見出し画像

[新譜レビュー] C-POPとJ-R&Bの融合:Foi "HER"(1st Album)

ずっとリリースを心待ちにしていた、Foiさんのファーストアルバム「HER」が5月25日に発売されました。Foiさんは日中にルーツをもつシンガーソングライターで、メロウな歌声が魅力的です。今回のアルバムは既発表曲5曲に、4曲の未発表曲(うち1曲はインスト)を加えた内容です。


アルバム全体のコンセプトとしては、Foiさん自身のルーツである中国のPOPS(いわゆるマンドポップ、C-POP)を基調にしつつ、最近のFoiさんが追求しているR&B(とくに日本のR&B)の要素を全編にわたって取り入れたものだと思います。

どの曲も本当に素晴らしい曲でしたので、1つ1つ感じたことを書いていきたいと思います。そして、C-POPが好きな方、R&Bが好きな方など、少しでも多くの方に聞いてもらえると嬉しいです。

1. HER... [intro]

作曲: Foi    編曲: Foi / Sosuke Oikawa

インストである本作「HER ...」の印象は、ライブで演者のみなさんがステージに入ってきて、「ライブがはじまる!」というワクワク感を追体験できるような楽曲になっています。また、昨日のリリース記念番組でFoiさんが述られていたように、このイントロのコンセプトは、アルバムに収録された曲のハイライトをまとめたものであるそうです。確かに、「不可抗力」でみられるピアノが、本作にも入っています。本作の最後の部分は、次の曲の「Countman」のイントロのイントロとしても機能しており、非常につながりがスムーズだと感じました。

また、インスト曲ではありますが、Foiさんが一言だけ「彼女の」という言葉を発しています。アルバムタイトル「HER」の日本語訳ですが、あえてその後に続く名詞を入れないことで、アルバムに込められた様々な意味を想像することが促されます。また、歌詞カードには"H"、"E"、"R"から始まる様々な英単語が示されており(たとえば、"H"は"Heart")、そういった言葉がこのアルバムの構成要素の一つとなっていることがほのめかされています。

本作のアレンジャーはSosuke Oikawa(及川創介)さんです。Foiさんと及川さんはともに、昨年5月にGloomyさんがリリースした「SEEKER」で客演として共演していました。「SEEKER」はあくまでGloomyさんの作品ですが、本アルバムの方向性とも重なる部分が大きいです。そのため、「SEEKER」と本アルバムをあわせて聞くと、Foiさんの最近の音楽性もわかって、アルバムをより楽しめるかと思います。


2. Countman

作詞・作曲:Foi    編曲:土器大洋 (MO MOMA)

本作は、ここ最近のライブで何度か披露されていましたが、未発表曲でした。改めて音源で聞いてみて感じたのは、この曲がここ最近のFoiさんが取り組んでいた音楽の、一つの到達点であるということでした。Foiさんの魅力はバラード曲、あるいは、ややテンポをおさえた曲に、メロウなメロディーを載せる楽曲においてもっとも際立つと思います。本作はまさにそういった曲だと思います。そして、聞けば聞くほどこの曲の魅力にとりつかれ、まさにリード曲にふさわしい楽曲であると感じました。この曲には、これまでのFoiさんが全て詰まっていますので、この曲が好きな方は、Foiさんの他の曲も間違いなく気に入ると思います。

Foiさんはもともとマンドポップをルーツとして、アコースティックやポップなバンドサウンドを作ってきまし。たとえば、自主制作のEP「Foism」(2018)、「FLASH POINT」(2019)の収録曲はそういった傾向が強いです。しかし、2020年8月にShin Sakiuraさんのプロデュースによる「Swim in your eyes」をリリースしてからは、都会的で、メロウなR&Bサウンドをより多く取り入れるようになっています。そのため、このジャンルで既に活躍している方をアレンジャーやプロデューサーに迎え、自身の新たなスタイルを作り上げようとしてきたのだと思います。FoiさんがR&Bのサウンド作りに取り組みはじめて2年以上が経ち、その総決算として本アルバムを位置づけることが出来、そして、そのアルバムを象徴する曲として「Countman」があるのだと思います。

もちろん、「Countman」の音作りには、本作のアレンジを担当したMO MOMAの土器大洋さんの貢献も大きかったと思われます。土器さんもロックからR&Bまで、幅広いジャンルをカバーされているアーティストですね。Gloomyさんの「Tokyo Blue」のアレンジも担当されており、その曲は本作「Countman」とも親和性も感じることができます。


3. FLASH POINT II

作詞・作曲:Foi    編曲:George(Mop of Head)

アルバムは全体的にミドルからスローなテンポの曲が多いですが、本作「FLASH POINT II」と「婆娑羅」は、このアルバムの中でも大きな盛り上がりをみせるところです。EDM系の楽曲が好きな方は、本作を間違いなく気に入ると思います。

本作は以前に「FLASH POINT」としてリリースされたものを再度アレンジしたものです。原曲は、各種ストリーミングサービスにおいて、Foiさんの曲の中でもトップクラスの人気を誇っていました。また、もともとの曲はシティポップ感のある仕上がりとなっていましたが、本作は一転ダンサブルな曲となっています。とくに、ビートが際立っており、それが曲全体のノリの良さを高めています。また、歌い方も原曲よりは少し大人っぽく歌い上げている印象を持ちました。

アレンジを担当したGeorgeさん(Mop of Head)は、Foiさんのライブでもしばしばサポートをつとめています。過去に、Spin Coaster版のセッションで「FLASH POINT」に大きなアレンジを加えたバージョンを披露していました。その時は、序盤はよりメロウに仕上げつつも、全体的にノリの良さを加えた楽曲となっていました。Spin Coaster版のアレンジも、今回のアルバムの中に十分にフィットしたかと思いますが、アルバム全体としてみた場合は、ノリの良い曲が「婆娑羅」だけであったことを踏まえると、ダンサブルなアレンジをおこなった「FLASH POINT II」を入れることで、アルバム全体に抑揚がついたように感じました。そのため、本作はこのアルバムにとって大きな意味を持っていると思います。

本作では、ダンサブルなサウンドという新たな挑戦に加え、MVでFoiさん自身もダンスに挑戦したという点も重要な意味を持っていると思います。コロナ禍でなかなかライブ活動を進めることが出来ない中、Foiさんは逆にその時間を新たなことに挑戦するチャンスと捉え、ダンスをはじめました。そして、それを実際に自身の作品に反映させようとする姿勢はとてもすごいと思います。

そして、忘れてはならないのが、MVに出演した魅力ある5人のダンサーの方々です。「◯。」(丸山隼)さん、erikoさん、KAHOさん、Dr.さん、そして、STYLEさん。歌詞に含まれるように、人生とは「いつまでも旅の途中」で、「素晴らしき日々の途中」です。その中で、受け入れることが難しい現実に直面することもありますが、それでもなお前に進みながら、時々振り返ることもあります。MVで楽しそうに踊る6人の姿は、作品という形でずっと残り続けますし、Foiさんがライブでこの曲を歌うたびに、MVに関わってくれた大事な人のことを僕たちも思い出すことができます。そして、近い将来、Foiさんがより大きなステージに立った際に、「6人」でのダンスをみることが出来るよう願っています。

4. Nobody Else (feat. VivaOla)

作詞・作曲:Foi ・ VivaOla    編曲:VivaOla

本作「Nobody Else」は、VivaOlaさんをフィーチャリングに迎えたものです。VivaOlaさんは僕もずっと大好きだったアーティストでしたので、お二人がコラボされると聞いたときはとても嬉しかったです。

VivaOlaさんは今もっともノリにのっているR&Bアーティストといっても過言ではないと思います。昨年9月にアルバム「Juliet is the moon」をリリースされ、各所で大きな反響を呼びました(中でも僕がお気に入りだった「Over The Moon (feat. Sagiri Sól)」については、過去のエントリでも紹介させていただきました)。その後、最近は自身の作品制作というより、他のアーティストの楽曲に客演あるいはプロデューサーとして参加しており、いずれもが素晴らしいクオリティーで、プロデューサーとしての才能も大いに発揮しています。最近でも、SPENSRさんとの「Draw Me feat. VivaOla」は圧巻の仕上がりでした。

FoiさんとVivaOlaさんは多くの共通点があります。たとえば、ともに日本以外のルーツももつこと、そして、韓国のR&B/HIP HOP(DEANさんなど)に影響を受けていることなどです。一方、異なる点としては、VivaOlaさんのサウンド作りはアメリカのR&Bを基軸にしていると思いますが、Foiさんのこれまでの楽曲はそういった方向性を持つものはほとんどなかったと思います。実際、本作「Nobody Else」のトラックは、どちらかと言えば、これまでのVivaOlaさんが作ってきた音楽の要素を多くもっている印象を持ちました。一方で、メロディーの部分は、やはりFoiさんらしさを強く感じました。その意味では、この曲もFoiさんにとっては新たな試みだったと思いますし、グルーヴ感も感じ取れる素敵な作品に仕上がっていると思いました。

5. DON'T PLAY THE LOVE SONG

作詞・作曲:Foi     編曲:TiMT(PEARL CENTER)

本作も既発表曲です。今回のアルバムに収録されたものの中では、アレンジされた「FLASH POINT」「BOYFRIEND」を除くと、最も古いリリース作品です。そのため、このアルバムはまずは「DON'T PLAY THE LOVE SONG」が中心に据えられ、全体の曲の構成やバランスが考えられたのだと推察されます。なお、もともとは「Don't play the love song」という表記でしたが、今回新たにマスタリングがおこなわれたようで、タイトルがすべて大文字に変更されています。

あらためてアルバムで本作を聞いて、やはり僕はこの曲が本当に好きだというのを実感しました。アレンジを担当したTiMTさん(PEARL CENTER)が作り出す懐かしさを感じるサウンドが、Foiさんのメロウな歌声と本当に相性抜群です。なお、この曲については、過去のエントリでも紹介いたしましたので、よろしければそちらもご覧ください。

6. 婆娑羅 (Prod. TOOBOE)

作詞:Foi    作曲:Foi ・TOOBOE    編曲:TOOBOE

本作「婆娑羅」は、このアルバム全体の中では他の曲とはやや異なる方向性を持ちますが、アップテンポでとてもノリがよい曲で、シンプルにテンションが上がる曲です。また、本作はなんと言ってもMVがとてもかっこよくて、みているだけでとても楽しくなるものです。

「FLASH POINT II」と同様、この曲もダンスなどととても相性が良いと思います。そして実は、「婆娑羅」を音源に使った、あるダンス動画(作者は、いわゆるMAD職人として知られるもりもりさん)がYouTubeで少しバズりました。「婆娑羅」MVのコメント欄からも、もりもりさんを通じて、新たに多くの方がFoiさんの音楽に魅了されたことがうかがえます。逆に言えば、Foiさんの楽曲はいずれも多くの人を惹きつけるポテンシャルがあり、何かのきっかけがあれば、すぐに人気になるということも今回の件で実感しました。

プロデュースを手がけたjohn/TOOBOEさんはボカロPとして数々の楽曲をスマッシュヒットさせてきた方で、Foiさんの長年の友人でもあります。先月には「心臓」という楽曲で、晴れてメジャーデビューを飾っています。最近のjohnさんはボカロ以外のジャンルも手がけておりますので、その意味で、「婆娑羅」はjohnさんにとっても新たな挑戦であったと思います。とくにFoiさんのような歌声・歌い方は、ボカロ系の歌い手の方にはあまりいないタイプであったと思いますので、本作ではjohnさんの手腕が見事に発揮されたと思います。


7. 不可抗力

作詞・作曲:Foi    編曲:Kenichiro Nishihara

本作はライブでの定番曲であり、ファンの間でリリースされることが待望されていた曲です。ライブではアコースティックギターとともに、Foiさんがしっとりと、かつ感情的に歌い上げる曲で、いつも心に強く訴えてくるものがありました。新アルバムがリリースされることが発表され、トラックリストに「不可抗力」の文字列を見つけたときは、本当に嬉しかったです。

それと同時に驚いたのが、本作をKenichiro Nishihara(西原健一郎)さんがアレンジを担当されるということでした。西原さんは言わずと知れた、超ビッグネームのプロデューサーです。個人的に、SIRUPさんを客演に迎えた「Up All Night」という曲が大好きだったので、Foiさんが西原さんとコラボされることを知り、本当にワクワクが止まりませんでした。

西原さんは、ジャズを基調としつつ、エレクトロニカ、HIP HOPなどの要素をふんだんに取り入れた楽曲が特徴的だと思いますが、本作「不可抗力」のアレンジにもそういった要素が見事な形で加えられています。原曲はアコースティック感が強めで、それゆえに聴者の心に強く訴えるものがありました。一方、今回の西原さんのアレンジではピアノが入っており、印象的なピアノのフレーズが挿入されたことで、曲の切なさがより際立っています。それでいて、それを包み込むようなドラムの演奏があるため、感傷的になりすぎることも抑えられていると感じました。また、曲のジャンル的にも、西原さんのピアノが入ったことでジャズ感も出ており、また、途中にはエレクトロニカ感のあるギターのサウンドも入っているので、アルバムの他の曲との重なりも感じます。その結果、原曲のままのアレンジだとアルバムの中で少し浮いていたかもしれないところを、今回のアレンジにより、他の収録曲とのつながりが非常にスムーズになっている印象です。

また、ライブではかなりエモーショナルに歌われることが多かったですが、今回はそれをやや抑えて、しっとりと歌い上げているところが印象的でした。一方で、Cメロ(ブリッジ)からラスサビにかけては、エモーショナルさを出しているので、ライブでの歌唱と同様に、心に強く訴えてくるものがあります。

そして、忘れてはならないのが、本作の歌詞には、Foiさんらしさのある表現が存分にみられるところです。恋に落ちたことをあらわす表現に、「君は心に越してきた」とあらわし、その君に対し「左右の心房を繋げちゃって君一人広く使わせてあげたい」と表現する部分はとても素敵で、同時に、このような表現を思いつけることに感動を覚えます。

8. BOYFRIEND

作詞・作曲:Foi    編曲:maeshima soshi

本作「BOYFRIEND」は、もともと2019年に発売されたEP「FLASH POINT」に収録されていた曲でしたが、今回のアルバムリリースにあたり、気鋭のプロデューサーmaeshima soshi さんによるアレンジが加えられました。maeshimaさんが手がけるジャンルは本当に多様で、先日リリースされたばかりの新アルバム「yet」も非常に素晴らしいアルバムとなっています(たとえば、BLOOM VASEさんとの共作「Swipe」は超名作だと思います)。


原曲「BOYFRIEND」はポップなバンドサウンドで、明るく爽やかな楽曲で、Foiさんの歌い方からも若さや元気さが感じ取れました。一方、maeshimaさんのアレンジでは、原曲のバンドサウンドとは異なるアプローチで爽やかさが表現されており、とても素敵です。3月にリリースされたということもあり、楽曲からは春らしさも感じられました。Foiさんの歌い方も、原曲に比べるとリラックスし、落ち着いた印象で、maeshimaさんのサウンドと見事に重なり合っています。

本作のまた別の特徴が、中国語バージョンもリリースされた点です(アルバムには未収録)。Foiさんは中国にもルーツをもつバイリンガルで、これまでに中国の動画サイトbilibiliにも多数のマンドポップのカバーをあげ、中国語での歌唱を披露してきました。ただ、これまでのリリース曲では、部分的に中国語のフレーズを入れることはあれど、全編を中国語で歌うことはありませんでした。その意味で、今回すべて中国語歌詞の楽曲が出来たことは、実はFoiさんにとっても新しい挑戦であったと言えます。昨日のリリースイベントでは、中国語の音やメロディーのことを考え、「BOYFRIEND」の日本語バージョンの歌詞の意味と変わっているところもあるとおっしゃっており、別言語のバージョンの曲を作るのが、単に翻訳するだけでは出来ないということをあらためて実感しました。

そして、嬉しいことに、昨日のイベントで、「Countman」の中国語バージョンがリリース予定であることが発表されました。なかなか作業量的に大変であるとは思いますが、今後も既発表曲の中国語セルフカバーが出ることを楽しみにしています(個人的には、Shin Sakiuraさんプロデュースの「Swim in your eyes」の中国語版がずっと聞きたいと思っています!)そして、今後、中国語版がリリースされていくことで、中国語圏でさらに人気が出ることを祈っています(とくに、最近のR&Bを取り入れたサウンドは、中国語圏のR&B/HIP HOPシーンともかなりの程度親和性があるように思えます)。

9. 愛

作詞・作曲:Foi    編曲:mashoe'

本作「愛」は、珠玉の楽曲をおさめる本アルバムのラストを飾るのにふさわしい、完璧な作品だと思います。完全に未発表曲でしたが、最初に聞いた瞬間(さらに言えば、トレーラーで聞いた瞬間)から大好きになった曲です。制作時期的にも、比較的最近に作られた曲だと思いますので、リード曲の「Countman」とあわせて、本アルバムのコンセプトあるいはFoiさんの最近のサウンド作りを象徴するような楽曲になっていると思います。

アレンジを担当したのが、Foiさんのライブでしばしばサポートをつとめるmashoe'さんです。mashoe'さんご自身も作詞作曲とシンガーもつとめる、才能あふれるR&Bアーティストです。mashoe'さんが作る楽曲は、都会的で、チルで、クールなものばかりです。個人的に、Foiさんの最近の楽曲の方向性は、mashoe'さんが作るサウンドとかなり親和性をもつように感じていますので、お二人の今後のライブでの共演、そしていつかまた曲を一緒に制作してもらえること(フィーチャリングを含め)を期待したいと思います。

本作「愛」の歌唱の部分で印象的であったのは、サビ前の高音でかつ感情を込めて歌うところです。これは、Foiさんが非常に得意とする歌い方であり、その箇所があるがゆえにサビ部分のゆったりとした心地よいリズムが、より際立つ印象を持ちます。また、Bメロのラップ調の部分も印象的で、Gloomy「SEEKER」での試みとも重なる部分があります。

アウトロにサックスが入ってくる部分は、「不可抗力」にも見いだせるジャズ的な要素とも重なりを見いだせるように思えます。もしかすると、今後、ジャズ要素を入れた楽曲制作に取りかかることがほのめかされているのかもしれません。Foiさんは間違いなくジャズ系の楽曲とも相性が良さそうなので、今後の新たなチャレンジも楽しみにしたいと思います。

おわりに

最後のまとめとして、あらためてすごいと感じたことは、シンガーソングライターとして、Foiさんが9曲全ての作詞作曲をご自身でこなされている点です。それと同時に、9曲すべてに個性豊かなアレンジャー・プロデューサーを迎え、アルバム全体のベースのコンセプトを維持しつつも、バラエティに富んだアルバムになっています。昨日のリリース記念番組で、担当A&Rの方がおっしゃっていたように、FoiさんはDTMでかなりの程度音を作り込んだあとに、アレンジの依頼をかけるそうです。このあたりの分担がどのようになされているかは、できあがった曲のみを聞くリスナーには伝わりづらいですが、タワレコ版の特典CDには、アレンジされる前の曲が一部収録されていますので、それとあわせて聞くと、Foiさん、アレンジャーさんそれぞれの仕事ぶりがわかって、本アルバムをより一層楽しむことができます。

歌詞に注目した場合、ほぼすべてがラブソングで、このあたりはマンドポップの傾向、そしてFoiさん自身の好みが反映されていると思います。そのことは、アルバムの最後が「愛」という、ストレートなタイトルの曲で締めくくられていることからもわかります。そして、本アルバムのいずれの曲にもFoiさんの個性豊かな表現が満載ですので、リリックを歌詞カードで読んでいくだけでも、とても楽しめると思います。

とにかく素晴らしい曲しか入っていないアルバムですので、一人でも多くの方に届くことを祈っております。

いいなと思ったら応援しよう!