勉強するのが苦手なので、勉強しないと仕事にならない仕事をしている
学生時代は勉強はできたほうだったけれど勉強は嫌いだった。机の上に教科書や参考書、問題集を開き、テストに備えるような狭い意味での勉強はもうすぐ50歳を迎える今でも嫌いである。
けれど、ITの業界に社会人として入って、今に至るまで勉強をしてこなかったかというとそんなことはない。幅広い知識と経験を身に着けたつもりである。そして、これからどんどん新しい技術が生まれてくる未来に対しても、全く動じることなくこれまで通り身に着けて行けると思っている。今までそうしてきたから、未来に向けても同様である。
勉強は嫌いでできれば避けたいという私の特性、そして勉強を着実に行い社会人生活を乗り越えて来た実績、この二つがどうやって成り立ってきたか。その経緯を話したい。
ITの世界で明示的に学習した機会は、経産省主管、情報処理技術者試験の勉強「だけ」である。会社が昇進するための必須条件にしたので仕方が無く、勉強した。もし、何のきっかけも無かったら取得しなかっただろう。ただ、この資格、結果的に学んでおいて良かった、と思っている。何事も基礎は大切だからだ。仕事でいろんな経験をするときに、基礎理論を知っていると、わかる情報量が格段に増える。経験から学べる量が増すので、初級や中級の段階までに基本をしっかり学ぶことはお勧めしておきたい。
基本を身に着けた上で、後は、「自分がやったことが無い」仕事を積極的に職場へ希望し続けた。わかるから/できるから、仕事をやるんじゃない。わからないから/今できないから、仕事を希望する。職場にたくさんの仕事が落ちている中で、より難度の高い仕事を集め手を動かすことを志向したし主張した。
しかし、「やってみたけれど、できませんでした」となったら、職場の自分への信頼が揺らぐから、もちろん死に物狂いで達成しに行く。むしろ期待に利子を付けて返すぐらいの品質で対応するように心がけた。職場の信頼を勝ち取れば、次の難度が高い仕事に対する挑戦権を得やすくなるからだ。そうするために、実は裏で、色んな調べ事をする。ITの業界では、難しいことというのは、本にも資格試験にもなっていないことが多い。そのため「狭義の勉強」のやり方には自然とならない。情報源となるWEBサイトを探したり、課題となる技術を検証したりと、手本から習うのではなく、思考し答えを見つけ出す発見力の方が試される。
未知であるからこそ、色んな寄り道をする。答えがわからないから、余計なことも情報収集することになるが、実はこの無駄が、私の基盤となっている。教科書を頭から最後まで読んで暗記するのは苦手な作業なのだが、問題解決をするために手や頭を動かすのは大得意なのであった。
この戦略を突き詰めていったから、今日も明日もきっと未知の問題が私に向かってくるし、それを解き明かすことで未来に向かって自動的に勉強することができるようになっているのである。勉強しようなんて思わなくても、勉強しなければ進まない仕事が振ってくるようになっている。
勉強とは、授業で習って教科書を理解し身に着けることばかりではない。基礎・基本を元に様々な未知に取り組み、その途中でたくさんの知識を<自然に>喰らっていく勉強もある。
もし、学校生活で勉強することが嫌いになった人は、ぜひこの考え方を参考にして頂きたい。未知に突き進み続けていくことそのものを仕事にすることで、仕事に取り組むこと自体が勉強となるのだ。
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