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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問24

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問24です。

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問24
慢性期の統合失調症患者に対する心理的支援として、最も適切なものを1つ選べ。

① エクスポージャー

② 標準型精神分析療法

③ 眼球運動による脱感作と再処理法〈EMDR〉

④ サイコロジカル・リカバリー・スキル〈SPR〉

⑤ ソーシャル・スキルズ・トレーニング〈SST〉
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正解、 ⑤です。

SSTはアメリカの精神科医リバーマンによって考案され、当初は主に精神疾患のある人たちに適用されていましたが、医療機関や療育施設などで、社会的コミュニケーションに課題を抱える発達障害の子どもや大人に対しても様々な形で適用されるようになりました。

SSTは、行動理論、社会的学習理論に基づく技法であり、
①教示:目標とする行動を教える、
②モデリング:その行動を実際に行って見せるなどして見本を示す、
③リハーサル:目標とする行動を実際に行って練習する(ロールプレイ)、
④フィードバック:目標の行動が適切にできているかどうかを伝え、できていれば賞賛し、できていなければ修正点を伝える、
⑤般化:トレーニング場面で獲得したスキルを日常生活のどのような場面でも、誰に対しても活用できるよう促す、
という5つのトレーニングが基本要素です。

なお、「ソーシャルスキル」の定義は研究者によって多様ですが、①仲間から受け入れられること、②人との関わりにおいて好ましい結果が得られ、好ましくない結果を回避できること、③社会的妥当性、の3つの観点から特徴づけられるとされています。

SSTの適用は多岐にわたり、社交不安障害などで人と関わる際の技能の訓練が望ましい場合や、統合失調症者に対する社会復帰を目的としたアプローチ、ADHDや学習障害、ASDの子どもたちの対人スキルの向上のための手段としてSSTが挙げられます。

続いて、本問で示されている「慢性期の統合失調症患者」について述べます。

精神科において急性期、慢性期という区分は主に統合失調症の病期に対して用いられます。

統合失調症では前駆期(急性期に先行した数日から数年)に抑うつ気分、頭重、倦怠感、易疲労感、不眠等神経衰弱症状が出現し、時には離人症、強迫症状、不安障害様の症状を訴えることもあります。

前駆期に続いて、あるいは寛解期を挟んで統合失調症症状が出現する時期を急性期と呼びます。

急性期には妄想(被害的な内容が多い)、思路の障害(話のまとまりがなくなり、理解できなくなる)、幻覚(幻聴が多い)、自我意識の障害(させられ体験、自分の考えが相手にわかってしまう等)、感情障害(敏感、両価性、後に感情鈍麻等)、意欲障害(能動性、自発性の低下)等の症状がみられます。

急性期の後には寛解して発症前の状態に戻る患者、再発を繰り返す患者、一定の症状を残す者がありますが、慢性的な経過をたどるにつれて、感情鈍麻、思考や会話の貧困化、無為自閉といった陰性症状が前景となります。

この時期を慢性期と呼びます。

周囲の介助があれば家庭生活や社会生活が送れる状況にもあり、種々の生活支援、種々のリハビリテーションが必要となります。

精神科病院では療養型病床群(慢性期病棟と同義、治療内容の変化が少ない長期の入院を担う病棟)に入院しながら作業療法やSST(社会技能訓練)等各種プログラムなどが行われます。

以上より、⑤が適切と判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/18-心理に関する支援(相談、助言、指導その他の/公認心理師%E3%80%802023-24/

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