「青函トンネル」の北海道側の出口に立って
北海道では、本州のことを「内地」という。それならば、自分たちは「外地」に住んでいるという意識かというとそんなことはない。まあ、どこか、北海道と本州の違いを感じているからこそ、使う言葉だ。新幹線も、函館まで通り、後は札幌延伸だが、函館では、札幌方面を「奥地」という。
そんな歴史を抱える北海道だが、1988年3月13日に青函トンネルが開通した。その距離、全長53.85 kmは交通機関用のトンネルとしては日本一および東洋一という大事業だ。北海道にとって、内地の本州とつながれたのはまさに、夢の世界だったのだ。
その北海道側の出口が、知内町湯の里だ。写真にもあるように、畑が広がり、周りは多くの森林で覆われている。林業が盛んで、ニラの生産地としても地域では有名なところだ。真っ暗いトンネルを抜けると、長閑な緑あふれる風景が広がるというものだ。
2016年3月26日に北海道新幹線が開業する。実に、青函トンネルから28年後のことだ。かつて、総理大臣として「日本列島改造論」を打ち立て、交通移動の格差をなくそうとした田中角栄氏。その思いが今もなお進んでいる。新幹線が走る北海道側の出口を見ながら感慨深いものを感じた。