行動を引き起こすこと、その神経毒は腸から迷走神経を経て中枢神経系に至っていることが証明可能とされる。さらに、自閉症を持つ多くの子どもに見られる「凍りついた微笑」や嚥下困難、硬直、筋痙攣といった症状はすべて破傷風の臨床症状であり、自閉症を持つ子どもの尿からは、高濃度のフェノールやフェノール代謝物(神経毒としての潜在力を持つ)が検出されることが少なくない。自閉症を持つ子どもでは対照群に比べ、量的にも質的にもクロストリジウム種の割合が有意に高く(Finegold et al., 2002)、一部のケースでは、破傷風菌に有効な抗生物質投与で自閉症の関連行動が劇的に改善されることもあるが、投与を中止すると症状が再発するのが一般的である。
参照項目「便秘症」(constipation),「腸内環境異常(細菌叢の減少)」(dysbiosis),ベプチド(peptide).Robert A.Da Prato

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cognitive processes


認知過程
人が情報を知覚し、処理し、理解し、情報に反応する方法をいう心理的概念。記憶や言語、視空間スキル、注意、心象、感情的情報の処理、実行機能などがある。自閉症における認知過程は一様でない場合が多い (ただし、例外もある)。視空間スキルと視覚記憶は比較的高く、言語、言語的記憶、注意、感情的情報の処理では比較的低い(Frith, 1992; Frith, Morton, & Leslie,1991)
参照項目「実行機能」(executive func-tions),「知能検査」(intelligence tests)
Jamie M. Kleinman

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detoxification

解毒
体内から毒物を除去するための処置の1つ。機能の向上、および重金属その他、体内の毒物に関連する症状の軽減、あるいはそのいずれかを目的とする。最近まで、ワクチンには重金属の水銀を含む防腐剤(チメロサール)が添加されていたが、このことが一部では自閉症の症状に関連すると考えられてきた。解毒の効果については、現在のところまだ説得力のある実証的研究によって裏付けられていない。
参照項目「キレート化」(chelation)「重金属」(heavy metals).「水銀」(mercury),「チメロサール」(thimerosal),「毒性学/中毒学」(toxicology)
John T. Neisworth & Pamela S. Wolfe

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diet therapy


食事療法
日常の飲食物から特定の食品を減らした
り、除去したりすることを伴う治療法。今までに数多くの食品成分が、自閉症の兆候や患者の訴える症状の原因に関連があるとされてきた(Lucarelli et al, 1995)。除去食による症状緩和の病態生理学的機序としては、次のような物質への曝露の減少が挙げられる。すなわち、神経刺激性の消化生成物(例えば、牛乳成分の麻酔性ペプチド、興奮性アミノ酸)や、腸粘膜組織を損傷して、通常は排泄される消化物の細片や細菌性毒素を吸収させてしまうタンパク質(例えば、小麦成分のグリアジン)、そして食物不耐症が原因とされる、多数の症状群を引き起こす食品成分などへの曝露の減少である(Page,2000)。一般的には、食事療法とは特定の食品を食事から除去することをいうが、神経刺激作用が疑われる場合には、人工着色料などの食品添加物や、殺虫剤、除草剤といった合成された汚染物質を、低減または除去することもその概念に加えることもある。自閉症における腸と脳の関係については、腸管の浸透性増大 (腸管浸漏)、食道炎、大腸炎、酵素欠乏症、腸管運動障害、さらには腸内微生物の量的および質的変化など、多種多様な消化系疾患の極めて高い発生率によって裏付けられている。食習慣の修正によって、自閉症に関連する行動が改善するという説を支持する報告はある(Knivsberg, Reichelt, Hoien, &Nodland, 2002)ものの、何世代にもわたって食事に供されてきた食品が、自閉症の主な原因だとするのは妥当ではない。むしろ、自閉症の症状や徴候を引き起こす中枢神経系(CNS)の根本的な異常が、消化過程の統合機能にも悪影響を及ぼしている可能性が高いと考えられる。この失調によって、通常は安全に消化される食品がさまざまな形で病原性を持つようになり、二次的に自閉症スペクトラム全般の一因となっている。除去食の利点は、次のような問題点と均衡を図らなければならない。すなわち、人と違う食事をすることによる社会的ストレス、健康に有害な食品を目にすることによる心理的ストレス、さらには栄養不足回避の重要性といった問題である。
参照項目 「アレルギー」(allergy),「アミノ酸」(amino acid),「抗酵母療法/イースト除去療法」(antiveast therapy),「グルテン除去療法」(antigluten therapy),
「腸管浸漏症候群」(leakygutsyndromes).
Robert A. Da Prato

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dimethyIglycine (DMG)


ジメチルグリシン (DMG)
ビタミンBに類似した構造を持つ、自外界で生成される物質。アメリカ食品医薬品局は食品に分類している。1960年代以降使用されて、今では広く入手可能である。
1965年には2名のロシア人研究者、ブルミーナ (Blumena) とベリヤコワ(Belyak.ova)が、知的障害や言語障害を示す子ども15人のうち12人で効果があったと報告している(1990年、Rimland が引用)。アメリカでは、特に自閉症を持つ子どもを対象としたジメチルグリシンの使用に関する研究はないが、言語スキルや行動コントロール能力の向上など、症状が改善したという報告はある。ジメチルグリシンは自閉症を持つ人に度々使用されてきているものの、明確な副作用は皆無である。効果は数日から4-6週間以内に現れることが多い。その使用には支持者も多く、また一部の効能について強力な事例証拠もあるが、科学的見地による研究を欠くために医学界はその有効性にいまだ懐疑的である。代替療法とされる多数の食品添加物やビタミンの1つといえる(Shaw, 1998)。
参照項目 「ビタミンB・マグネシウム療
ÜJ (vitamin Be and magnesium thera-
Py),「ビタミン療法」(vitamin therapy).
Jeanette C. Ramer

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dopamine


ドパミン
自閉症を持つ人において脳内濃度が高いとされる神経伝達物質。自傷行動や常同行動に関与している可能性がある。ドパミンはまた、注意欠陥・多動性障害(ADHD)
にも関連がある(異常に低濃度である)と考えられている。
参照項目「神経伝達物質」(neurotrans-mitter)。「自傷行動(SIB)」(self-injurious
behavior [SIB]),
「常同行動」(stereotypic
behavior)
John T. Neisworth & Pamela S. Wolfe

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dysbiosis


腸内環境異常(細菌叢の異常)
有用細菌が減少し、有害細菌が現れることで生じる腸内の病的状態。腸内には一般に400種以上の有用菌がいて、消化や解毒、ビタミンの産生などを行っており(共生)、有害菌が減少すると健康状態も体質も大きく改善する。腸内環境異常は、抗生物質の頻繁な使用、または長期の使用が引き起こすと考えられる。抗生物質は病原性の好ましくない細菌ばかりか、腸内に必要な自然の有用細菌まで殺傷してしまうからだ。自閉症を持つ子どもは、腸の不調で治療を受けることが少なくない(例えば、便秘は抗生物質の多用による、腸内環境異常が原因の場合もあると思われる)。
参照項目「破傷風菌」(Clostridium tet-ani).「便秘症」(constipation)
John T. Neisworth & Pamela S. Wolfe

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heavy metals

重金属
比較的密度の高い金属元素であり、低濃度でも有毒で、生物濃縮しやすい(有機体の年齢に伴って組織内濃度が上昇し続ける)。鉄(元素記号:Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn) などの金属とは違って、重金属は生物学的機能に対する有効性が見つかっておらず、環境的・医学的に到達可能なレベルの毒性を示すことがある。この部類の金属で臨床的に最も重要なのは、カドミウム(Ca)、鉛(Pp)、水銀(Hg)である。自閉症への関与が考えられるのは、中枢神経系
(CNS)に対する重金属の相乗的毒性とそれらの重金属への複数の曝露源である。曝露源には環境(食物、水など)、職場(粉塵の吸入や皮膚の接触)、医療の場(水銀と銀から成る歯科用アマルガム合金、予防接種による有機水銀の残留など)がある。重金属中毒の第一の治療法はキレート化であり、そのような金属に選択的に結合して排せつされる割合を増やす各種の媒介物が用いられる。
参照項目 「キレート化」(chelation),「水
銀」(mercury),「チメロサール」(thime-rosal)「毒性学/中毒学」(toxicology)
Robert A. Da Prato

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hippocampus

海馬
脳の側頭葉にある辺縁構造。事実や出来事に関する短期記憶をつかさどり、空間知覚や空間関係の把握を左右し、恐れや不安の反応に関与する。自閉症スペクトラム障害(ASD)に含まれる各種の疾患の間の関係、海馬のサイズ、海馬とその他の脳構造との相互連絡パターンを調べた研究はおびただしい数に上る。それらの研究の結果はまちまちである(Casaccia-Bonnefil et
al., 1997; Dawson, Klinger, Panagiotides,
Lewy, & Castelloe, 1995)。自閉症を持つ人の多くは海馬が標準より小さく、海馬の神経細胞の密度が高い。脳の他の部位との連絡の数は自閉症を持たない人に比べて少ない。これらの症状を踏まえて、自閉症にしばしば伴う脳機能障害を海馬と大脳皮質との連絡におけるパターン異常と結び付けて論じる研究者もいる。ただし、自閉症に随伴する行動を示す人すべてにこういった特徴が存在するとは限らない。
参照項目「扁桃体」(amygdala)「メタ
ロチオネイン」(metallothionein)
J. Michael Pickle

自閉症百科事典


leaky gut syndromes

腸管浸漏症候群
腸壁の透過性の増大に伴って生じる腸の病気であり、体内に取り込まれた物質が腸管から漏れ出して血液中に入り、脳関門を通過すると考えられている。その後これらの物質が神経伝達物質として作用すると考えられ、それによって感覚入力の混乱が引き起こされることがある。腸管浸漏症候群の原因には、ある種の抗炎症薬の使用、寄生虫の存在、毒素の存在、腸内感染、アレルゲンなどがある。自閉症を持つ子どもは腸疾患にかかることが多く、専門家の中には食事療法の提唱者をはじめとして、腸管
浸漏症候群を腸疾患だけでなく自閉症に伴う行動とも結び付けて考える向きもある。
参照項目 「グルテン除去療法」(antiglu-ten therapy),「食事療法」(diet therapy),「食物不耐症」(food intolerance)
John T. Neisworth & Pamela S. Wolfe

自閉症百科事典

limbic system

辺縁系
相互に関連した脳構造であり(扁桃体や海馬など)、攻撃性・感情・感覚入力の調節、学習および記憶の側面と明らかに結び付いている。辺縁系を構成する部位の損傷や非定型的な発達は、強迫的行動・目新しい物事が苦手・社会回避・刺激への異常な反応など、自開症でしばしば報告される特徴を伴う。辺縁系の損傷に関する情報の大半は、動物の脳を除去したり傷つけたりする実験の結果に基づいている。自閉症を持つ人の脳の死後解剖による研究から、辺縁系の神経細胞の密度の高さと分岐の異常が明らかになっている。神経細胞のサイズや密度の異常は、早期の(多くは出生前の)発達障害と結び付けて考えられている(ちなみに、動物の成体の辺縁系を手術で傷つけても同じ結果にはならない)。 神経画像診断に基づく推論によれば、顔認識、他者の感情の読み取り、視点の共有など、「社会的知能」における障害をはじめとする自閉症に伴う機能の側面に、辺縁系と関連する脳の他の部位が深くかかわっている可能性があるという。辺縁系の研究は準備段階にあって現在進行中であり、その解釈や推定には慎重を期さねばならない。
参照項目「扁桃体」(amygdala)、「神経画像法/ニューロイメージング」(neuroimag-ing),「心の理論(ToM) 」(theory of mind
[ToM]).
John T. Neisworth & Pamela S. Wolfe

自閉症百科事典

mercury

水銀
金属元素の一種であり(化学記号 Hg)、生体機能に必須ではないとされている。乳幼児期における水銀の曝露、特にワクチン接種の保存剤であるチメロサールに含まれる有機水銀の曝露が、自閉症を引き起こす原因ないしは一因ではないかと考えられて
いる(Bernard, Enayati, Redwood, Roger,
& Binstock, 2001)。この仮説を裏付ける証拠が複数の筋から挙がっている。
・水銀は神経毒として知られ、有機化合物の場合は中枢神経系(CNS)の発達にとりわけ有害である。
・水銀のボーラス曝露 (ワクチン接種などで一気に起こる) は長期にわたる同量の曝露よりもはるかに有害である。
・実験で水銀曝露された動物や事故で水銀曝露した人間には、自閉症の生物学的
行動的なすべての徴候が見られる。
・水銀含有のワクチン接種が 1930年代後半に使用可能となり、1940年代の初めに自閉症が初めて記述された。
・自閉症の増加は水銀含有ワクチン接種の曝露の増加と平行している。
・自閉症の男女比の4対1は低濃度水銀中毒の男女比とほぼ同じである。
・自閉症に見られる脳の選択的、局所的な異常は水銀曝露でも生じる(例えば、アイコンタクトをつかさどる脳の部位である扁桃体が、自閉症では機能不全となっているが、この部位は水銀によってダメージを受ける)。
乳幼児期のワクチン接種による水銀曝露は、1回ごとの曝露と蓄積のいずれもアメリカ政府の安全基準を上回るため、アメリカ食品医薬品局およびアメリカ小児科学会は、乳幼児に対して定期的に接種するワクチンは水銀ベースの保存剤を含有しないものとするよう勧告している。この措置によって、今後10年間で新たに診断される自閉症の罹患率から、ワクチン接種での水銀曝露が自閉症の主な原因ではないかという仮説が十分に検証されるだろう。
参照項目「重金属」(heavy metals),「チメロサール」(thimerosal),「毒性学/中毒学」(toxicology)
Robert A. Da Prato

自閉症百科事典

metallothionein

メタロチオネイン
特殊なタイプのタンパク質であり、循環
系だけでなく中枢神経系(CNS)の血液脳
関門でも金属濃度を適正に保つ働きがある。自閉症スペクトラム障害(ASD)の人は銅・亜鉛の割合が高いことが判明している(Walsh, as cited in Kidd, 2002)。 ウォルシュ(Walsh)の説によれば、自閉症やその変異型を持つ人のうち 99パーセントで・亜鉛のバランスが乱れているという。
銅・亜鉛の割合の増大は脳機能と ASDにさまざまな影響を及ぼす。銅の濃度が高過ぎると脳がダメージを受ける。また、亜鉛の濃度が低いと通常は神経障害が引き起こされる(Takeda, 2008)。
J. Michael Pickle

自閉症百科事典

vitamin B 6 and magnesium therapy

ビタミンB6・マグネシウム療法
ビタミンB6・マグネシウム療法は、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する栄養補助療法として、最も初期の頃に用いられた方法である。この併用療法には、理論的・実験的裏付けがある。ビタミンB6(ピリドキシン)とマグネシウムは、神経細胞のエネルギー産生にかかわる中心的な栄養素である。いずれかの栄養素が欠乏すると、全身のさまざまなプロセスを統合する中枢神経系 (CNS)の働きに障害が生じることがある(Grimaldi, 2002)。マグネシウムが欠乏すると、活性型ビタミンB6であるリン酸ピリドキサールの産生および組織内取り込みが阻害される。 またビタミンB6が欠乏すると、マグネシウムの排泄量が増加する。動物でもヒトでも、マグネシウムとビタミンB6を実験的に欠乏させたり、また偶発的に欠乏が生じたりすると、自閉症に見られるのと同じさまざまな異常が生じる(神経筋の過剰興奮、筋攣縮、触覚および聴覚の過敏性、注意力欠如、異常運動など)。1965年以降、自閉症の人々に各種のビタミンB6・ マグネシウム補充療法を行う研究が何十件も行われ、約半数に何らかの改善、ときには劇的な改善が認められている(Pfeiffer, Norton, Nelson, & Shott,1995; Rimland & Edelson, 2008)。ビタミンB6とマグネシウム欠乏が自閉症の主たる原因である可能性は極めて低い。むしろ自閉症に見られる多くの行動異常や生理学的異常が、ビタミンB6とマグネシウムの負のバランスをもたらしていると考えられる(自己流の偏った食事による摂取量の低下および吸収不良、慢性の胃腸障害に起因する排泄量の増加など)。自閉症の基礎にある病態生理との関係の有無にかかわらず、ビタミンB6とマグネシウム欠乏は自閉症スペクトラムに有害な生理学的結している可能性がある。費用もあまりかからず、比較的安全であり、また一部文献的裏付けもあることを考えると、自閉症の症状を軽減するためにこれら栄養素を適量投与する試みも考えられるが、現在は推奨されていない(New York State Department of Health, Early Intervention Program, 1999a.
Robert A. Da Prato

自閉症百科事典

vitamin therapy

ビタミン療法
行動の改善や症状の軽減のために、特定のビタミンを投与する (または補充する)方法。ヨーロッパで、自閉症などの広汎性発達障害 (PDD) に対するビタミン療法(主にビタミンB6とマグネシウムを用いる)が最初に研究されたのは 1960年代である。ビタミンB6とマグネシウム以外に複数のビタミンとミネラルを含む製剤が開発されている。副作用には、多動性および易興奮性の元進が挙げられる。またビタミンB6を長期間投与すると末梢神経障害を生じることがあり、手や足にちくちくする痛みが起こる。最近の研究では、自閉症に対するビタミン療法を支持していない(New York State Department of Health, Early Intervention Program, 1999a).
参照項目「食事療法」(diet therapy),「ジメチルグリシン DMG)」(dimethyl-
glycine [DMG]), ГビタミンB6・マグネシウム療法」(vitamin Bg and magnesium
therapy).
Jeanette C. Ramer

自閉症百科事典

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