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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問23

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問23です。

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問23
D.Meichenbaumが提唱した認知行動療法であり、自己教示訓練を主要な技法とするものとして、最も適切なものを1つ選べ。

① 自律訓練法

② モデリング

③ 自己調整学習

④ 漸進的筋弛緩法

⑤ ストレス免疫訓練
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正解、 ⑤です。

認知療法を創始したのはBeckですが、彼は1960年代以降精神分析を離れて認知療法を体系化しました。

ベックの認知療法は広く知られていますが、これと同時期に登場したエリスの論理療法やMeichenbaum(マイケンバウム)の自己教示訓練なども認知療法の代表的な治療体系として位置づけられています。

自己教示訓練は、患者が自分自身に言葉による教示を与えることであり、目的志向的な適応行動の獲得と遂行を目的とする、行動調整機能を用いた治療法です。

具体的には、①治療者が大きな声で教示を行いながら課題を遂行する(認知モデリング)、②患者が声に出して自己教示を行いながら課題を行う(行動リハーサル)、③患者が心の中で自己教示を行いながら課題を行う、という手順で行われます。

具体的な行動内容・認知傾向の方法(やり方)をイメージし、自分で自分にしっかりと言い聞かせることが重要で、その上で、実際にこのトレーニングで「肯定的・改善的な自己変容」が見られた場合、何らかの報酬や賞賛で行動を強化することによって自己変容の速度が速まっていきます。

また、PTSDの治療に中程度の支持が得られている心理療法として「ストレス免疫訓練法」があり、こちらもマイケンバウムが提唱しました。

「ストレス免疫訓練」自体は、広義にはストレス対処のための機能的な行動や思考の獲得を狙った指導プログラムを指し、狭義にはマイケンバウムが体系化した治療パッケージを指します(本問では後者を指しています)。

マイケンバウムの「ストレス免疫訓練」は、対処できる範囲の小さなストレス体験に曝され、それらを乗り越える経験を積むことで、ストレスに対する免疫力が高まるという発想に基づいています。

訓練は以下の3段階から構成されています。

ストレスの概念把握:
クライエントとトレーナーがストレス問題について共通理解を得ることを目的とされる。ストレス反応が発生する過程が簡単な言葉で説明される。クライエント自身に起こっているストレスの性質を共に探るプログラムを通して、クライエントとトレーナーの協力的な治療関係を確立する。

技能獲得とリハーサル:
ストレス対処スキルの獲得を目標になる。リラクセーション訓練、認知再構成法、問題解決療法、自己教示訓練などを通して、クライエントのストレス対処技術を高める。認知的対処スキルとして「ストレッサーに備えているとき」「対決のとき」「打ちのめされたとき」「自己強化のとき」に用いる自己陳述を用意しリハーサルを行う。

適応とフォロースルー:
学習した対処技術を実際のストレス場面で使う段階。クライエントにとって効果のあるストレス対処方法をトレーナーが明らかにしていく。獲得した対処技術を実生活で活用できるよう、面接室内でのリハーサルや現実場面での段階的な練習を行う。
このように、ストレス免疫訓練法は、ストレス・モデルの教授=学習に始まり(教育の段階)、リラクセーション法や社会的スキルの獲得といった行動的対処、および否定的な自己陳述の修正といった認知的対処の方策を治療セッションのなかで獲得し(リハーサルの段階)、それらを実生活のなかで実践することができるための援助を行う(適用訓練の段階)という多段階のプログラムが構成されている技法です。

上記の説明の通り、ストレス免疫訓練では、マイケンバウムが元々提唱していた自己教示訓練も組み込んでおり、リハーサルのところで活用されていることがわかります。

よって、⑤が適切と判断できます。

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