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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問56
みなさん、こんにちは。
公認心理師受験生Kidです。
さて、掲題の通り、問56です。
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問56
2019年(令和元年)以降、児童相談所における虐待相談対応に関連する内容として、正しいものを2つ選べ。
① 相談経路のうち、最も多いのは学校である。
② 被虐待者の年齢は、12歳以下が過半数である。
③ 主たる虐待者のうち、最も多いのは実母である。
④ 虐待相談対応の過半数は、児童福祉施設入所措置となる。
⑤ 相談内容における虐待種別のうち、最も多いのはネグレクトである
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正解、 ②と③です
② 被虐待者の年齢は、12歳以下が過半数である。
被虐待者の年齢については、令和元年度の資料を参照していきます。
参照URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/gyousei/19/dl/gaikyo.pdf
こういう問題では複数年で傾向が変化する指標を正誤判断に用いることはないので大丈夫でしょう。
0歳~2歳:37,862件(19.5%)
3歳~6歳:49,660件(25.6%)
7歳~12歳:65,959件(34.0%)
13歳~15歳:26,709件(13.8%)
16歳~18歳:13,626件(7.0%)
上記を見れば、0歳から12歳の間で全体の79.1%を占めていることがわかりますから、「被虐待者の年齢は、12歳以下が過半数である」というのが正しいわけです。
なお、被虐待者が死亡するような事案は低年齢に多いとされています。
7歳~12歳にもっとも割合が集中しているのは、10歳前後を境に自我が芽生え、子どもが親に対して「思い通りにならない」という姿として顕在してくるからかもしれません。
ある程度の精神的成熟を備えている親にとっては、こうした10歳前後の自我の芽生えや、それに伴う家族のごちゃごちゃはむしろ子どもの成長として喜ぶ側面があるものですが、近年は、そういった子どもが自分の枠組みから外れたことを許容できない親が増えているのかもしれません。
かつては、こうした「親の思いと異なること」が教育面(学力がこのくらいでなくては等)で目立っていた印象がありますが、近年はもっと基本的なところで生じているような印象です。
小さい頃からデジタルメディアに触れ、「大人しく」しており(子どもが動画を観ていれば静か)、当たり前に経験するはずだった子どもとの「ごちゃごちゃ」を未経験のまま過ぎ、それが再出現する思春期に入って、うまくいかなくなるのではないか…などと想定しています。
ちなみに、こうした親との「ごちゃごちゃ」については、子どもにとって不可欠なものであり、そうした「ごちゃごちゃ」があるからこそ、親の限界を知り、そこに適切な諦め(明らめ)が生じ、そうした限界を他者にも適用し、他者に対して誇大的な期待を向けずに適切な距離感を維持できるのだと考えられます。
子どもに限らず、人を育てるという行為には、多少なりともこうした「ごちゃごちゃ」が欠かせないのだと知っておきましょう。
以上より、②は正しいと考えられます。
③ 主たる虐待者のうち、最も多いのは実母である。
こちらについては以下の参照URLから見ていきましょう。
参照URL:https://public-psychologist.systems/12-福祉に関する心理学+法律/公認心理師%E3%80%802023-56/
上記の「主たる虐待者別構成割合」では、実母が割合として最も高いことがわかります。
とは言え、年々実父の割合が増えていますから、これは今後変化しうる割合かもしれません。
ちなみに警察が検挙した死亡に至った事件でも加害者の多くが実母となっています。
どうしても育児において母親に負担が偏っているというのが、やはり実情なのではないかと思われます。
以上より、③は正しいと判断できます。
引用URL:https://public-psychologist.systems/12-福祉に関する心理学+法律/公認心理師%E3%80%802023-56/