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IT業界で20代、客先常駐だった私に今、何か言えるなら

IT業界で20代って、かなり将来への不安が強いのではないだろうか。

しかもこの業界の文化である客先常駐をしているとなおさらだろう。希望を持って就職したのに、その会社のオフィスにはほとんど帰らず、お客様の現場ばかりに居る生活。

顧客の現場にいる人たちは本当に親切にしてくれるのだけれど、どうしても超えられない壁はある。

たまに常駐先の社員だけで打ち合わせがあったりして、重要なことを話し合っている。どんなに常駐先で活躍してもそこには混じれない。情報は後から降りてくる。

しかも自分の評価をしてくれる上司は同じ現場にいないことがよくある。大人数で常駐していればよいが、数人のケースが非常に多い。また、期限付きのプロジェクトをハシゴする場合は常駐先そのものが次々と変わる。人の動きが激しいので会社組織が仕事単位にはならず、管理職は自分の場所に居たりオフィスで事務処理をしていたりする。そうすると、年に一度の評価でも、どんなに現場でがんばっていますと主張したって、中々通じない。実力はついているはずだし常駐先にも喜ばれているはずなのに会社の反応は薄い。

したがって、管理職が自分の実力を見ていないのだから、適切な案件に放り込んでくれるかも怪しいものである。そもそも案件ありきで人をアサインするので、多少無理な条件でも打診され、まあできるかとやってみたらできて、そしてスキルが増えて行く。自分でキャリア構築ができず、風の吹くままに案件について行ったらスキルが付いてきた、となってしまう。

IT業界に入ったばかりの20代は、スキルを付けて社会が驚くようなサービスを構築し、キャリアをどんどんつけて収入アップ、なんて夢を当初抱いていただろうが、どんどん現実を見せつけられるのである。経験が浅いうちは、何をやったって高給な条件の案件にアサインされるわけがない。顧客だって、「こんな若いのにこんな単金出せないよ」となるのがオチである。

これが、私が20代だったころ(2000年前後)の世界だけど、色々聴く限りは今も変わっていない。面白いぐらいに変わっていない。

高給のカギはどこにあるかというと、ITを利用する顧客との近さにある。顧客と直接会話できる位置にできるだけ近づけ、ということだ。つまり多重請負で客先常駐などの場合は、きっと現場の末端の社員に仕事をもらうだけで、常駐先の顧客と話をするなんてあり得ないだろう。それだと、収入が上がらない構造になっているから、ITの実力を付けたと思ったら早めに切り上げて、「事業会社」や「元請」への転職を考えた方がいい。もし、夢が当初の通りITでの高収入、ならば。

よくある取引の形として、事業会社がITを請け負う会社にお金を払う。この金額が、20代の方が考えるよりもものすごく大きい単位で動いている。そこにどれだけ近い距離で立てるかが重要となる。事業会社に思い切って行くか、ITを請け負う会社(元請)に行くか。もはやどちらかである。客先常駐が問題というのではなく、客先常駐だとしてもお金を支払う顧客と直接話ができるのなら、距離は近いと考えていい。

新卒カードで、事業会社や元請ITに入れた人は、もしかしたら高収入のルートに乗れるかもしれない(それは能力次第だ)。ただ、そうではないとしたら。まずはITのスキルを磨けと言いたい。経験は多重請負の安月給でも十分詰める。むしろ、安くて若いからこそ、とんでもなく優良な現場に潜り込めるチャンスがあるのが、唯一のメリットであると断言したい。

下っ端で安い、若い、となるとたくさん手を動かす仕事があり、その仕事を通じて豊富な経験を吸収し、そのキャリアで立派な会社に転身した人、ものすごくたくさん知っている。

「死んだふり」だ。

事業会社や元請ITも、若い頃にたくさん下働きをして技術的経験が豊富な人材で、かつ安い金額でしかも他社のフィールドで働いて社会人の素養を磨いた人、かなり狙っているのだ。社員教育をしなくてもいいし、自社にいない経験を社内に取り込める。かつ、採用時の給与をそこまで高くしなくていいから、リスクも小さいと来た。

また、新卒から立派な会社に入ったとして、下働きができるとも限らないので中途で入って、新卒からいる社員をいきなり抜かして行くことすら可能なのである。特にITの分野は、手を動かしていた人間が一番強いのは、誰しも知るところだろう。

というのは実話なので、特に20代・30代あたりの若手には知っておいてほしい。勝負は30代後半あたりに来ると思って欲しい。そこまでに地力をつけた人は必ずと言っていいほど飛躍しているし、飛躍してほしい。もし実力を発揮できない環境なら、転職しても通用するはずだ。何しろ、20代30代に得た経験をコアにその先がある。今どんな環境に居たとしても突破口はあるから、諦めないで実力を追い求めてほしい。そして30代に勝負をかけて欲しい。

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