オレンジのスマイルカットで涙する。
もし全日本不器用選手権があれば、あっという間に県代表を獲得して本戦に進める逸材に違いない。
調理現場にいた頃、くだものを提供するときはよく飾り切りをしました。オレンジ、りんご、バナナ、キウイフルーツ。ぶつ切りではダメ?と本気で考えたけど、「喫食者に喜んでいただく」を大前提に調理師と相談しながら取り組みました。
調理師は器用なんです。わたしは不器用なんです。
今はなき恥じらいが多少は残っていたので、辛いなんていえなかった。黙り通した。辛かった。だって嘘偽りなく下手なんだもん。
きれいに切るよりもいかにごまかすかに全神経を集中していた。器用な人がどれだけうらやましかったか。
特にオレンジの飾り切りは苦手でした。シンプルで初心者でも切りやすい部類なのに美しく切れない。
それは退職まで続きました。
オレンジを器に見立て、果肉をひと口サイズに切ってミントを飾る。家庭ではまずしないでしょう。
する?する?
わたしが切るとおいしそうに見えない。
切り離すのが下手で白い部分がくっついたり、触れ過ぎてだれてしまったり。手袋着用だから余計他人の手みたいな感覚で作業自体が遅い。
あー、思い出したら本気で辛くなってきた。
こんなのもありましたよ。
お借りしました↓ありがとうございます。
一番よく切ったのがこちら↑
今だから原因がわかります。
「等分に切れない」
まず1個を半分に切ります。さらにその1つを3等分にします。合計6切れ取る計算です。ここでコケる。
大小さまざまな大きさになるので、不平等感極まりない。1人2切れずつ提供(3人分)するのに、大きさがそろわず情けなかった。
言い訳しますが、これが1つ4等分ならばもっと切りやすかった。でもボリュームが出ずに見栄えがしないため、ずっと「オレンジ1個で6等分」
オレンジをスマイルカットしながら泣いた。
さらに今夜気づきました。
「等分」に難があるのだ。以前からうっすら兆しはあった。切るだけでなく等分に盛る技術もない。
丸い器に3等分で盛る時は「Y」をイメージすればできそうなものを。オクラが領土侵略中。
三色丼から飾り切りを思い出した、今宵十六夜。
「自分、不器用ですから」
わたしは高倉健さんが好きだ。